J1広島 塩谷のボランチ起用で柏と好ゲームもスコアレスドロー 勝ち点1の影響はいかに

柏レイソル、サンフレッチェ広島 PHOTO:Getty Images
J1リーグも終盤に入り、上位陣は優勝を目指して、下位チームは残留を確定させようと、1試合の勝ち点の重みが響く試合が続いている。
9月23日に柏レイソルのホームで行われたサンフレッチェ広島との試合もその一つで、両者が一歩も譲らない熱い戦いを展開し、スコアレスドローで勝ち点1を分け合う形になった。
今季、リカルド・ロドリゲス体制になって優勝争いに絡む戦いを続けている柏と、昨季は最後まで優勝争いを繰り広げならがら惜しくも2位で終わった広島の顔合わせ。
試合前、柏は首位鹿島と勝ち点3差の3位、広島は勝ち点7差で追う6位で、どちらも勝利で首位に迫りたい一戦だった。
その試合で、柏のワイドで躍動感溢れる攻撃を広島が堅守で封じた。素早い切り替えから相手ゴールに迫った。
シュート本数でみれば、柏の10本(前半4本、後半6本)に対して、広島は17本(前半7本、後半10本)。ポストを叩いた場面も広島は2回、柏も1回あり、互いのGKの好セーブもあった。
広島は、今季は3バックの右が定位置のDF塩谷司をボランチに起用。MF田中聡とのペアで中盤をカバーし、いつもはボランチでプレーするMF川辺駿が1列前を務める新たな布陣を採用した。
ボール奪取力に長けた3人の起用で中盤の守備力が上がり、DF佐々木翔、DF荒木隼人、DFキム・ジュソンの最終ラインも安定。MF中野修斗、MF東俊希の両ウィングとの連係も良く、広島が柏の波状攻撃を抑えた。

垣田裕暉(左)、塩谷司(右) PHOTO:Getty Images
塩谷は「1年ぶりぐらいかな」というボランチで先発し、全く遜色のないプレーを披露。持ち前のパスセンスの良さで攻撃の組み立てにも絡み、後半9分には鋭いパスでPKかと思われる場面を演出した。
塩谷のパスに抜け出したジャーメイン良が相手DFとペナルティエリア右端で競り合い、DFのハンドの有無でVARチェックとなった。
これはレフェリーのオン・フィールド・レビューの結果、PKにはならなかったが、塩谷は後半35分にFW加藤陸次樹と交代するまで存在感のあるプレーを見せた。
塩谷とボランチを組んだ田中も、相手からボールを絡め取る守備で、柏の攻撃の芽を摘んだ。
前半32分にはハイプレスでボールを奪い、切り返してシュートを放った。これはポストに阻まれて得点にはならなかったが、23歳MFの豊富な運動量と冷静な判断も光った。
田中は塩谷とのコンビについて、「すごくやりやすかった。バランスをとってくれて、自分が(前に)出たら後ろに引いてくれて、自分がやりやすいようにできた」と振り返り、チームとしてのオプションの多さを「広島の強み」と言った。

ミヒャエル・スキッペ監督 PHOTO:Getty Images
「Jリーグで一番のDFで一番のボランチ」
広島のミヒャエル・スキッペ監督は、「塩谷はJリーグで一番のDFで一番のボランチだ。どこで使っても活躍できる。残念なのは彼がひとりしかいないことだ」と、UAEのアルアインでも活躍した36歳ベテランDFのプレーを絶賛。
「彼はまだ31歳だから、これからまだ何年もプレーしてくれると思う」と年齢をサバ読むユーモアを交えて、塩谷への期待を口にした。
塩谷は、「柏がやりたかったことをやらせないようにはできたかと。柏にやられた場面も少なからずあったが、うまく試合を通して抑えられていたかと思う」と話した。
広島は、古巣対決に先発したFW木下康介、ジャーメイン、後半途中出場したFWヴァレール・ジェルマン、FW加藤陸次樹らがゴールに迫る場面もつくったが、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
柏もチャンスの数を限定されながらも、前半にはFW細谷真大が相手DFと競り合いながらシュートに持ち込む強さを見せ、後半半ばにはFW垣田裕暉のシュートが左ポストに弾かれる得点機を作った。
試合終盤には途中出場していたMF小屋松知哉やMF小見洋太がゴールを狙ったが、広島GK大迫敬介に阻まれた。
スキッペ監督は「Jリーグの中でもトップレベルの試合だった」と称え、柏のリカルド・ロドリゲス監督も「どちらが勝ってもおかしくない試合だった」と話した。
しかし、見ごたえのある試合で、両チームが手にしたのは勝ち点1。柏は勝ち点56となり、この日の試合でセレッソ大阪に勝って勝ち点を61に伸ばした首位の鹿島アントラーズとは勝ち点5差。
広島は勝ち点52の6位で、鹿島とは勝ち点9差となり、首位との差を広げられる苦しい状況になった。
「まだ何があるか分からない」と塩谷。「厳しい勝ち点差だと思うが、全試合で勝利を目指してた戦って、1つでも上の順位を目指してやるだけ」と言った。
残りは7試合。この勝ち点1の影響はいかに。
取材・文:木ノ原句望