シーズン早々に存在感発揮の広島の新戦力 ルーキー中村が公式戦3戦連続4得点
2025.3.1
2025 J1リーグ 開幕節 中村が決勝ゴール 写真:アフロスポーツ
ルーキー中村選手が公式戦3戦連続4得点
この5連戦の中、注目を集めているのが大卒ルーキーのFW中村選手だ。ここまで4試合に出場して4得点と好調な滑り出しを見せ、明治大学で2年連続得点王とアシスト王をダブルで獲得したFWがプロキャリア開始早々に非凡な才能を披露している。
初得点はプロデビューとなったアウェイでのナムディン戦。60分過ぎに交代出場すると、73分にジャーメイン選手のスルーパスを受けてペナルティエリアの右から先制点をマークした。
自身2得点目は町田戦で、途中出場から5分後の77分にジャーメイン選手のシュートリバウンドに反応して右足を振った。
3点目、4点目はプロ初先発となった本拠地でのナムディンとの第2戦で、1-0リードで迎えた54分にMF川辺駿選手が相手の裏のスペースに出したボールに飛び出し、相手GKの動きを見極めて右足で得点。
その後、チームが1点を加えた後半アディショナルタイム、再び中村選手に好機が訪れ、MF越道草太選手の左クロスを相手GKが弾き返したところに反応。
右足で捉えてゴールネットを揺らした。
中村選手はナムディン戦第2戦後に、1点目の「冷静に決められた」動きと2点目のこぼれ球への「予測」での得点に手ごたえを示していた。
だが笑顔はなかった。前半に2度の大きな決定機を決められなかったことを念頭に、「前半、自分のところでのミスやプレーが止まってしまうところがあった。もっともっと高めていく必要がある」と反省の弁が口をついた。
「出場したからには自分の武器を表現しなければならない」と中村選手。
広島はジャーメイン選手、FWトルガイ・アルスラン選手、FW加藤睦次樹選手らが主力だが、「スピードや動き出しで勝負したい」と強気で挑み、「プレーの精度、状況判断にはスタメン組とまだまだ差がある。
もっともっと高める必要がある」と先を見つめている。
攻撃に厚み
途中交代でも得点に結びつく活躍をしているのは、MF菅大輝選手も同様だ。
今季札幌から加入した26歳はセットプレーやサイドでの攻撃で力量を発揮。FUJIFILM SUPER CUP神戸戦では、投入直後の70分に右CKからゴール前にピンポイントのボールを上げてDF荒木隼人選手のチーム2点目を演出。
アウェイのナムディン戦では左サイドの仕掛けから2点目のMF田中聡選手、3点目のMF越道選手の得点につなげ、町田戦でもFKで59分のアルスラン選手の同点ゴールの起点となった。
菅選手は「試合を決めるつもりで入っている。逆転に貢献できて自信になるし、チームが勝利で終わったのがうれしい」と話した。
ジャーメイン選手が移籍後初得点
ジュビロ磐田から今季加入のFWジャーメイン良選手は、ホームでのJ1リーグ横浜F・マリノス戦で待望の移籍後初得点をマークした。
ここまで公式戦全4試合に先発して相手ゴールを脅かす場面を作ってきていたが、それがようやく実を結んだ。
0-0で迎えた後半開始2分、広島は右サイドでの田中選手のボール奪取を起点に、パスを受けた加藤選手がゴール前へ素早いクロスを送ると、ジャーメイン選手が右足でシュート。これが相手DFの手に当たってPKを獲得。ジャーメイン選手が左足で冷静に決めた。チームはリーグ開幕2連勝だ。
PKの場面では、「自信を持って自分の信じる方へ蹴った」とジャーメイン選手。「うれしい」と笑顔がこぼれた。
広島のミヒャエル・スキッペ監督も、「今日はPKがあればジャーメインに蹴らせると決めていた」と明かし、昨季磐田でJ1リーグ3位タイとなる19得点を挙げた29歳FWのゴールを待ち望んでいたことをうかがわせた。
なかなか得点を挙げられない間も、ジャーメイン選手はアシストや前線での守備でチームを助けてきた。
開幕の町田戦では1-1で迎えた77分、中盤で相手にプレッシャーをかけてボールを奪い、持ち上がってシュート。相手GKに止められたが、弾き返しを中村選手が捉えて逆転ゴールを決めた。
町田が50分過ぎまでにセンターバック2人を負傷で失い、「少しバタついている」と感じたジャーメイン選手は、「狙っていた。得点までつながって良かった」と振り返った。
一方、湘南から加入したMF田中聡選手も、ここまでの公式戦全5試合に先発。
中盤での競り合いの強さで守備に安定感を加え、アウェイのナムディン戦では相手の隙を逃さずゴールを狙う動きで2点目をマークするなど、力量を発揮している。23日のマリノス戦の決勝ゴールも、右サイドでの激しいボール奪取とキープが起点になった。
スキッペ監督、新戦力を評価
スキッペ監督は、新戦力の早々の活躍に、「今季は交代によって違う形のサッカーに展開できる。この冬の補強はうまくいったと思う」と評価する。
広島は今オフ中にFWゴンサロ・パシエンシア選手、FWピエロス・ソティリウ選手、FWドゥグラス・ヴィエイラ選手、FWエゼキエウ選手、MF松本泰志選手、MF柏好文選手らがチームを離れ、MF青山敏弘選手も引退してコーチ陣に加わり、顔ぶれが変わった。
指揮官は中村選手について、「自分たちのクラブを選んでくれて本当にうれしいし、チームにすぐに慣れて我々のサッカーに合わせることができている。そこから自分の才能、持っているものを出せる強さがある」と語る。
ジャーメイン選手についても、「彼のボックス内での仕事は素晴らしいと思っていた」とかねてから注目していたと認め、前線からのプレスも「今までいた選手よりもできる」と評価。もちろん、得点への期待も高く、「今季も大量に得点してほしい」と話している。
昨季は終始リーグ上位で優勝争いを繰り広げながらも2位で終わった広島。頼もしい新戦力を得て、今季もリーグをけん引する存在になるのは間違いなさそうだ。
取材・文:木ノ原句望