【天皇賞・秋 みどころ】秋の府中を燃え上がらせる王者同士の”激突”

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2026.11.1

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マスカレードボール、クロワデュノール(c)SANKEI

ここ数年の天皇賞(秋)のテーマはズバリ、「激突」のような気がしてならない。

秋の古馬中長距離GⅠの開幕戦である以上、メンバーが揃うのは当然だが......それにしても近年はライバルたちの見ごたえある対決が連発しているように思う。

2020年以降に限定してもそうだ。21年は三冠馬コントレイルと皐月賞馬エフフォーリア、そして短距離女王となったグランアレグリアの三つ巴となったレースで、エフフォーリアが先輩古馬たちを相手に堂々の走りを見せて快勝。

その勢いのまま突き抜けた彼は有馬記念まで制し、年度代表馬のタイトルを掴んでみせた。

その2年後、今度はイクイノックスとドウデュースのライバル対決が大きな話題に。

前年のダービー以来の直接対決となったスターホース2頭の競演だったが、世界1位の称号を得た漆黒の王者、イクイノックスが圧倒的なパフォーマンスを見せて楽勝。

主戦の武豊が落馬負傷したため、急遽戸圭太とタッグを組むことになったドウデュースは7着と、明暗がくっきりと分かれた。

今年もそんなライバル同士の対決が大きな焦点となることは間違いない。昨年のダービー馬クロワデュノールと昨年のこのレースの勝ち馬、マスカレードボールが秋の盾を目指し、このレースに挑むのだ。

まずは今や現役最強と言っても過言ではないクロワデュノールから。

2歳時から無傷でホープフルSを制するなど、常に世代を牽引してきたトップホースは皐月賞2着をステップにダービーへ。

道中の位置取り、そして仕掛けた位置はやや早いように感じたが、人馬の強い思いで乗り切り、追いかけてくる後続馬たちを退けてダービー馬の座に。

昨秋は凱旋門賞へ挑戦し、帰国後はジャパンCで4着に敗れると年内休養に。ダービー後はこれといった成績を残せなかったことで、4歳になってからの飛躍が待たれた。

そうして迎えた2026年。4歳になったクロワデュノールは心身ともにスケールアップ。

年明け緒戦の大阪杯は直線半ばで先頭に立って押し切ると、続く天皇賞(春)は3200mの長丁場でも耐え忍んで勝利。春の古馬中京距離GⅠを連勝し、一躍現役最強の座に君臨した。

そして迎えた宝塚記念。春の古馬中長距離GⅠ三冠制覇に向けて最後のひとつとなるレースだったが、この時はレース直前にスコールのような雨が降り注ぎ、馬場が一気に悪化。

これにより、先を行くメイショウタバルを捕まえられないまま2着に敗れた。
 
現役最強馬クロワデュノールにとって、この敗戦は痛恨たるものだったに違いない。

2年連続での参戦を予定していた凱旋門賞への挑戦を断念し、国内のGⅠに専念するを明言するなど、国内最強を証明することに注力している。

そして今回の最大のトピックはズバリ鞍上。なんと、これまでずっと騎乗してきた相棒・北村友一から、クリストチャン・デムーロへ乗り替わることに。

昨年の有馬記念でミュージアムマイルに乗って勝利に導いたことは記憶に新しいだろう。クロワデュノールとタッグを組むことによって新味が出るのかどうか......注目せざるを得ないだろう。

そんなクロワデュノールを負かすべくやってくるのが、昨年のこのレースの勝ち馬マスカレードボールだ。

ドゥラメンテを父に持つほかの馬と同様、激しい気性が玉に瑕だが、その爆発力は世代最高レベル。

共同通信杯を制して挑んだ皐月賞は3着、ダービーは猛然と追い込むも2着とあと一歩のところで栄冠をつかみ損ねていた。

しかし、これほどの大器がこのまま終わるわけがない。

ベスト条件とも言える東京の芝中距離戦のGⅠである天皇賞(秋)に挑み、新パートナー・ルメールのゴーサインとともにギアを上げて歴戦の古馬たちを撃破し、念願のGⅠタイトルを手に。

上がり3ハロンの時計は32秒3という衝撃的なもの。まさに異次元の末脚を使い、マスカレードボールは天皇賞(秋)を制した。

鞍上はレース後に「レベルが高い。まだまだGⅠを勝てる」と豪語し、その勢いのまま臨んだジャパンCはカランダガンの2着。

初めてクロワデュノール(4着)に先着して、古馬になってからの絶対王政を予感させた。

そうしてマスカレードボールは4歳の春を迎えた。国内には敵なしと言わんばかりにその矛先を海外へ。

年明け緒戦となったクイーンエリザベス2世Cは香港最強馬ロマンチックウォリアーと渡り合う形で2着に入った。

その3カ月後にはヨーロッパ競馬界の夏の祭典、キングジョージに挑んだが、61キロという斤量が堪えたのか、アスコット競馬場の独特のコース形態が合わなかったのか、見せ場を作ることすらできずに7着に完敗した。

ライバルであるクロワデュノールが国内でタイトルを積み重ねる一方、海外で苦戦を強いられたマスカレードボール。

国内復帰緒戦となるこのレースは自身にとってのベスト条件。ルメールも認めたその末脚を爆発させ、復活勝利で王座を勝ち取るだろうか。

ダービーで上位を争った2頭ばかりがフォーカスされるが、今年の天皇賞(秋)には他にも有力馬がいる。最後に紹介したいのが今年で5歳を迎える古豪、ダノンデサイルだ。

2週前の秋華賞の勝利騎手インタビュー時に戸崎圭太が発した「ベリベリホース」。

この元ネタとなったのは実はこの馬。昨年のドバイシーマクラシックで後にジャパンCを制するカランダガンらの強豪を相手にしながらも突き抜けたこの馬のパフォーマンスを興奮気味に語ったのがこの言葉だった。

そんなベリベリホース・ダノンデサイルは3歳から頭角を現し、横山典弘とのタッグで京成杯を制して重賞初制覇を飾る。

皐月賞を直前で除外するという好判断が利いて、続くダービーを見事に勝利。9番人気ながらその力強い走りに多くのファンが震撼した。

その後、勝てない時期が続いたとはいえ、年末の有馬記念で3着に入ると、4歳緒戦のアメリカジョッキークラブCを制覇。そしてその勢いのまま先述のドバイシーマクラシックを勝利した。

だが、ダノンデサイルはその後の勝利に恵まれていない。英インターナショナルS5着から挑んだジャパンCから今年の宝塚記念までなんと4戦続けて3着。

すべてGⅠ、すべて3番人気以内に支持されてこの結果なだけに何とも歯がゆいが、条件問わずに伸びてくる安定感は評価できるはず。

もともと左回りのレースを得意としているところもある馬なだけに、東京開催の今回はまさにチャンス。GⅠ3勝目へ向けて本来の力を出し切りたい。

王道を行くダービー馬か、リベンジを期す昨年のチャンピオンか、はたまた第三のスターホースか......今年の天皇賞(秋)も見逃せない一戦となりそうだ。


■文/福嶌弘