金色の暴君・オルフェーヴル まるで昔ヤンチャしていた感じのパパ【もうひとつの引退馬伝説】

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2026.5.30

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2011年日本ダービー オルフェーヴルが優勝(c)SANKEI

現役時代と変わらない気高さと美しさ

2011年の日本ダービーを勝ったオルフェーヴル。

皐月賞を3馬身差で圧勝し、1番人気で迎えた大一番は降り続く雨の中、不良馬場をものともせず直線後方から豪快な伸び脚を披露して優勝。クラシック2冠を決めた。

秋には史上7頭目の3冠馬となり、その後も数々の最強伝説に彩られた競走生活を送った同馬の第2の馬生の姿を、著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説〜関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)から一部抜粋・編集してお届けする。

2011年日本ダービー オルフェーヴルが優勝(c)SANKEI

「まるで昔、ヤンチャしていたって感じのパパだなぁ」――

現在オルフェーヴルを担当している社台スタリオンステーションの上村大輝さんが教えてくれた同馬の近況を聞いて、思わずそんな印象を抱いた。

上村さんがオルフェーヴルを担当するようになったのは今から3~4年前。種牡馬として5~6年ほどのキャリアを積んだ時期だった。

現役時代はその強さと共に激しい気性で知られた馬だっただけに、最初の印象は「怖かった」という上村さんだが、すぐにあることに気づいたという。

「気性がうるさいというよりも、ちょっと人見知りみたいなところがあって。人に順番をつけるところもあるんです。自分よりも位が上と感じた人には従順で言うことを聞くし、反対に自分よりも位が下と感じたスタッフには、イタズラとして曳き運動の時にわざと立ち上がったりして」

まるで犬の順位づけのようなエピソードが飛び出したが、つまり、賢いオルフェーヴルは「誰が一番世話をしてくれるか」をじっくりと見ているのだ。

そのため、同馬とは毎日のコミュニケーションがとても大切で、信頼されるようになると言うことをちゃんと聞いてくれるようになったという。

そんなオルフェーヴルの現在の役割は走る馬を出すことだ。

実際、初年度産駒からGⅠ4勝のラッキーライラック、近年でもドバイWCを制したウシュバテソーロといった活躍馬を輩出する人気種牡馬だけに、種付けシーズンともなると多くの繁殖牝馬がやってくる。

しかし、やや小さめの馬体のため、種付け時にはこんなエピソードがあるという。

「比較的大きな繁殖牝馬がやってくることが多いので、サイズを合わせるために畳を下に敷くんです。通常だと1枚ですが、馬体の小さいオルフェーヴルは2枚必要になります。ただ畳の枚数が増えるとバランスが取りづらく、体勢を保つためにスタッフもたくさん必要になるので苦労します。でもオルフェーヴルは身体能力が高いので、後ろ脚でしっかりと立って踏ん張れるんです。そのたびに『バランスのいい馬だな』と感心しますよ」

オルフェーヴルは身体能力の高さに加えて四肢のバランスも非常に良いという。それは蹄に表れている。

種牡馬は種付け時に蹄がすり減ってしまう。オルフェーヴルもまた例外ではないが、そのすり減り方が4本共に均一なのだ。

これは日ごろの動きのバランスの良さの賜物で、削蹄などをする必要があまりないという。なので放牧地に出すと音を立てず、上村さん曰く「まるで忍者のよう」に、サッサッサという感じで歩いてくる。

現役時代のオルフェーヴルといえば、1歩の踏み込みの強さに定評がある馬だった。

それなのに、これだけ音を立てずに歩けるというのは意外である。しかも転がっている石の位置を覚えているのか、石を踏むこともなく放牧地を闊歩しているそうだ。

そんなオルフェーヴルも2024年で16歳になる。現役時代はレース中もレース後も元気いっぱいでパワフルなイメージがあった。

それだけに今も馬房でじっとしているのではなく、放牧地を縦横無尽に駆け回っていそうだが、上村さんによると実際の様子は異なるという。

「だいぶ年を取ってきたということもあると思いますが、走り回るというより、放牧地をゆったりと回ってきます。放牧地は1カ所につき1頭という形で振り分けているのですが、隣を気にする馬なので、騒がしい馬を隣に入れてしまうとストレスを溜めてしまいます。そこでなるべくおとなしい馬と一緒にするようにしています。最近ではシュネルマイスターが隣にいることが多いのですが、波長が合うみたいで仲良さそうにしているのをよく見ますよ」

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オルフェーヴルが二冠を達成 Vサインをする池添謙一騎手(c)SANKEI

■オルフェーヴルプロフィール
生年月日:2008年5月14日生まれ
性別:牡馬
毛色:栗毛
父:ステイゴールド
母:オリエンタルアート(母父:メジロマックイーン)
調教師:池江泰寿
馬主:サンデーレーシング
戦績:21戦12勝
主な勝ち鞍:皐月賞、日本ダービー、菊花賞、有馬記念(2回)、宝塚記念
生産牧場:社台コーポレーション白老ファーム(白老)
現在の繋養先:社台スタリオンステーション(安平)
※記事の情報は2024年7月31日時点のものです。その後に状況が変化することもあるので予めご了承ください。

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もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後

競走馬の引退後の行き先は、種牡馬や繁殖牝馬になる他、乗馬、馬術競技、伝統行事や農業で活躍したりなど多岐に渡ります。

本書ではGGIなど重賞を勝った著名な馬の、繁殖生活だけに限らない余生(セカンドキャリア・サードキャリア)にアプローチ。

繋養先でどのように過ごしているのか、現役時代との違いやエピソードなどを関係者へ直撃!引退した著名な競走馬の現在の魅力をとことん掘り下げていきます。おかげさまで発売以来ご好評をいただき、本書はこのたび(2026年1月)、重版となりました。


編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2024年9月13日
価格:1,980円(本体1,800円+税10%)
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