サッカー日本代表 ベネズエラ代表戦で得た手応えと反省 エクアドル戦に向け森保監督「また多くの選手を替えて臨みたい」
勝ち越しゴールを喜び合う日本イレブン(c)SANKEI
<2026年9月28日 キリンチャレンジカップ2026 日本 2-1 ベネズエラ@エディオンピースウイング広島>
ベネズエラ代表戦の戦力チェック
来年1月のアジアカップへ向けて、今夏のワールドカップからチームの底上げを図る森保一監督に与えられた時間はあまり多くない。11月までに6試合。そのうち最初の4試合は連戦で、9月28日に2戦目を終えて10月1日、5日にはキリンカップで2連戦に臨む。
28日に広島で行われた国際親善試合のベネズエラ代表戦では、24日のウルグアイ代表戦(3-1)から先発を大きく入れ替え、さらに後半には多くの交代も実施。日本は後半出場したFW上田綺世(リール)の2ゴールで2-1の逆転勝利で、2連勝とした。
第1戦の先発から10人を変更し、MF齋藤俊輔(ウェステルロー)、MF中野就斗(広島)ら4人が代表デビュー。
FW後藤啓介(フライブルク)やFW佐藤龍之介(バレンシア)は代表6戦目、初出場で序盤に負傷交代となったMF熊坂光希(柏)に代わって入ったMF田中聡(シャルケ)も代表戦2戦目で、経験の浅い選手主体の編成だった。
鎌田からのフィードを中心に前線の後藤、佐藤、齋藤、ウィングバックの中野やMF相馬勇紀(町田)らが相手ゴールを目指すが、当然ながら慣れない組み合わせで連係は今ひとつ。日本戦に合わせて従来の4バックから3バックに変更した相手の出方や、激しいプレッシャーを受けて、思うような展開に持ち込めなかった。
日本の決定機は前半30分過ぎの2本ほどか。ペナルティボックスの周りでパスをつないで左右に振り、最後に鎌田のパスを受けた相馬がシュートを放った場面と、その直後に田中聡のスルーパスに後藤が反応して抜け出し、GKと1対1でゴールを狙った。
一方、守備は2戦連続先発のDF瀬古歩夢(ル・アーヴル)にDF渡辺剛(フェイエノールト)、DF鈴木淳之介(コペンハーゲン)の3バックを中心に鎌田と田中聡が中盤で対応。
流れの中でチャンスらしいチャンスは作らせず、ゴールを脅かされたのはハーフタイム直前のCKからの2本のみ。それも初キャップのGK小久保玲央ブライアン(シントトロイデン)のセーブとDF瀬古の冷静な対応で逃れ、無失点で前半を終えた。
流れを変えた主力組
手詰まり感の漂った前半から日本が攻撃のリズムを掴んだのは、一気に5人の主力組を投入したハーフタイム後。後半開始からGK鈴木彩艶(アストン・ビラ)のほか、上田、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、MF伊東純也(ゲンク)、MF田中碧(リーズ)を送り込むと攻撃が活性化し、相手を押し込む展開に持ち込んだ。
多くの交代でチームが少し落ち着かない後半の立ち上がり、ベネズエラの奇襲を受けて、GK鈴木も対応できずに失点を許したが、日本は慌てることなく即座に反撃した。
テンポの良いパスワークと動きで、左サイドの相馬からボールを受けた伊東が前線の上田にフィード。絶妙なタイミングで相手守備陣の裏に抜けだした上田が決めて追いついた。上田は2戦連続ゴール、伊東は2戦連続アシストをマークした。
試合終盤にはDF渡辺が足を痛めてプレーを続けられず、交代枠を使いきっていた日本は残り時間を10人で戦うことになったが、この展開にも最終ラインを3バックから4バックに変更して対応。
伊東が右サイドバック、MF中村敬斗(リヨン)が左サイドバックに入ってDF伊藤洋輝(バイエルン)、DF鈴木淳之介(コペンハーゲン)と守備を安定させた。その一方で、チャンスと見ると伊東や久保建英(レアル・ソシエダ)が自陣から前線へ長い距離を攻め上がり、相手ゴールに迫った。
後半アディショナルタイムに得たPKも、久保のドリブルでの仕掛けから。ペナルティボックスまで持ち込んだところで、クラブ同僚のMFヤンヘル・エレラに倒され、VARでの判定でPKを獲得した。
当初、VARの確認は、カウンター攻撃で日本のペナルティボックスに入ったベネズエラFWヘスス・ラミレスが、DF鈴木に倒されたプレーが対象だと思われていたが、その直前に発生していた久保へのファウルが判明。日本がPKを獲得し、これを上田が決めて、雨中の対戦に決着をつけた。
エレラが足を出したのは「読み通り」という久保だが、「結果的にPKになったが、その前に点を獲りに上がっている。一人少ない状況で、あれがトーナメントの可能性もある。延長があると考えたときに、あそこで(90分以内に)狙いに行くのは大事だと思う」と語った。
森保一監督(c)SANKEI
指揮官の狙い
前半は経験の浅い選手を試し、後半は経験のある選手が違いを見せる形になったが、何人がアピールに成功したのか。
一度に多くの経験の浅い選手を起用すれば、チームとしての連係やリズムは欠くが、打開力や適応力など個人の技量は諮ることができる。この2試合で今回の代表活動に参加している選手30人全員が出場機会を得た。
森保監督は、前半から経験の浅い選手を多く起用したことについて、試合開始からならではの相手の強度の高さを感じてプレーする重要性を説く。
「インテンシティ高く戦ってくる相手に対して、スタートからプレーすることは非常に意義がある。流れが決まっていない中で自分が地が流れを持っていく。時間とスペースがない中でどういうプレーができるか。途中から15分、20分出るよりも、これからの成長につながる」
日本代表指揮官は経験の浅い選手について「よくトライしてくれた」と話したが、「プレーの強度を上げ、フィニッシュの部分やビッグチャンスになるときのクオリティは、さらに経験を積んで上げてもらいたい」と注文も忘れなかった。
選手の反省と手ごたえ
前半8分で緊急登板となり後半36分までプレーした田中聡は、「ミスもあったがどんどんチャレンジしようとしていたが、自分の良さは全然出せなかったと思う。ピッチでも劣っているとは感じたが、それでもその中でプレーできて、必ず今後に生きてくるだろうなと感じた」と話した。
中野は「自分らしさを出せた部分もある」としながらも、自分のサイドを突かれて失点につながった場面については、「そういうところで国際舞台ではやられてしまう。突き詰めないといけない」と振り返った。
後藤は「決定機が1本あった。あそこを決められないと生き残っていけない世界。ああいうチャンスをしっかりとモノにしたい」と反省。
相手GKが予想より早く出てきたことで、浮かすしかなかったと振り返り、「簡単に次が来るとは思わないが、出るチャンスがあったらしっかり準備して決められるようにしたい」と話した。
新たな機会を得ている若手について、ベネズエラ戦では後半途中出場したMF堂安律(フランクフルト)は、「チームの戦術を新しい選手も理解しながら自分たちの良さを出していくことを、共有しながらやっている。結果を出した若い選手もいて、楽しみ」と話した。
エクアドル戦でも多くの戦力チェックへ
日本はキリンカップで1日にエクアドル代表と日産スタジアムで、5日にパナマ代表かニュージーランド代表と東京の国立競技場で対戦する。
エクアドルは日本と同様に今夏のW杯ではノックアウトステージ1回戦でメキシコに敗れてベスト32で敗退したが、強豪が揃う南米予選は2位で突破し、18試合で5失点の堅守が光った。
現在のFIFAランクでは25位(日本は17位)。日本との通算対戦成績は日本の2勝2分けだが、森保監督体制で臨んだ2019年6月のコパアメリカと、2022年9月の親善試合はいずれも1-1、0-0との引き分けだった。
日本は9月の2試合を受けて、森保監督は4連戦の残り2試合でどういう組み合わせを採用し、誰が頭角を現すのか。
エクアドル戦を前に日本代表指揮官は「ベネズエラ戦から、また多くの選手を替えて臨みたい。ホームでタイトルを獲れるように、チーム一丸となって勝利を目指して戦いたい」と言った。
チームの底上げへ、テストは続く。
取材・文:木ノ原句望