【NHKマイルC みどころ】マル外ダービーと称された出世レース トレンドは時代を巡るのか、それとも...

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2022.5.8

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    セリフォス 写真:東京スポーツ/アフロ

     黒船襲来― これが当初のNHKマイルCの存在意義だった。

    レースが創設された1996年当時、外国産馬はクラシックへの出走権を認められていなかったため、春シーズンは行き場をなくしてしまう外国産馬たちのためにダービートライアルの中でも有力なステップレースだったNHK杯をマイルGIへと変身させた。

     あれから26年。NHKマイルCは開催時期も条件もさほど変わらないまま、自身の立ち位置を時代の変化に合わせて大きく変えていったように思う。

    創設当時は外国産馬たちの祭典となり、シーキングザパールにエルコンドルパサー、そしてクロフネなど、このレースをステップにして活躍する馬が多く現れ、「マル外ダービー」と称されたNHKマイルCはいつしか外国産馬たちにとっての出世レースとなった。

    ところが、2002年にトニービン産駒のテレグノシスが内国産馬として初の制覇を飾ると、以降は「3歳マイル王決定戦」としてその立ち位置を替えた。

     だが「マル外ダービー」と呼ばれたころのNHKマイルCとは異なり、このレースを勝った馬はその後パッとしないことが多かった。2002年以降、NHKマイルCを制した馬で後にGIを制した馬は20年間でわずか4頭だけ。

    古馬混合GIとなると、ミッキーアイルとアドマイヤマーズの2頭しかいない。NHKマイルCが競走馬としてのベストパフォーマンスとなる馬が多く、一瞬の輝きに胸をときめかすしかなかった。

     しかし、昨年は20年ぶりに外国産馬のシュネルマイスターが制覇。

    その後古馬相手に混じってマイルGIで上位を争い、さらなる大成を予感させる活躍を見せている。ファッションのトレンドが時代を巡るように、NHKマイルCの立ち位置もまた変わるのかもしれない。

     だからこそ、今年のNHKマイルCは今後の競馬界を背負う大物が現れる可能性があるだけに目が離せない。そして今年、その大役を担う筆頭候補はセリフォスだろう。

     新馬戦の開幕間もない6月にデビューすると、夏には新潟2歳Sを制して早々と重賞初制覇を達成。秋にはデイリー杯2歳Sを勝ち、2歳王者決定戦の朝日杯FSでは後に皐月賞でも3着に食い込むドウデュースの2着と、常に世代のトップをひた走ってきた。

    レース振りも先行策を取って、早めに抜け出すというソツがなく、まさに典型的な優等生タイプ。

    それだけに生涯一度の夢舞台であるクラシックに見向きもせず、このレースに絞ってきたところにマイル王になりたいという一途な思いが伝わってくる。朝日杯FSで敗れた無念を新緑の府中のターフで晴らしたい。

    最初からクラシック戦線を選ばなかったセリフォスに対し、クラシックとNHKマイルCの両にらみでこちらを選んだのはダノンスコーピオンだ。

    デビュー時期はセリフォスと同じ2歳の6月。仕上がりの早さを見せて勝ちあがると、秋が深まるころには萩Sを勝利。

    1800mでも十分レースができるということを示したが、続く朝日杯FSはドウデュース、セリフォスらに続いての3着。父ロードカナロアから引き継いだスピードをフルに生かしたレース運びをしつつ並んだら抜かせないという根性もまた、魅力的だった。

    短距離馬だったロードカナロアの産駒たちは中距離でも走る例が多くみられたためか、3歳になったダノンスコーピオンも当初目指したのはクラシックの舞台。

    その前哨戦として共同通信杯にエントリーしたが、結果はまさかの7着完敗。スローの上がり勝負に対応できなかったというよりもスタミナが最後に響いてしまったか。

    だが、これでなんの迷いもなくNHKマイルCへコマを進められる――

    そう言わんばかりに前哨戦であるアーリントンCでは4角10番手から抜群の切れ味を見せて快勝。マイルならばもう負けないという強い走りを見せて、今度こそ主役に立つ準備が整った。

    昨年のNHKマイルCはシュネルマイスターによる、20年ぶりの外国産馬の勝利が話題になったのは間違いない。NHKマイルCのトレンドが本当に時代を巡っているのであれば、今年も外国産馬へチャンスが巡ってくる。

    今年の場合はたった1頭の外国産馬、ジャングロに託すほかない。

    父にモアザンレディを持つ外国産馬だけに、芝もダートも問わない活躍を期待されたのがアダになったのか、新馬戦からまさかの3連敗。

    芝もダートも走れるが故に詰めの甘さを見せてしまった。だが、4戦目で勝ち上がると暮れには中京2歳Sを勝利して、早くもオープンクラスへ仲間入りを果たす。

    年明け緒戦となったマーガレットSも番手に付けて押し切って、その地力の高さを見せると、今度はNHKマイルCのトライアルレースであるニュージーランドSにも出走。

    スタートから軽快に逃げて、シンザン記念を制し、1番人気に支持されたマテンロウオリオンらを蹴散らして見せた。

    先行してソツなく抜け出してくるのがセリフォス、ダノンスコーピオンは中団から脚を伸ばして差しに来るという中で、ジャングロの武器はそのダッシュ力。

    レース経験豊富な彼だからこそ、あらゆるペースで逃げて主導権を握り、そして直線でも最後まで踏ん張ることができる。連勝中の勢いをそのままに逃げ切り、外国産馬の新しい時代を築くのだろうか。

    脚質から臨戦過程など、何もかにもが三者三様な有力馬が集まった今年のNHKマイルC。勝ち馬の今後を占いながら、ゲートが開く瞬間を心待ちにしたい。


    ■文/福嶌弘

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    第27回NHKマイルカップ(GI)枠順
    5月8日(日)2回東京6日 発走時刻:15時40分

    枠順 馬名(性齢 騎手)
    1-1 マテンロウオリオン(牡3 横山典弘)
    1-2 ソネットフレーズ(牝3、横山武史)
    2-3 ソリタリオ(牡3 鮫島克駿)
    2-4 セリフォス(牡3 福永祐一)
    3-5 キングエルメス(牡3 坂井瑠星)
    3-6 トウシンマカオ(牡3 戸崎圭太)
    4-7 タイセイディバイン(牡3 松若風馬)
    4-8 アルーリングウェイ(牝3 藤岡佑介)
    5-9 ダンテスヴュー(牡3 吉田隼人)
    5-10 カワキタレブリー(牡3 菅原明良)
    6-11 インダストリア(牡3 D.レーン)
    6-12 セイクリッド(牝3 菊沢一樹)
    7-13 ジャングロ(牡3 武豊)
    7-14 フォラブリューテ(牝3 大野拓弥)
    7-15 オタルエバー(牡3 横山和生)
    8-16 プルパレイ(牡3 M.デムーロ)
    8-17 ステルナティーア(牝3 池添謙一)
    8-18 ダノンスコーピオン(牡3 川田将雅)

    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。