日本代表 ブラジル戦で限界超えのチャレンジへ

サッカー

2022.6.6


2022 キリンチャレンジカップ日本代表 写真:JFA/アフロ

る日本代表が6月6日(月)の第2戦で東京の国立競技場でブラジル代表と対戦し、今回の4連戦で大きなヤマ場を迎える。日本代表の森保一監督は選手に「限界を超えるトライをしてほしい」と、世界ランク1位との対戦を契機にステップアップを期待している。

 ブラジルはW杯には1930年の第1回から全大会にフル出場。優勝は5回を数える強豪で、カタール大会南米予選も14勝3分無敗で、2位のアルゼンチン(11勝6分無敗)に勝点6差をつけて圧勝。

なにより、17試合で40得点5失点(アルゼンチンは27得点8失点)という数字にその強さが示されている。

 来日メンバーにはFWネイマール(パリSG)、FWビニシウス(レアル・マドリード)、MFカゼミロ(レアル・マドリード)、DFダニエウ・アウベス(バルセロナ)、GKアリソン(リバプール)ら錚々たる顔ぶれ並び、日本戦の前に2日にソウルで行った韓国代表戦には5-1で圧勝した。

来日翌日の4日の練習でもブラジルは2時間みっちりハードに練習を行うなど、W杯本大会までに行える強化試合に限りがあるだけに、貴重な機会に違いない。

本気にさせる展開にできれば、アジア予選からW杯の世界モードへ切り替えを測る日本にとって、この試合で得るものも増えるに違いない。2日のパラグアイ戦で新たな選手と組み合わせをチェックした日本代表が先発メンバーを入れ替えて、何を見せるか、興味は尽きない。


サッカー日本代表・森保一監督 写真:西村尚己/アフロスポーツ

戦力に収穫のパラグアイ戦

 日本はパラグアイ戦ではFW浅野拓磨選手(ボーフム)、MF鎌田大地選手(フランクフルト)のゴールで前半を2-0で折り返し、後半は1点を返された直後にMF三笘薫選手(サンジロワーズ)が決めて、途中出場のMF田中碧選手(デュッセルドルフ)が終盤に追加点を奪って4-1で勝利。4連戦を白星でスタートした。

代表デビューのDF伊藤洋輝選手(シュツットガルト)を左サイドバックで先発起用し、後半はセンターバックに移し、インサイドハーフには鎌田選手とMF原口元気選手(ウニオン・ベルリン)を採用し、前線右サイドでプレーしたMF堂安律選手(PSV)と共に積極的なプレーを披露した。

高さもスピードもある伊藤選手は左サイドで深くまで攻め込む仕掛けや、速さと切れのあるフィードは魅力的で、前半36分の先制ゴールの場面では、最終ラインからの伊藤選手のフィードを浅野選手がポストプレーで落とし、原口選手を経由して浅野選手が決めた。

原口選手と堂安選手も切れ良さが印象的で、攻守で躍動し、原口選手は3点目の三苫選手の得点につながるパスも配給。

堂安選手は鎌田選手へ絶妙なクロスを入れて、チーム2点目となる鎌田選手のヘディングを演出した。その鎌田選手もパスで田中選手の試合終盤のゴールをお膳立てした。

後半はDF板倉滉選手(シャルケ)をMF遠藤航選手(シュツットガルト)に代えて、最近多かったセンターバックではなく、中盤の底で起用。後半途中の田中選手の投入を契機に、システムも4-3-3から4-2-31に変更して鎌田選手をトップ下に置くなど、さまざまなことを試した。

 森保監督は、「個々の選手が特長を出しながらチームとして誰と組んでも機能する、勝利を目指して戦い抜く姿勢を見せてくれた。改めて、高い志を持ってW杯へ前進したいという気持ちにさせてもらった」と評価した。

 伊藤選手も「前半はかなりゲームを支配できたし、攻撃参加から三笘選手とのコンビネーションでいいチャンスも作れたと思う」と手ごたえを示しながら、「クオリティとその回数はもっと増やさなくてはいけない」と言葉を続けた。

 原口選手も、「いい試合ができたと思う。いつもウニオンでやっているプレーができたと思う」と振り返り、ブラジル戦へ向けても「W杯で期待してもらえるような戦いを見せたい」と話している。


長友佑都 Photo by Koji Watanabe/Getty Images

ブラジル戦で新たなチャレンジ

 4連戦で「できるだけ多くの選手を起用してチェックしたい」としている森保監督は、ブラジル戦ではパラグアイ戦からメンバーを変えて、アジア最終予選を戦ったメンバーを中心に臨むことを明言。

今回人材不足の右サイドバックにはDF長友佑都選手(F東京)が入ると見られている。

 右サイドバックは負傷で定位置をキープしてきたDF酒井宏樹選手(浦和)が不在。久しぶりに招集されていたDF菅原由勢選手(AZ)も負傷で離脱した。山根選手以外にもオプションは欲しい。

長友選手は、所属のF東京で右サイドバックを経験しているが、代表では左サイドバックが基本で新たな挑戦になる。特に、ブラジルFWビニシウス選手とのマッチアップが予想されており、試合の流れを決めるポイントの1つになりそうだ。

 長友選手は、「左サイドバック、右サイドバック、左ウィングバックもできるというのは、W杯のメンバー入りにも非常に大事な要素になってくる。「右もできるぞ」と新しい長友を見せられるように頑張りたい」と話す。

3度のW杯を含めて代表戦歴代2位となる134試合を戦ってきた長友選手は、ビニシウス選手とのマッチアップにも「相手が強くなるほどモチベーション高く燃えてくる。世界トップの選手と戦ってきた肌感覚が残っているので、その経験を活かして戦いたい」と意気込んでいる。


ブラジル代表・ネイマール 写真:Penta Press/アフロ

過去の対戦を活かせるか

 ブラジルとの過去の対戦では日本は2分10敗と勝ち星はなし。今回は2017年11月にフランスで行った親善試合以来(日本の1-3負け)の顔合わせだが、それを含めて2005年のドイツでのコンフェデレーションズカップでの対戦で2-2の引き分け以降は5連敗中。しかも、ここ10年の対戦では3失点以上を許す展開が続いている。

 前回2017年の対戦では前半早々にPKを与えてネイマール選手に決められ、ハーフタイムまでに3失点を許した。後半1点を返したが、前半の失点が大きく響いた。

 その試合にも出場したDF吉田麻也選手(サンプドリア)は、「どれだけ0-0の時間を長くするかが大事」と話し、さらに「無鉄砲に前に行くだけでは交わされるし、引いてずるずる下がっているだけでももちろんダメ。勇気を持って戦うことと謙虚さを持ってハードワークするバランスが大事」と指摘する。

 2018年W杯ではラウンド16でベルギーに敗れて8強入りを逃した日本だが、ブラジル代表のチッチ監督はその試合に触れて、「自分が見た時には日本が2-0で勝っていた。あのまま勝っていれば、日本とブラジルは次のラウンドで対戦していた。W杯で戦うレベルにある2チームということだ」と話し、日本への敬意を表した。

 日本についても、かつて横浜フリューゲルスでも活躍した元代表MFのセザール・サンパイオが代表コーチとして分析済みだと明かし、「DFが強く、攻撃陣にクリエイティブで想像力のある選手がいる」として、吉田選手、長友選手、遠藤選手、南野拓実選手(リバプール)、伊東純也選手(ヘンク)の名前を挙げた。

 東京オリンピックに優勝した若い世代を加えて、2002年以来となるW杯優勝を目指して調整を続けるブラジル代表は、選手の個性だけでなく組織力も加えてチームに磨きがかかっている。チッチ監督は「W杯へ向けて良い状態で臨めている」と話す。

 その相手に、日本がどこまでできるか。

吉田選手は、「非常にタフな試合になると思うが、どれくらい自分たちができるのか。やれることとやれないことを明確にして、W杯へ向けて準備をするために非常に大事な一戦になる」と話す。

 「持っている力を全て発揮して勝利を目指す」という森保監督は、攻撃の糸口として「相手のハイプレッシャーをかいくぐって速攻やボール保持につなげられるか。どれだけ速い判断で全員が連携連動できるかを見たい」と話している。

さらに、「W杯で結果を残すために、いままでの自分たちの限界を超えるトライをしていかなくてはならない。すべての部分において、選手たちにはトライしてほしい」と語った。


取材・文:木ノ原句望