【桜花賞】桜の舞台で魅せた、自由奔放な走り リバティアイランドが衝撃V!

その他

2023.4.9

aflo_215458463.jpg
リバティアイランドが桜花賞を制する 写真:東京スポーツ/アフロ

「もしかして......」「いや、まさか......」――今年の桜花賞の直線、馬群の大外を回り、後方にいたリバティアイランドの姿を見て不安に駆られたファンは多いことだろう。

 週中に降った雨の影響もあってか、この日の阪神競馬場の芝は内側がよく伸び、前に付けた馬が止まりにくいコンディション。

それだけに桜花賞当日のこの日の芝レースで好成績を収めていたのは内枠に入ってインコースから抜け出してきた馬か先行した馬がほとんど。直線を向いた時点で馬群の大外にいて、後ろから数えて2~3頭目という位置にいる馬が勝てるわけがない......

そんなコンディションだったからこそ、リバティアイランドの位置取りに不安を覚えるのは無理もないことだった。

 だが、リバティアイランドも鞍上の川田将雅も全くと言っていいほど動じておらず、むしろ「何をそんなに不安がっているの?」という様子にすら見えた。その自信はいったい、どこから来ていたのだろうか――。

 昨年暮れの阪神JFで快勝し、2歳女王の座に就いたリバティアイランド。

デビュー戦で魅せた上がり31秒4というキレのある末脚を持つ彼女はこのレースでも圧倒的な力を見せて快勝。

レース後には早くも「来年のクラシックはこの馬!」という声が挙がるほど、完膚なきまでにライバルたちを叩き潰した。

 あれから4ヵ月がたった今日。リバティアイランドは久しぶりに競馬場に姿を見せた。

グランアレグリアやソダシなど、近年のクラシックホースのトレンドとも言えるローテーションで桜花賞に臨んだ彼女はパドックでも堂々たる姿で周回。その様子は格が違うと言わんばかりの闊歩に女王の威厳さえも感じさせるほどだった。

 リバティアイランドの姿を見たファンたちは当然ながら、彼女を支持した。戦前から「リバティアイランド1強」と称されていたレースだけにファンも彼女が圧倒的な力を見せて勝つシーンを思い描いたのだろう。それが単勝オッズ1.6倍という数字になって表れた。

 勝つことが当たり前とされているレースだけに、リバティアイランドの鞍上、川田はどんなレースをするかが注目されたが、ゲートが開いた直後、リバティアイランドは積極的に馬群についていくことなく、自然と後方に付けた。

いくら末脚が切れる馬だからといってもこの日の阪神競馬場の芝コンディションを考えたら、後方待機はあまりに無謀なはず。

そんなことはリーディング騎手の川田なら十分承知のはずだが......

それでも川田はリバティアイランドを追うことはなく、むしろ行きたがる彼女を抑える様子が見られるほどだった。

 チューリップ賞を逃げ切ったモズメイメイが再び逃げ、前半3ハロンのタイムはこの10年で2番目に速い34秒0。やや速めの流れとなったが追走している先行馬たちは皆、余力十分という形で追走して直線へと向かっていった。

 2番手に付けていたコナコーストが逃げるモズメイメイを捕まえて、早めに先頭に立っていくとそこに外からペリファーニアが追いすがるという展開。

その他の馬たちも末脚を伸ばしてきてはいるが、終始2番手に付けて流れに乗って積極的に動いていったコナコーストとペリファーニアのスピードは落ちることなく、グングンと加速していく。

この日の阪神競馬場の勝ちパターンとも言える走りを見せる2頭でこのまま決まるのでは――そう思われた瞬間、リバティアイランドが飛んできた。

インコースを抜け出してきたわけでもなく、この日は不利ですらあった大外から......好位に付けていたわけでもなく、後方2番手の位置取りから......絶対女王は前を行く2頭に対してそのプライドを誇示するかのように一歩、また一歩と迫っていった。

その走りはまるで「有利不利とか勝ちパターンとか関係ない。私は私の走りたいように走るだけ」と嘯いているかのようにも見えた。

そしてゴールまで残り50mを過ぎたころ、リバティアイランドは内で粘るコナコーストに追いすがるペリファーニアらをまとめて差し切り先頭でゴール。

終わってみれば2着のコナコーストに3/4馬身の差をつけ、直線を向いた瞬間にファンが抱いたであろう心配が杞憂に終わる走りを見せた。

勝ち時計1分32秒1は歴代2位の好記録で、上がり3ハロンのタイムは歴代トップタイとなる32秒9という極上の切れ味を見せてリバティアイランドは桜の女王に輝いた。

 昨年に続き連覇を達成した鞍上の川田は後方待機策について聞かれると「彼女に行く気がなく、あの位置になった」と答え、さらに「彼女がこのレースを選んだので仕方がない」と続けた。

まるでリバティアイランドが後方待機を選んだとようにも見えるコメントだが、自由奔放に走ってあれだけの勝ち方をしたのだから恐れ入る。

同時に馬も騎手もこのレースを勝つのは当然のことと考えていた様子がうかがえ、騎手が彼女の強さを認め、信頼している様子が感じられた。

アメリカ合衆国の独立100周年を記念して建てられ、アメリカの自由の象徴とも言える自由の女神が建てられたリバティ島からその名が付けられたリバティアイランドは今後、どんな馬になるのだろうか――

もしかしたら桜花賞は彼女にとってこれから続くであろう栄光へのプロローグだったのかもしれない。


■文/福嶌弘