【皐月賞】ジオグリフ一冠 ここ一番で炸裂した、ダイナマイトの末脚

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2022.4.18

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    2022皐月賞 ジオグリフが優勝 写真:日刊スポーツ/アフロ

    「なんて馬だ......」―― さかのぼることおよそ半年前、札幌2歳Sでのジオグリフの走りに、筆者は心底驚かされた。

     ゲートの出はそこそこながら、折り合いを重視してかとった位置取りは9頭中9番手の最後方。

    向こう正面に入ってもその位置取りは変わらず、小回りでなおかつ直線が短い札幌競馬場でその位置取りはさすがに届かないのでは?と思わせたが......残り800mに入ったあたりからジオグリフのエンジンにギアが入った。

     それまで最後方にいたジオグリフは残り800mを過ぎたあたりから動き始め、前を行く馬たちを1頭ずつ交わして3コーナーに入るころには5番手、4コーナーを過ぎるころには3番手に付けて......というように、いわゆるマクリを打ったのだ。

    直線に入ったジオグリフはトップギアに入った状態であっさりと前を行く馬たちを交わして先頭に立ち、最後には鞍上のクリストフ・ルメールが手綱を持ったままでゴール。2着のアスクワイルドモアには4馬身差をつける圧勝を見せた。

    強い馬でないとできない戦法と言われているマクリは経験豊富な古馬ならまだしも、デビュー直後の2歳馬ができるような芸当ではない。それをたった2戦のキャリアしかないノド鳴りの持病持ちの2歳馬が敢行して突き抜けたのだから、馬券のアタリハズレ以前に 本当に驚かされた。

    ジオグリフの父は新種牡馬のドレフォン。これが産駒デビュー1年目のため、当然ながら得意な距離も馬場も未知数のまま。それゆえにジオグリフがこの先、ターフにどんな未来を描くかがとても気になったのだ。

     しかし、そこからのジオグリフは少しばかり停滞する。2歳王者決定戦となる暮れの朝日杯FSでは札幌2歳Sと同様にスタートから後方に位置していたが、コーナーを2回しか回らないコースレイアウトで走ったことでポジションを上げづらかったのか、4角13番手という位置で直線に。そこから必死に猛追したものの、5着に入るのが精一杯だった。

     3歳緒戦として選んだ共同通信杯では2歳時の実績を加味して出走馬の中で最重量となる斤量57キロを背負うことを考慮して先行策から抜け出そうとすると、今度はダノンベルーガの末脚に屈する形で2着に惜敗。

    札幌2歳Sで見せたあの暴力的なまでの強い勝ちっぷりは鳴りを潜め、ジオグリフはいつしか主役級から脇役の扱いに替わって、クラシックを迎えることになった。

     クラシック目前の2戦で結果を出せなかったのだから、ジオグリフの評価が下がるのは仕方がないが、それ以上に今年の牡馬クラシック戦線はこれまでに例を見ないほどの戦国模様。重賞のたびに勝ち馬が入れ替わったため、皐月賞にエントリーした18頭中重賞勝ち馬は10頭いたが、重賞を2つ以上勝った馬はゼロ。

    どの馬が勝ってもおかしくないという混戦模様だっただけに、人気も割れ気味。その中で2歳王者のドウデュースが1番人気の支持を集めたが、オッズは3.9倍と過去10年のオッズで最も高く、盤石の存在とは言えないものだった。

     晴れたり、曇ったりという何ともスッキリしない空の下で迎えたパドック。各馬順調に仕上がってきた様子をアピールする中で、ひときわやる気になっていたのが他ならぬジオグリフだった。

    その周回はまるで前を行くビーアストニッシドをせかすかのように歩く姿は一見チャカついているようだが、普段と比べるとだいぶ落ち着いたもの。

    初の中山コース、そして初めて鞍上に福永祐一を迎え入れるという初物ばかりの一戦が逆に彼にとっては刺激になったのかもしれない。

     そうして迎えたレース。アスクビクターモアが先頭に立ち、デシエルトが2番手で流れを作っていく中、人気に推されたドウデュースは後ろから2頭目と極端な位置に。

    そのドウデュースと人気を争ったダノンベルーガ、イクイノックスが中団5~6番手で折り合いをつけている中に混じるようにジオグリフが入っていた。

     1000m通過タイムが60秒2というよどみない流れでレースが進み、各馬の動きが激しくなる中、先に動いたのがイクイノックスとダノンベルーガ。枠の関係もあり直線では内外に進路をそれぞれ取ることになるが、勝つにはここしかないというタイミングで動いていた。

     そして、この2頭と同じかそれ以上に勝負所でいい動きを見せていたのがジオグリフだった。久々にコーナーを4回回るコースを走ったことで何かスイッチが入ったのか、3コーナーから4コーナーにかけての動きはまるで札幌2歳Sを再現したかのような動きだった。

     こうなると、ジオグリフはもう止まらない。

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    2022皐月賞 ジオグリフが優勝 写真:日刊スポーツ/アフロ

     迎えた直線。先頭を行くアスクビクターモアにコーナーワークを生かして並んだダノンベルーガを外から捕まえたイクイノックスのさらに外からジオグリフは迫り、坂を上っての最後の200mの脚はまさにダイナマイトが爆発したかのような破壊力で、気が付けば2着のイクイノックスに1馬身差をつけてゴール。

    新種牡馬の産駒、そして木村哲也調教師の管理馬2頭のワンツーフィニッシュというまるで新時代の到来を告げるような結果になった。

    「自分が上手く誘導さえできれば、勝てると思っていた」と、レース後に語ったのはジオグリフ鞍上の福永祐一。クラシック本番の今回が初タッグとなったが、調教からこの馬のポテンシャルの高さは感じ取っていたようで、4コーナーで外に持ち出したのも「ある程度エンジンをふかした状態で直線を向くため」のことだったという。

     続く目標はもちろんダービー。勝つときはド派手に突き抜けてくるジオグリフがダービーの直線でどんな走りを見せるのか、早くも楽しみになってきた。


    ■文/福嶌弘

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    第82回皐月賞(GI)着順
    4月17日(日)3回中山8日 発走時刻:15時40分

    着順 馬名(性齢 騎手)人気
    1着 ジオグリフ(牡3 福永祐一)5
    2着 イクイノックス(牡3 C.ルメール)3
    3着 ドウデュース(牡3 武豊)1
    4着 ダノンベルーガ(牡3 川田将雅)2
    5着 アスクビクターモア(牡3 田辺裕信)6
    6着 オニャンコポン(牡3 菅原明良)8
    7着 ジャスティンロック(牡3 戸崎圭太)10
    8着 ラーグルフ(牡3 丸田恭介)16
    9着 ジャスティンパレス(牡3 M.デムーロ)9
    10着 ダンテスヴュー(牡3 吉田隼人)15
    11着 ビーアストニッシド(牡3 和田竜二)13
    12着 マテンロウレオ(牡3 横山典弘)14
    13着 キラーアビリティ(牡3 横山武史)4
    14着 ボーンディスウェイ(牡3 石橋脩)12
    15着 グランドライン(牡3 三浦皇成)17
    16着 デシエルト(牡3 岩田康誠)7
    17着 サトノヘリオス(牡3 岩田望来)11
    18着 トーセンヴァンノ(牡3 木幡巧也)18

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。