【日本ダービー】ダノンデサイルが優勝!大金星を生んだ、あの日の英断

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2024.5.26

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    横山典弘騎手騎乗のダノンデサイルが優勝 (C)SANKEI

    第91回日本ダービー(GI)着順

    第91回日本ダービー回顧

    「オーナーから、僕と安田翔伍調教師に自由にやらせてもらっている」―― 京成杯を制した際、横山典弘はインタビューでこう話していた。

    この時、京成杯を制したダノンデサイルは横山典弘とコンビを組んで4戦目。

    デビューからずっとこの馬に乗ってきた横山典弘は1戦ごとに丁寧にレースを教えてきた。後方から脚を伸ばして届かなかったデビュー戦の反省を生かして、2戦目は先行策から抜け出した。

    3戦目の京都2歳Sは11番人気という低評価だったものの、再度後方から動いて上がり最速の脚を見せて4着。能力があることを示してみせた。

    そしてこの京成杯では先団を見ながらレースを進めて、早めにスパートを打って勝利。一躍クラシック戦線へと名乗りを上げた。

    だからこそ皐月賞は悔しかったことだろう。スタート直前にダノンデサイルは右前肢に跛行を発症。パートナーの異変を感じた横山典弘はレースへの参加を断念することを進言して結果、競走除外という形でダノンデサイルのクラシック第1冠目は終わってしまった。

    ジャスティンミラノらが大歓声を浴びる中、ダノンデサイル陣営はその様子をただ見ることしかできなかった。

    あの日の英断を決して無駄にはしない――ダノンデサイル陣営はそう思いながらダービーに臨んだことだろう。大舞台に向けて、もう一度イチからダノンデサイルを仕上げていき、祭典の日を待った。

    澄み切った青空の中で行われた今年のダービー。

    戦前の下馬評は無敗の皐月賞馬、ジャスティンミラノが二冠を制するかが最大の焦点とされ、続いて17年ぶりとなる牝馬のダービー制覇を目指すレガレイラ、そして3戦無敗のシックスペンス、皐月賞で末脚を伸ばして4着に入ったアーバンシックらが注目を集めた。

    その中でダノンデサイルはというと、単勝46.6倍の9番人気。

    皐月賞を除外になったことで体調面への不安や中山向きと思われたことで人気は上がらなかった。それはパドックに現れても、返し馬を終えても変わらなかったが......横山典弘をはじめとした関係者は信じていたことだろう。

    「勝つのは、俺たちだ」と。

    メイショウタバルが出走を取り消したことで、どの馬が逃げるかがカギを握るとされていた今年のダービー、先手を取ったのは大外のエコロヴァルツだった。

    そして2番手で第1コーナーを回ったのがダノンデサイル。そのすぐ近くに皐月賞馬ジャスティンミラノと青葉賞を制したシュガークンが付け、中団にレガレイラが位置取るという形で馬群を形成していった。

    逃げ馬が不在だったためか、これまで逃げたことがないエコロヴァルツが逃げたためか、前半の1000mは1分2秒2というかなりのスローペースに。

    この流れを見て、持続力勝負に持ち込みたい皐月賞2着馬コスモキュランダとサンライズアースが押し上げていき、3コーナーから4コーナーにかけてまるでマクるかのようにポジションを上げていく。

    これにより馬群はギュッとひと固まりになり、後半1000mはすべて1ハロン11秒台というタイムが刻まれ、文字通りの底力対決となった。

    そうして、今年のダービーは最後の直線を迎えた。

    直線を向いた瞬間、先頭に立っていたのはレース前半を引っ張っていたエコロヴァルツ。これにシュガークンが並びかけようとしていたが、残り400mを過ぎた辺りで抜け出してきたのがダノンデサイルだった。

    最内の1頭分、わずかなスペースを縫うようにして抜け出してきたダノンデサイルは横山典弘の右鞭に応えるように一歩、また一歩とストライドを伸ばしていく。

    外からはジャスティンミラノが迫り、さらに後方からは一度馬群に飲み込まれていたシンエンペラーが爆発的な末脚を見せて伸びてきた。

    だが、それでもダノンデサイルの脚は止まらない。デビュー以来、この馬の手綱を握り続けてきた横山典弘はきっと、この時のためにダノンデサイルにレースを教え込んできたのだろう。

    スローな流れにもしっかりと折り合い、直線早めにスパートすることでこの馬の持ち味である持続力のある脚を引き出してみせた。それに加えてコースロスのない最内を通ったことで外から迫る馬たちを封じてみせた。

    ゴールまで残り50m。ダノンデサイルは完全に抜け出して、迫りくるジャスティンミラノに2馬身ほどのリードを付けていた。

    その差は縮まることなく、ダノンデサイルはダービーのゴールに先頭のまま飛び込んだ。悔し涙に濡れた皐月賞の除外から42日後、ダノンデサイルは大歓声に包まれることになった。

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    自身にとって3度目の制覇、そして56歳3ヵ月という史上最年長のダービージョッキーとなった横山典弘はレース後のインタビューでこう答えた。

    「あの時の自分の決断が間違っていなかった。ああいうことがあっても馬はちゃんと大事にしていれば応えてくれる。馬に感謝です」

    大波乱の主役となったダノンデサイル。しかし、その裏には馬のことを第一に考える騎手、調教師、厩務員らの想いがあったのは間違いない。そんなホースマンたちのもとにこそ、勝利の女神が微笑んだのかもしれない。


    ■文/福嶌弘