【フェブラリーS みどころ】ダートの新王者は誕生のヒントは若さか勢いか、それとも格か...

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2021.2.21


カフェファラオ 写真:伊藤 康夫/アフロ

これほどまでに混戦模様のG1レースなんて、近年あっただろうか?

 昨年のこのレースの覇者、モズアスコットが現役を去り、暮れのチャンピオンズCを制したチュウワウィザードはより強い相手を求めて遥か彼方のサウジCへ向かった。そして現役最強ダートホースの称号を欲しいままにしていたクリソベリルは故障のため、ここにエントリーすらできなかった。

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たった3頭がいないだけでこれだけ寂しく感じるレースも珍しい。飛車角落ちに感じる面々で盛り上がりに欠けるように思えるが......それは違う。

絶対王者がいないからこそ、新しい王者が生まれる可能性が非常に高い。特にダートの王というのはとかく突然現れるもので、中でもフェブラリーSはそうした"新王者誕生"を何度も演出してきたレースでもある。

例えば2000年。この時も確たる軸馬が存在せず、初ダートとなったキングヘイローが1番人気に推されるも単勝5.1倍という大混戦だったが、このレースを制したウイングアローはこの後ダートG1戦線でトップを張り続け、この年の最優秀ダート馬にも選出された。

 思えば2014年そうだった。この時は単勝最低人気のコパノリッキーがホッコータルマエもベルシャザールもねじ伏せる大波乱の結果となったが、その後のコパノリッキーは7歳で現役を去るまでにダートG1を10勝もするなど、長きにわたりダート界でトップに君臨し続けた。

要するに今年のフェブラリーSは向こう数年続くであろう、ダート界の新王者決定戦になる一戦と言えるだろう。

そう考えると、どこか寂しく感じられた16頭のメンバーも途端に魅力的に映るのだから不思議なものだ。初のG1タイトルを目指す中では前哨戦を華麗に勝ったレッドルゼルとオーヴェルニュ、そしてカフェファラオが候補だろうか。

堅実さを絵に描いたような馬なのがレッドルゼル。何しろデビューして以来、馬券圏内を外したのは15戦してたったの2回だけ。毎回のように堅実に伸びてくる末脚にファンは安心するし、毎回のように頼りにする。そんな実績馬だからこそ15戦して12回も単勝1番人気に推されるのかもしれない。

昨年の春にコーラルSを制してオープン入りを果たすと、天保山Sは僅差の2着。これでプロキオンSは1番人気に推されたものの、乱ペースに巻き込まれてまさかの8着。先行して押し切るのではなく、秋以降は後方からじっくりと差すことにシフトチェンジして以降は1着→2着。今年緒戦となった根岸Sでも中団から堂々と抜け出して重賞初制覇。マイルは未知の領域ながら、この末脚をもってすれば十分届くはずだ。

堅実さではレッドルゼルでも、勢いならばオーヴェルニュ。父スマートファルコン同様にスタートからスッと前に付けて好位につけると、早めにスパートを打って押し切るというレーススタイルを確立。昨秋から福島民友C、ベテルギウスS、そして今年の東海Sまで破竹の3連勝。常に人気のレッドルゼルとは違い、この3連勝中の人気はそれそれ4、5、2番人気。混戦模様の大一番で真の実力を発揮するか。

そしてこの2頭を上回るスケールを持ち、前日最終オッズで1番人気に推されたのがカフェファラオだ。

思い返せば昨年のフェブラリーS当日のヒヤシンスSを強い勝ちっぷりで制して「来年のフェブラリーS馬かも」と噂になるほどの大器。そうした期待に応えるかのように重賞初挑戦となったユニコーンS、古馬との初対戦となったシリウスSも快勝するなど、ポテンシャルの高いところを見せつけた。

ただしこの馬、これまでの大一番での実績はイマイチ。ユニコーンSを制してダントツ人気で迎えたジャパンダートダービーは3番手追走からまさかの失速で7着惨敗。シリウスS後にリベンジを期したチャンピオンズCも中団から伸び脚を欠いて6着止まり。得意の東京ダートマイル戦で真のポテンシャルを発揮できるか。この1点に尽きる。

「新参者にまだまだデカい顔はさせない」と意地を見せたいのが2年前のこのレースの覇者インティ、ダート重賞5勝馬サンライズノヴァ、そして昨年の南部杯勝ち馬のアルクトスだ。

 2年前にこのレースを制したインティはその後勝ち星に恵まれていないのが気がかりだが、昨年のチャンピオンズCで10番人気ながら3着に激走するなど、ここ一番での勝負強さは随一。前哨戦となった東海Sの大敗が気になるが、大敗後でも涼しい顔して巻き返してきた実績があるだけに無視はできない。

そしてサンライズノヴァとアルクトスの南部杯勝ち馬コンビも強力。昨年の3着馬でもあるサンライズノヴァはこのコースですでに5勝を挙げる実力馬。昨年も武蔵野Sを制するなど、明け7歳でも元気いっぱい。6歳のアルクトスは昨秋の南部杯の勝利でスケールアップ。根岸Sでは59キロの斤量が堪えたものの、勝ち馬レッドルゼルと0.2秒差の4着なら大健闘。同じ斤量となる今回なら逆転することは可能なはずだ。

 若い世代から新王者の誕生か、はたまた既存勢力が意地を見せるのか......2021年のG1レース第一弾のフェブラリーSは見逃せない一戦になりそうだ。

■文/秋山玲路


2021年2月21日(日)1回東京8日 発走時刻:15時40分
第38回フェブラリーステークスGI

枠-馬番 馬名(性齢 騎手)
1-1 エアアルマス(牡6 松山弘平)
1-2 インティ(牡7 武豊)
2-3 カフェファラオ(牡4 C.ルメール)
2-4 ヘリオス(せん5 M.デムーロ)
3-5 サクセスエナジー(牡7 酒井学)
3-6 アルクトス(牡6 田辺裕信)
4-7 ワンダーリーデル(牡8 横山典弘)
4-8 ワイドファラオ(牡5 福永祐一)
5-9 サンライズノヴァ(牡7 松若風馬)
5-10 エアスピネル(牡8 鮫島克駿)
6-11 スマートダンディー(牡7 秋山真一郎)
6-12 ヤマニンアンプリメ(牝7 横山武史)
7-13 ソリストサンダー(牡6 北村宏司)
7-14 オーヴェルニュ(牡5 丸山元気)
8-15 ミューチャリー(牡5 御神本訓史)
8-16 レッドルゼル(牡5 川田将雅)

※出馬表・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。