【宝塚記念 みどころ】世界一になったイクイノックスにファンは酔いしれるか!? 競馬ファンの夢がつまった、春のグランプリ

2023 ドバイシーマクラシック(G1)イクイノックスが優勝 写真:AP/アフロ
上半期の終わりを告げる、春のグランプリが迫ってきた。
出走17頭中、8頭ものGⅠホースが集結するという例年以上の豪華メンバーが揃った今年の宝塚記念。
天候が乱れやすい6月に開催され、さらにトリッキーなコースとしても知られる阪神芝2200mというコースレイアウトではあるが、ファン投票によって出走馬が決められるグランプリ。
それだけに競馬ファンの夢が詰まったレースになることが多い。
例えばスペシャルウィークとグラスワンダーの一騎討ちが注目を集めた1999年。
のちに有馬記念でも名勝負を産んだ終生のライバルの初顔合わせには多くのファンが熱狂し、その2年後はテイエムオペラオーに何度挑んでも勝てなかったメイショウドトウがようやく一矢報いて感動を呼んだ。
そして宝塚記念は凱旋門賞への"滑走路"となるレースでもある。
ディープインパクトやオルフェーヴル、そしてゴールドシップ......と、宝塚記念を制してフランスへと渡った。
競馬ファンが願う夢の対決が実現し、さらに世界に向けての滑走路ともなるという宝塚記念。上半期の締めくくりとしてこれ以上ないエキサイティングなレースが見られることだろう。
そんな今年の宝塚記念の主役と言えば、イクイノックスで間違いないだろう。
2歳時から大器の評を集めた素質馬は皐月賞、ダービーともに2着と春のクラシック戦線ではあと一歩届かなかったが、秋に本格化。
初古馬相手の天皇賞(秋)では大逃げを見せたパンサラッサを中団から追走していくと、直線を向いた際には先頭まで15馬身ほど離れていたにもかかわらず、直線では逃げ粘るパンサラッサを猛然と追いかけて差し切って勝利。
上がり3ハロンの時計は32秒7という異次元の切れ味を見せた。
暮れの有馬記念では3コーナーを過ぎたころから持ったままで上がってきて、直線に入ると早めに先頭に立って押し切るという強い内容で再度古馬をねじ伏せてGⅠ2勝目をマーク。
年度代表馬の座を確定させるとともに現役最強の座に就いてみせた。
日本最強となったイクイノックスが次に目指したのは世界の舞台。
明け4歳緒戦として迎えたドバイシーマクラシックでは好スタートを決めたため、これまでとは異なる逃げの手を打つと直線でも一人旅を続け、鞭すら入れずに2着馬に3馬身半もの差をつけるとそのまま圧勝。
勝ち時計の2分25秒65は従来の記録を1秒以上も更新するというレコードタイム。それを持ったままで記録したというのだから世界のホースマンをも震撼させた。
さらにこのレースが評価され、イクイノックスはロンジンワールドベストレースホースランキングで世界の強豪馬たちを退けて第1位に選ばれ、文字通り世界一に君臨した。
世界一になった青鹿毛の王者が、国内でその走りを見せる。完成したイクイノックスの走りにレース当日、競馬ファンは酔いしれることになりそうだ。
そんなイクイノックスにライバルたちは多士済々。打倒イクイノックスの筆頭格としてジャスティンパレスが名乗りを挙げる。
ホープフルS2着など、イクイノックス同様に2歳時から世代のトップを争う存在だったが、3歳春は皐月賞、ダービーともに9着と力を出し切れず。
神戸新聞杯を制して迎えた菊花賞では接戦の末に3着と大器の片鱗を見せたが、有馬記念はイクイノックスから1秒以上離され7着に完敗とその力はまだまだ届かないと思われた。
そんなジャスティンパレスが再び目を覚ましたのは明け4歳の阪神大賞典。
472キロとパワーアップした馬体で挑むと、菊花賞で先着を許したボルドグフーシュをねじ伏せて勝利すると、続く天皇賞(春)では中団から流れに乗り、直線では先頭に立っていたディープボンドを突き放してGⅠ初制覇。無類のスタミナを見せ、新装・京都で行われた最初のGⅠホースとなった。
GⅠホースとなって挑む宝塚記念は同期のライバル、イクイノックスと迎える4度目の直接対決。ひ弱で未完成だったころの自身と決別し、成長した姿を満天下に示すだろうか。
夏が近づくと牝馬が好成績を収めるようになるのが競馬のセオリー。宝塚記念でも直近5年で3度優勝するなどトレンドともなっているが、そんな勢いにピタリとハマるのがジェラルディーナだ。
父モーリス、母ジェンティルドンナという夢の配合で生まれた超良血馬は激しすぎる気性が災いしたか牝馬クラシックには縁がなかったが、4歳秋になって本格化。
オールカマーで先輩である三冠牝馬、デアリングタクトが伸びあぐねる中を力強く伸びて、届きそうで届かなかった重賞タイトルを掴むと、およそ2年ぶりに挑んだGⅠ、エリザベス女王杯は道悪馬場にもへこたれることなく、直線で他馬をごぼう抜きにして勝利。
超良血馬としてふさわしい女王の座に就いた。その後の有馬記念でも牝馬では最先着となる3着に入り、牡馬をも苦にしないことを示してみせた。
今年は大阪杯、香港のクイーンエリザベス2世Sともに6着と振るわないが、阪神芝2200mは昨秋エリザベス女王杯を制した舞台。力の要る荒れた馬場はこの馬の得意な条件でもあるだけに夏のグランプリで復活する要因は十分にある。
豪華メンバーが揃った今年の宝塚記念で最後に紹介したいのはディープボンドだ。
GⅠ馬が8頭もエントリーした中で、この馬はまだGⅠタイトルに手が届いていないが天皇賞(春)では3年連続で2着に入るなど、GⅠでは4度も2着に入っている実力馬。宝塚記念はあと一歩届かない馬が大願を果たす舞台としても知られるだけに、直線早めからのスパートが今度こそ届くかもしれない。
夢のグランプリにふさわしいメンバーが揃った今年の宝塚記念。ファンの熱い思いに応えて、上半期の締めくくりにふさわしい走りを見せるのは果たしてどの馬か。
■文/福嶌弘

第64回宝塚記念(GI)枠順
6月25日(日)3回阪神8日 発走時刻:15時40分
枠順 馬名(性齢 騎手)
1-1 ライラック(牝4 M.デムーロ)
1-2 カラテ(牡7 菅原明良)
2-3 ダノンザキッド(牡5 北村友一)
2-4 ボッケリーニ(牡7 浜中俊)
3-5 イクイノックス(牡4 C.ルメール)
3-6 スルーセブンシーズ(牝5 池添謙一)
4-7 プラダリア(牡4 菱田裕二)
4-8 ヴェラアズール(牡6 松山弘平)
5-9 ジャスティンパレス(牡4 鮫島克駿)
5-10 ディープボンド(牡6 和田竜二)
6-11 ジェラルディーナ(牝5 武豊)
6-12 アスクビクターモア(牡4 横山武史)
7-13 ジオグリフ(牡4 岩田望来)
7-14 ブレークアップ(牡5 川田将雅)
8-15 ユニコーンライオン(牡7 坂井瑠星)
8-16 モズベッロ(牡7 角田大河)
8-17 ドゥラエレーデ(牡3 幸英明)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。