ナダルから『最高の選手』と称賛された新星・西岡良仁に密着

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2020.9.28


西岡良仁 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

大坂なおみが開いたテニス新時代。その後に続く東京オリンピック期待の新星がいることをご存知だろうか?

西岡良仁。愛称はヨシ。身長170センチの小さな巨人が今、世界を魅了している。一昨年ツアー優勝も果たし日本よりも海外で知られる存在。さらに活動範囲はコートの中にとどまらない。YouTubeで自身のチャンネルを開設し発信するユーチューバーでもある西岡はテニス界の異端児なのだ。

去年のツアーでは、6歳年上の錦織圭に初めての対戦で勝利。1年間の獲得賞金は1億円に達している。

【動画】錦織圭から初勝利を挙げた東京五輪テニス期待の24歳「西岡良仁」に密着!

成長の秘密をもっと知るため、スウェーデンの大会に密着させてもらった。西岡は世界ランクのアップを至上命題としていた。それが東京オリンピックの出場に直結するからだ。今年6月に56位以内に入っていれば出場権を得られるため、今からポイントを稼いでおきたい。この時点で74位、あと一歩の位置まで来ている。

驚いたのは、今回の大会にコーチもトレーナーも帯同していなかったこと。全て単独行動。練習相手も自分で交渉して捕まえた。西岡は、あえてそうしているという。

男子のプロテニスでは試合中、コーチからの指示が禁じられている。そのため日頃から自分で局面を切り拓くことが試合にもつながるという。孤独な世界に喜びを見つける能力が西岡の強さなのかもしれない。

海外ツアーに出ると街歩きは欠かさないという。どうやら西岡は普通のアスリートとは違う感覚を持っているらしい。それを確信したのは、ホテルの部屋を訪問したときだった。

海外転戦に欠かせないものを聞いたところ出てきたのは何とビジネス書。この男、只者ではない。


西岡良仁 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー

ではいかにして西岡良仁は育ったのか紐解いていこう。出身地は三重県。実家はテニススクールを営んでいる。父は元プロ選手。母も運動好きだった。

3歳でラケットを握ると父はすぐに我が子の異才に気付いたという。それは「両手を等しく使える」という才能。特異な少年はタイトルを総なめにする。

その後、15歳でトッププロの登竜門、アメリカのIMGアカデミーへ。錦織と共に将来を嘱望された。19歳でアジア大会金メダル。21歳で世界ランクは58位にまで上がる。

だがその矢先、テニス選手では復帰の前例がほぼない大怪我という悲劇が起きる。しかし大手術と9ヶ月ものリハビリを経て、西岡はコートに戻る。

リハビリ期間中に始めたユーチューバーとしての活動。テニスのリアルを知って欲しいと続けている。
  
違う世界を覗いたことでこれから進むべき道もはっきりわかった。小柄な自分が世界で勝つには頭脳で戦うしかない。詳細は企業秘密だが、最新機器を使って脳を鍛える訓練も行っている。


西岡良仁 テレビ東京/追跡LIVE!SPORTSウォッチャー

スウェーデンオープンに話を戻そう。格上を破って二回戦に進んだ西岡が上位進出への正念場を迎えた。相手は世界ランク29位と勢いある若手。身長193センチから繰り出す強力なサーブを武器にしている。

この難敵相手に西岡の持ち味、頭脳で勝つテニスが炸裂した。相手が嫌がることを見つけ、そこを徹底して突くのが西岡のやり方。相手の心は折れ、セットの行方は決した。頭脳で勝つ。これが西岡の真骨頂。

西岡は準々決勝へ。だが相手の嫌がる所を突く戦法は、それが見つからないと使えない。この日の相手がまさにそうだった。絶好調で隙がない。こうなるとどうしても力負けしてしまう。

西岡は敗れたものの、ベスト8に入ったことで世界ランクは68位(※2020年9月28日現在は世界ランク52位)に上がった。

試合の翌朝、時刻は朝4時50分。西岡は次の試合会場へと移動する。これがプロテニス選手のリアル。

夕方の試合に出ると見事に勝利。翌日の試合では敗れたが調子の良さはキープできた。さらにシーズン最終戦では世界10位の強敵を打ち倒すジャイアントキリングを果たした。

迎えたオフ。プロテニス選手のオフはひと月ほどしかない。だからといってゆっくり体を休める...ような男ではなかった。テニスの普及と地域活性化を目指して子供やお年寄りにテニスを教える。年末は沖縄で合宿。体を動かさない本当の意味でのオフは2週間ほどしかなかった。

年が明け、新シーズン初戦。西岡は世界ランク1位ナダルと当たる。そこで西岡は劇的なプレーを見せつけ大観衆を魅了した。敗れはしたが、王者ナダルにこう言わしめた。

「彼はとても才能がある素晴らしい選手。タイミング、フットワークはツアーでも最高の選手の1人。彼はシーズンを素晴らしい形でスタートさせたし、つらい怪我からこんなに高いレベルに戻ってきたのはとても嬉しい」

東京オリンピックへ。テニス界の異端児は今年も頭脳で勝つ。