斉藤和巳が語る!”球界の宝物”佐々木朗希 見えてきたドーム球場への課題「風がないと変化球の変化量が弱まる」

野球

2022.5.2



2度の沢村賞を受賞するなど、負けないエースと称された元ダイエー・ソフトバンク 斉藤和巳さんが、令和の怪物・佐々木朗希投手(20)の起用法から見えるロッテの育成方針、また見えてきた今後の課題について自身の見解を語った。

斉藤和巳 解説

ープロ3年目、ローテーションを守りながらも一旦登録抹消している佐々木投手の現状。これについてはどう思う?

これには考え方が色々あると思います。2試合連続で完全試合間近での降板にも物議を醸しましたが、見方によってはロッテという球団が今年佐々木朗希にどういう形でシーズンを過ごしてほしいかが世間の人々にも明確になったかと思います。

ただ、2試合連続完全試合というチャンスも中々ないですし、今後も世界的に野球界で出てくるのかどうかも分からない記録というところだけで見ると、惜しかったなというのが大多数の人たちの意見だと思います。

そこはこれだけの宝物を預かったロッテが、今年は佐々木に1年間1軍のマウンドに立ち続けさせたい。なぜなら彼には将来があって、彼だけの将来ではなく日本のプロ野球界全体の将来も考えて、というところでの降板の判断だと僕は勝手に思っています。

もし自分が佐々木の立場なら、「投げます」と言うところです。ファンの為のプロ野球というところも考えると、もう1イニングいっても良かったんじゃないかなという見方はありますよね。見たかったですよね、記録を。

ただスーパースターって、何か過去に武勇伝がありますよね。今後彼がすごい選手にどんどんなっていった時にあの降板が大きくなって、その判断をした人たちが浮かばれるような野球人生を歩んでほしいなと思います。

ーエース時代の斉藤さんなら絶対に降りない?

降りないですね。ピッチングコーチの方が聞きに来た時に、逆に「聞く?これ」って感じです。(笑)

あの試合は佐々木投手が代わりたいと言ったわけではないと思います。チーム方針としてだと思うんですが、基本的にピッチャーから代わりたいと言うことはないですし、特にああいう試合の中で交代と言われたら「いやいやいや。ちょっと待ってください!」って言いますよね。

1試合の記録かもしれないですが、中々できるものではないので。多分、当時だったら聞かれることもなかったでしょうし。でも監督、コーチから言われたら絶対に交代ですね。 もしかすると佐々木投手も投げたかったかもしれない、それはチームにしか分からないことなので。主力になればある程度選択できる部分はあると思いますが、それだけ今年の佐々木投手に対してロッテ球団は明確にスケジュールを組んでこなしていく。彼の為、プロ野球の為、ということがはっきり見えたような気がしました。

それで逆にすごいなと思いました。井口監督は「どんな状況でも8回で代えるつもりだった」と言われていたので、そこまであの状況で明確に判断することができる監督、コーチの方々はすごいなと思いました。



ー大きな体で160キロを投げる佐々木投手。この若さで酷使すると、やはり壊れてしまう?

投げること自体が体に負担はかかるので、どんなに良い投げ方をしていても絶対に負担は来ます。

アマチュアの時は、毎週のように緊張感の中で120球、130球と投げることはなかったでしょうし、そういったところでプロの先発ピッチャーとして、プロのローテーションを守るピッチャーとして、と少しずつ段階を踏んでいっていると思います。

自分たちの時代で考えると、中々受け入れ難いところもあったりしますが、今の時代の考えでやっているんだなと思います。150球投げ続けても壊れない人は壊れないです。ただロッテとしては、今の佐々木投手ではそれは難しいだろうという判断の中でやっていると思います。

それを「過保護」という諸先輩方もいてそういう見方もあると思いますが、「リスクを少なくしてより長い野球人生を歩んでほしい、それがチームにとっては常にプラスになる」という考え方だと思うと、理にかなっていると思います。

時代と言えば時代ですね。物足りなさがあるのは、歳を取った証拠ということで。(笑)

ー佐々木投手をルーキー当時から「モノが違う」と評価し成長を見てきた斉藤さん、成長ぶりは予想通り?

予想通りですね。予想以上ということはないですね。もうそれだけの選手ということは分かっていたので。

体が出来上がって、プロ野球の空気に慣れてきたらある程度のパフォーマンスはするだろうなと分かっていましたが、怪我だけは怖かったですね。大きな怪我はここまでないので今のところ順調に来ているなと思います。

今年に関して一つ気になるのが、屋外の球場での良いピッチングが多いんですよね。ドーム球場であまり良い成績が残せていない。ZOZOマリンスタジアム(ロッテ)は独特な風で有名な球場です。真っ直ぐはどこでもいけるんですが、フォークなどの変化球は風で他の球場とは変わってきます。自分が思っている以上に変化球は風の影響を受けて、落ちたり曲がったりします。



あの2試合はZOZOマリンですよね。たまたまかもしれないですが、オープン戦からの数字を見ていくと屋外の方が数字は良いんですよね。今後、ドーム球場でのピッチングを改善できるのであれば、また面白くなるのかなと思います。

いつもの球のイメージを他の球場では変えないといけないことがあります。彼の場合、真っ直ぐとフォークは思い切って腕が振れれば良いですが、他の球種を操れなくなると真っ直ぐとフォークが狙われやすくなって、そこの見極めだけでいいとなってしまいます。スライダーやカーブ、チェンジアップも持っているので、どこの球場にいてもその辺りをある程度投げ切れるようになれば、絞りにくくなると思います。

数字だけを見ると、屋外だと彼のフォークボールはより変化するが、ドームになるとその変化量が少し弱まる感じがするので、今後彼がそこをどうやってやっていくのか、なぜこの数字が出ているのかは本人がしっかり感じるべきでしょうね。今後は、ZOZOマリンスタジアム以外でもコンスタントに数字を残していけるのかどうかというところですね。

逆に僕らは本拠地がドームだったので、屋外が難しかったんです。風の影響を受けることがほとんどなかったので、当時のマリンスタジアムで投げる時は風を常に気にしていました。打球の上がり方でその日どんな風が吹いているのかが分かるので、僕は登板日には必ず打者の人に「風どうですか?」と聞いていました。

風を味方につけることができれば、ZOZOマリンスタジアムは特に技巧派のピッチャーにとっては有利、もってこいの場所ですね。サブマリン投法の渡辺俊介選手のカーブは、バッターからすると中々ボールが来ないんですよ。スーッと浮いて止まって見えるくらいだったらしいです。