【NHKマイルC みどころ】グレナディアガーズ・バスラットレオン・シュネルマイスター 3頭の若きマイル王候補たち

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2021.5.9

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    グレナディアガーズ 写真:日刊スポーツ/アフロ

     春の3歳マイル王者決定戦 第26回NHKマイルカップ(GI 1600m 芝 ・左)が5月9日に東京競馬場で行われる。

    今年のNHKマイルCは一味違う。このレースには後のスターとなりうる逸材が複数エントリーしている。その筆頭格はやはり、昨年の2歳王者グレナディアガーズ。

    【NHKマイルC】グレナディアガーズは4枠8番 バスラットレオン2枠4番 枠順確定

    父は14戦無敗という大記録を打ち立てた名馬フランケル。

    日本ではこれまで30頭ほどしか走っていないが、その少ない産駒数の中からオークス馬ソウルスターリング、安田記念勝ち馬のモズアスコットらを輩出するなど極めて優秀な成績を収めている。

    そんな偉大なる父を持つ同馬だったが、デビュー戦で2着に敗れて以来、勝ちあぐねる日々が続いて初勝利はなんとデビュー3戦目まで待たねばならなかった。

    だが、この時の勝ち時計は同日に開催された2歳牝馬重賞のファンタジーS(GIII)と比べわずか0.3秒しか変わらないという好記録を叩き出すなど、豊かなスピード能力を見せた。そしてこの馬が最も輝いたのは次走の朝日杯FSだ。

    好時計で未勝利戦を勝ったばかりという勢いのまま出走を決断。やや無謀かとも思われた強気な挑戦だったが、最初の3ハロンが33秒7というハイペースを3番手で追走。

    そして最後の直線では残り200mの時点で先頭へ躍り出ると、後続から伸びてきたステラヴェローチェらの追い上げを振り切って勝利。7番人気という戦前の評価を覆して2歳王者の栄冠を手にした。

    年が明け3歳、グレナディアガーズはクラシック戦線には進まず、春の最大目標をNHKマイルCにすることを決める。そのため前哨戦として選んだのは中京で開催されたファルコンC(GIII)。

    ここでのグレナディアガーズは好位に位置取り、スムーズにレースを進めたが、逃げるルークズネストとの激しい追い比べ見せた後、最後はアタマ差競り負けての2着。2歳王者として年明け緒戦を飾ることはできなかった。

    ただし、この時のグレナディアガーズはルークズネストよりも1キロ重い斤量、57キロを背負っていたように決して力負けではない。

    その証拠に3着以下には2馬身1/2という決定的な差をつけている。2歳王者としての貫禄は見せた。ひと叩きした次走はさらなる上積みが期待できるのは間違いない。

    王者グレナディアガーズに待ったをかけるのが、バスラットレオンだ。

    スタートからポンとゲートを出る点の速さを武器にデビュー戦を快勝。札幌の中距離戦を走って上がり3ハロン33秒6でまとめるという快走で続く札幌2歳Sでも1番人気に支持されたが、結果的にこれが遠回りに。

    ここで3着に敗れると、続く京都2歳Sでは6着に完敗。持ち味は生かせぬままだった。

    未勝利勝ちの勢いに乗って出走してきたグレナディアガーズとは異なり、矛先を変えることで馬に変化を与えたいという思いでエントリーしてきた朝日杯FS。

    結果こそ4着と勝ち切れなかったものの、3番手から流れに乗って大きく崩れずに走れたことで復活の兆しが見えた。それが年明け以降のマイル戦を狙い撃ちして3戦2勝という好成績につながっていった。中でも圧巻だったのがニュージーランドTである。

    スタートから迷いなく先頭に立つと、前半3ハロンを35秒0という淀みないペースで逃げを打った。一見すると少々飛ばし気味に見えたものの、逃げたバスラットレオンには走りやすいペースだったようで、直線に入ってもそのひとり旅は続いたまま。

    後続馬が伸びあぐねる中で涼しい顔をしてスイスイと逃げ切り勝ち。結果的に2着馬には5馬身もの大差をつけていた。

    マイルに矛先を絞ったことで見えてきた王座への道。マイル王へのビクトリーロードも逃げて逃げて逃げまくりたい。

    かつて、NHKマイルCには「マル外ダービー」という呼称があった。

    クラシックへの出走が制限されていた外国産馬たちにとって唯一にして最大の見せ場となるレースだけにこうした呼ばれ方をしたが、外国産馬がこのレースを勝ったのは2001年のクロフネが最後。後は日本で生産された馬たちが勝ち続けている。

    日本の競馬のレベルが上がったことの証明でもあるが、海を越えてやってきた黒船たちの走りもまた楽しみなもの。今年の場合、シュネルマイスターがマイル王の座を狙っている。

     ドイツの名牝系Sライン出身の力強さを背景に、デビュー戦、そしてひいらぎ賞を快勝。

    単に速いだけでなく、力強さを感じるその走りはまさに大物のそれ。それだけに陣営の評価も高く、3歳緒戦は皐月賞への前哨戦、弥生賞へと駒を進めた。

     父のキングマンは主にマイル以下の距離で良績を集めてきた馬で、シュネルマイスター自身も典型的なマイラー体型。

    それだけに2000mの弥生賞ではいささか分が悪いかと思われたが、荒れた馬場も難なくこなして2着に。後ろから差すだけでなく、ある程度前から流れに乗って動けることを示すなど、負けたにしては収穫の多い一戦だった。

     この馬もまた、クラシック戦線には見向きもせずにNHKマイルCへとエントリー。自分の能力を最大限に生かせる場所をわかっているからこその選択だろう。

     2歳王者が強さをそのまま誇示するか、上り調子の新鋭がリベンジを果たすか、それとも20年ぶりに外国産馬旋風が吹き荒れるか......

    今年のNHKマイルCは3頭の若きマイル王候補を中心に大いに盛り上がることになりそうだ。

    文=福嶌弘