【オークス みどころ】白毛馬のアイドルが真の名牝へ近づくか それとも...

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2021.5.22

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    ソダシ 写真:日刊スポーツ/アフロ

     今年の樫の舞台は、若き乙女たちにどんな試練を与えるのだろうか。

     ほとんどの馬が初めての経験となる2400mの舞台。酸いも甘いも知る古馬ならばまだしも、まだ若き3歳牝馬たちにとっては過酷な舞台となるオークスは若き牝馬たちにとって大きな壁となってきたレースでもある。

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     もともとクラシックレースは将来の名種牡馬、名繁殖牝馬を見つけるためのレースとして行われてきたもの。桜花賞ではスピード、オークスではクラシックディスタンスを乗り切れるだけのスタミナがある馬を長らく尊ばれてきた。

    そのためかオークスの歴代勝ち馬を見ると、名牝・名繁殖牝馬の宝庫。古くは1979年のアグネスレディー(アグネスタキオン、アグネスフライトの祖母)に始まり、1983年の勝ち馬ダイナカールはその13年後に娘エアグルーヴもこのレースを制し、一大牝系を築いた。

    他にも1993年の勝ち馬ベガ、2005年の勝ち馬シーザリオなど、オークス馬=名繁殖牝馬という系譜は今もなお続いている。

    また、近年のオークス馬はブエナビスタやジェンティルドンナ、そして記憶に新しいアーモンドアイなど牡馬を相手にしても屈しなかった実力馬たちもこのオークスをステップとして飛躍していった。

    つまり、オークスを制した馬はその後の競馬界を背負って立つ存在になる、いわば出世レースとも言えるだろう。

     そんなオークスで今年、主役を担うのは無敗の桜花賞馬、ソダシをおいて他ならない。

     生まれた時から真っ白な馬体で注目集めてきた彼女。一族はその毛色の美しさだけが話題になってきたが、彼女はその走りで魅せてきた。

     振り返れば夏の函館でのデビュー戦。2番手から押し切って牡馬をねじ伏せると、続く札幌2歳Sでは4角先頭に立つという強気なレース運びで後の重賞勝ち馬、バスラットレオンを下して重賞初勝利。

    その後は牝馬限定戦のアルテミスS、阪神JFを危なげなく制して2歳女王に君臨。白毛馬初のGIホースとして大いに話題になった。

     そして今年の春。ソダシはさらに輝いた。ぶっつけ本番となった桜花賞では3番手から流れに乗り、直線では他の馬たちの挑戦を受けるとばかりに、早めに先頭へ。

    ソダシを交わすべく上がってきた馬たちをことごとく破って、見事に桜の女王へ。白毛馬初のクラシックホースは競馬界における新たなアイドルの誕生とイコールとなった。

     オークスまでのこの1ヶ月半、ソダシの報道は日を追うごとに加熱していき、その様子はまさにアイドル顔負け。桜花賞前から話題になっていた彼女の馬体を模した真っ白なぬいぐるみは飛ぶように売れ続け、未だ生産が追い付かず、激レアアイテムのまま。

    かつてのオグリキャップを彷彿とさせるかのような盛況ぶりを見ると、いかに彼女が愛されているかがわかる。

     ここまで堂々の5戦無敗。穢れを知らない無敗の女王は未知の舞台となる2400mでどんなパフォーマンスを見せるか――その走りで我々を再び釘付けにすることだろう。

     阪神JF、桜花賞と今年の牝馬クラシックの王道を駆け抜けてきたソダシ。それだけにライバル馬たちはすでに勝負付けが済んでいるようにも見える。

    ましてや今回は阪神JF、桜花賞ともに2着に迫ってきた最大のライバル・サトノレイナスがいない。無敗での二冠制覇は限りなく濃厚に映るが......条件替わりでリベンジを期す馬がいる。

    その代表格こそ、アカイトリノムスメだ。

     父はディープインパクト、母は牝馬三冠馬アパパネと血統のポテンシャルならソダシ以上の超良血馬。まさにクラシックレースを走るために生まれてきたようなプロフィールを持つ彼女だが、その期待にこたえるかのようにデビュー2戦目から3連勝でクイーンCを制覇。

    同馬主のライバル、ソダシと初対決となった桜花賞ではそのソダシをマークするようにレースを進めて4着。まだまだ力不足を感じさせた。

     だが、今回は違う。初遠征で臨んだ桜花賞とは違い、オークスの舞台はクイーンCを制するなど、勝手知ったる府中でのもの。血統的にも2400mの距離は十分対応できるだけの素地はある。

     加えて今回は、鞍上にクリストフ・ルメールを迎える。ソウルスターリングにアーモンドアイとこの5年でオークスを2勝しているだけでなく、数々の名牝たちを輝かせた最強パートナーとタッグを組む。歴代3組目となるオークス母娘制覇に向けて視界は良好だろう。

     誰もが願う「打倒ソダシ」。その中でも今回、最も彼女に勝ちたいのはユーバーレーベンかもしれない。

     ここまで6戦1勝と成績だけ見ればたいしたことないが、敗れた5戦中3戦はソダシを相手にしてのもの。初顔合わせの札幌2歳S、2歳女王決定戦の阪神JFでのタイム差はいずれも0.1秒以内でのもの。どちらのレースでも上がり3ハロン最速の末脚を記録してのものだけに、その悔しさは計り知れない。

     血統的にもマイルは少々短いと判断して、この春はフラワーC、フローラSというローテーションを組んで敢えてソダシとは別路線を歩んできたユーバーレーベン。

    だが、目標とするソダシがいなかったためか、結果はともに3着とあと一歩届かなかった。父ゴールドシップから受け継いだ豊富なスタミナに切れのある末脚ならば世代屈指という実力馬だけに、オークスの舞台で今度こそソダシにリベンジを果たしたい。

     先行して早めに抜け出すのが、女王ソダシの勝ちパターン。それゆえに破るとすれば後ろから行く馬と思いがちだが......近年のオークスで穴を開けてきた伏兵たちはいずれも前にいた。そんな傾向を踏まえれば、フローラS勝ち馬クールキャットも侮れない。

     後方待機策でレースをして、鳴かず飛ばずだった彼女が前走のフローラSでは4番手に付けるという積極策を敢行。

    その結果、ユーバーレーベンらの追撃を交わして重賞初制覇。本番オークスはさらなる距離延長となるが、母系を辿れば名門メジロ一族にたどり着く。加えて鞍上は名手・武豊。大波乱を起こすにはふさわしい1頭かもしれない。

     競馬界の新アイドル、ソダシが無敗の二冠を達成し名牝への道を歩みだすか、それとも純白の女王に土をつける伏兵が現れるのか――今年のオークスはどんなレースになるのだろうか。


    ■文/福嶌弘