コーチなし、素人父と目指したプロゴルファー・皆吉愛寿香「無謀な挑戦と笑われるかもしれない」

4度目受験でプロテスト合格・皆吉愛寿香 Photo by Toru Hanai/Getty Images
無謀な挑戦と笑われるかもしれない。コーチもいない中、素人の父とプロを目指した皆吉愛寿香(22)。
今どきプロゴルファーを目指す選手は子供のころから専門のコーチに習うのが
普通だが、皆吉は違った。
高校を出て4年目。練習はずっと父親としてきた。父親は大のゴルフ好きだが、プロではなく素人。
ゴルフ理論は本で学んでいて、漫画も教科書。ゴルフ以外の本はほとんどない。YouTubeもよく見る。専属コーチがいない皆吉の大切なお手本。
皆吉の夢は家族の人生を変えてしまった。姉にも妹にも別の未来があったかもしれない。
ゴルフと出会いは10歳だった。地元での大会を見に行って女子プロのプレーに胸が震えた。そこからは姉と一緒にプロを目指す日々。中学生になるといくつもの大会で優勝しプロに近づく実感がわいた。
コーチに習ったことはなく、父との練習で前に進んでいた皆吉。しかし7年前、父親が心筋梗塞で倒れた。当時の皆吉は中学3年生。プロへの挑戦を本格化させる目前だった。
父親は心臓への負担を避けるため、仕事をやめ収入がなくなった。自分のクラブを売り払って練習費用を作ってくれた。
看護士をしている母親は父の代わりに働きづめで生活費を稼いでくれていた。一緒にプロを目指していた姉は高校を卒業するとキャディの仕事を始めた。
皆吉が通った高校は通信制。学費は奨学金とゴルフ場のアルバイトで賄った。お金も暇もなくて、服はゴルフウエアばかり。父親のやる気も消えていない。皆吉が使用する道具の手入れを全力でしてくれる。
恩返しするにはプロになって賞金を稼ぐ、それしかないと皆吉は胸に誓い続ける。
しかし、プロへの壁は本当に高い。毎年600人ほどが受験し合格できるのは20位まで。皆吉は三度連続不合格で、まだ最終予選にすら進んだことはない。しかし、絶対にあきらめないと決めていた。
4度目のプロテスト。
1次予選を3位、2次予選を12位で通過。初めて進んだ最終予選が2022年11月1日から4日間、茨城・大洗GCで最終プロテストが行われた。
運命の日。4日間の戦いは自分との戦いだった。前半2日間は調子に乗れず、43位。しかし、3日目に巻き返し23位に浮上。迎えた最終日、全てをぶつけて戦いは終わった。結果は18位で合格。
12月、プロテストに合格した20人が東京に集まって、合格認定証を会長から頂いた。
皆吉の目標は家族のために賞金1億円。夢は逃げない。そして、夢から逃げない。