【NHKマイルC】3歳マイル王爆誕!ロデオドライブが優勝 未来を明るく照らす桃色の帽子

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2026.5.19

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ロデオドライブが優勝(c)SANKEI

「母の日だから、枠連8-8(ハハ)だったか」――

NHKマイルCの着順が確定した直後、そんな声があちこちから聞かれた。

戦前から大混戦と称され、大波乱の決着も考えられたが、結果は至ってシンプル。大混戦と称されていたレースほど、案外そんなものなのかもしれない。

前年の朝日杯FSの勝ち馬、トライアルであるニュージーランドTにチャーチルダウンズCを制した上がり馬など、重賞勝ち馬が8頭もエントリーしているというのにこれといった本命馬がおらず、今年のNHKマイルCは例年以上の大混戦と目された。

本命馬不在の状態はレース直前まで続いていた。

パドックが始まるころはここまでに重賞2勝を挙げている実力馬ダイヤモンドノットが1番人気に推されていたが、返し馬が終わったころにはこのレースと同じ舞台であるサウジアラビアRCを快勝しているエコロアルバが逆転。

だが、その人気もレース直前に入れ替わり、最終的に1番人気に支持されたのはニュージーランドT2着から臨んだロデオドライブだった。

ここまで3戦2勝2着1回と戦績には傷がなく、上がり3ハロンの時計は3戦すべてでメンバー最速という切れ味を誇る。

そんな素質馬にダミアン・レーンが騎乗するのだから人気になるのも頷けるが、並み居る重賞勝ち馬を差し置いての1番人気というのは少々人気を集めすぎた感もあったのは確か。

だが、肝心のロデオドライブに気負っているような様子は見られなかった。パドックでは伸びやかな歩様で周回し、返し馬でもダイナミックなフォームで新緑の府中のターフを駆け抜けた。

その姿はひ弱な若駒ではなく、GIで1番人気を背負うだけの風格が備わっていた――

その雰囲気をファンは感じ取ったのか、最終的に彼を1番人気に押し上げた。

これが今年の初レースとなるエコロアルバが後手を踏んだ以外、17頭が横並びでスタートを出ると、内からリゾートアイランドとユウファラオの1枠2頭が出を伺う。

それに並ぶように人気馬の一角ダイヤモンドノットが付いていき、外からも伏兵馬たちがぞろぞろとやってきた。

思いのほか多くの馬が先行したことでペースが上がり、前半の3ハロンは過去10年で2番目に速い33秒7。

こうなると後ろにいる馬たちには有利な展開となるが......この流れに合わせるように後ろにいた各馬が府中の大ケヤキを過ぎたころから動き始めた。

そして迎えた最後の直線。18頭が一斉にスパートを掛ける中、早めに動いていったのはダイヤモンドノットと川田将雅だった。

人気馬の中で唯一、前でレースをしてきたことで展開的には不利かと思われたが、逃げたユウファラオを交わして先頭に。

馬場の真ん中から抜け出してくるその走りは実績馬にふさわしいものだったが、やはりマイルは長かったのかゴールまであと1ハロンのところで失速。

それに代わるように外からアドマイヤクワッズ、アスクイキゴミが飛んできたが、その2頭以上の勢いで伸びてきた人馬がいた。

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D.レーン騎手騎乗のロデオドライブが優勝(c)SANKEI

ロデオドライブとダミアン・レーンだ。

4コーナーを回った時点では後ろから3~4頭目という位置取りで、直線を向いたとき、大外を回ってきていた。すぐ前にはアスクイキゴミがいたが、並の馬の末脚では届かないようなポジション。

いくらここからいい脚を使っても、掲示板に入るのが精一杯かという感じもしたが......レーンの追い出しに合わせるようにロデオドライブはストライドを伸ばしてきた。

ゴールまで残り300mを過ぎた辺り、レーンの右鞭が入ったことでロデオドライブの末脚の導火線に点火した。

そこからの脚はともに伸びてきたアスクイキゴミ以上のキレ味で、レーンの鞭に合わせて躍動。ゴール寸前に前を行くアドマイヤクワッズを2頭並んで捕まえ、最後はクビの上げ下げとなったところでゴールだった。

先週の天皇賞(春)に続いて写真判定による決着となったが、なかなか掲示板に馬番が移らなかった先週とは異なり、今回の勝ち馬は誰の目にも明らかだった。

勝利を確信していたからこそ、レース後にレーンはすぐに検量室へと戻らず、相棒とともにコース内で結果発表を待った。

写真判定の結果、外から伸びてきたロデオドライブがハナ差、アスクイキゴミを差し切ったところがゴールとなり1着。

本番に直結しづらいと言われるニュージーランドTからの臨戦での勝ち馬は8年ぶり、そして小回りコースで知られる中山競馬場でデビューした馬としてはレース史上初の優勝馬となった。

「この馬のベストパフォーマンスを見せることができた」と、レース後のインタビューでレーンは満足そうにこう語った。

展開が速くなったこと、直線の長い東京コースでのレースでこの馬の持ち味である末脚が生きたことなど、振り返ればこの馬に流れがすべて向いていたようにも思えるが、そうした流れを全てプラスにして突き抜けたその姿は3歳マイル王の座にふさわしい。

「終わってみれば、母の日ならではの枠連8-8決着」と言われた今年のNHKマイルCだが、8には末広がりの意味があり、縁起がいい数字とされている。

日の光を浴びて輝く桃色の帽子はまるで、ロデオドライブの行く末を明るく照らしているかのようだった。


■文/福嶌弘