【有馬記念 みどころ】新世代王者か?史上初のグランプリ4連覇か?2021年の総決算に思いを馳せる

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2021.12.26

過ぎ行く1年を惜しみつつ、やって来る新しい1年に思いを馳せる

 2021年はあなたにとって、どんな年だっただろうか?

「素晴らしい年だった」と胸を張る人もいれば、「悔いが残る」と歯を食いしばる人もいるだろう。結婚・出産で新しい家族を迎えたという方もいれば、図らずして別れを経験した方もいるはずだ。コロナ禍でもなんでも、どんな人にも皆等しく時間は経過し、2021年の時は過ぎていった。

 そして今年も、グランプリレース・有馬記念の時期が迫ってきた。

 競走馬は決して過去を振り返る生き物ではないが、馬券を買う人間側は有馬記念の出走馬を見ながら、この1年がどんな年だったのかを振り返りながら予想する。

ここまで人々の生活に溶け込んでいるレースなんて、有馬記念を置いて他にない。だからだろうか、有馬記念の結果はその年の世相を表すことがよくある。

 例えば2001年、アメリカで同時多発テロ事件が起こった年にはマンハッタンカフェ、アメリカンボスというアメリカ関連の馬名を持った馬がワンツーフィニッシュを決めた。

また2008年は、8月8日から北京五輪が開催されたためか、枠連で8-8という万馬券決着となるなど、この手の決着には枚挙にいとまがない。ということで各ニュースから2021年を振り返ってみて、注目する馬を探すのもアリだろう。

 今年のスポーツ界を振り返るのであれば、メジャーリーグでMVPを獲得した大谷翔平などをはじめ、若い世代のスポーツ選手たちの活躍が印象的な1年だったと言えるだろう。

 その観点で言えば、横山武史が騎乗する皐月賞馬、エフフォーリアが面白い。

 今年、急成長を遂げた騎手と言えば、横山武史の名前が挙がることだろう。デビュー4年目だった昨年に関東リーディングを獲得したが、それに飽き足らず今年は前年以上の活躍を見せた。何より彼を頼れたのは大レースでの騎乗時。その時のパートナーになったのがこのエフフォーリアである。

 デビュー戦からコンビを組み、年明け緒戦の共同通信杯を制して重賞初制覇を飾ると、直行で臨んだのはクラシック第1冠目の皐月賞。

クラシック騎乗経験が乏しいだけにプレッシャーは並大抵のものではなかったはずだが、フタをかけてみれば危なげない走りでまず1冠目を制覇していた。

続くダービーではシャフリヤールの追撃に遭い2着に敗れたが、まもなく休養入り。菊花賞には目もくれず、秋緒戦には天皇賞(秋)を選択。

ここでも三冠馬コントレイル、短距離女王であるグランアレグリアとの3強対決となったが、直線に入ると敢然に先頭に立って抜け出し、先輩古馬たちを軽くあしらう形で勝ち、古馬相手でもあっさりと制圧してしまった。

 メジャーリーグに東京五輪、そしてプロ野球でも、若い選手たちの台頭が目立った今年。その流れを汲むのなら3歳の若武者、エフフォーリアがグランプリの舞台で世代交代を高らかに叫んでも何ら不思議はないはずだ。

 一方、芸能界を振り返るのなら今年はビッグカップルの誕生が多く相次いだように思う。今や日本を代表するお笑い芸人の1人となった有吉弘行とフリーアナウンサーの夏目三久、ドラマや映画で共演して以来、親密に仲をはぐくんできた星野源&新垣結衣に菅田将暉と小松菜奈など、挙げればキリがないほど、今年は大物カップルの誕生ラッシュだった。

 また、競馬界でもマイルCSでのグランアレグリア、ジャパンCでのコントレイル、そして香港C後のラヴズオンリーユー......と、ラストランを華々しく飾った馬がこの秋のトレンドになっている。

 こうしたハッピーエンディングを求めるのなら、クロノジェネシス一択だろう。

 昨年の宝塚記念、有馬記念を制しグランプリの女王となってから丸1年。5歳になった彼女は2021年、海外制覇を目指して海外へと旅立った。緒戦のドバイSCではあと1歩届かずにミシュリフに届かず2着。

国内へ戻ると鞍上の北村友一が落馬負傷で長期休養を余儀なくされ、クロノジェネシスは新パートナーとなるクリストフ・ルメールを迎えて宝塚記念を連覇。かねてからの目標だった凱旋門賞に挑んだ。

ところが、レース当日の凱旋門賞の馬場は日本の不良馬場とは比べ物にならないほどの道悪状態。これでは能力を発揮することは難しく、キャリアワースト記録となる7着に終わった。

 そんな彼女がこの有馬記念で現役を去る。レース後には引退セレモニーまで行うというのだからズバリ負けるわけにはいかない一戦でもある。クロノジェネシスにとっての2021年は栄光も挫折も噛みしめた1年だった。

だからこそ、最後は得意の中山で勝利を飾り、明るく楽しく現役を去ろう――そんな思いが詰まった彼女のラストランから目が離せない。

そして結婚が関連している馬で言えば、文字通りアカイイトと幸英明のコンビもふさわしいかもしれない。父サンデーサイレンス、母シンボリクリスエスという超重厚な血統を持つ彼女はこの秋までGIどころかGIIすら勝てていなかった。

そんな彼女がエリザベス女王杯で突如として目を覚まし、誰も驚くG1初制覇。今の勢いに賭けるのであれば、押し切ってもいいかもしれない。人馬ともに初舞台となるグランプリの地で再び大波乱を起こすために体制は整った。

 2021年の競馬界も残りあとわずか。出走馬1頭ずつに思いを馳せ、この1年をかみしめながらグランプリレースを味わいたい。


■文/福嶌弘