ACLE準優勝の川崎フロンターレ 総額約9億5千万円獲得 アジア初制覇を逃すも示した可能性
2025.5.6
決勝進出を決めた川崎フロンターレ Photo by Clicks Images/Getty Images
川崎フロンターレは5月3日(日本時間4日深夜)、サウジアラビアのジッダで行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2024-25の決勝でジッダが本拠のアルアハリと対戦。
0-2で敗れてアジア初制覇はならなかったが、準々決勝から決勝までの3試合で可能性を示す大会となった。
クラブ王者を決めるアジアの大会に11度目の挑戦で初めて決勝に駒を進め、悲願のタイトル獲得に迫った川崎だったが、地元アルアハリのサポーターがスタジアムの大半を埋めて大声援を送る完全アウェイの中、相手の攻撃を抑えられずに2失点を喫した前半が響いた。
試合開始直後にイングランド代表FWイバン・トニーらの連続シュートをGK山口瑠伊の好セーブで阻止。
川崎は序盤、サイドチェンジの展開からMFマルシーニョが左サイドで受けてトップスピードでペナルティエリアに切り込み、2連続シュートでゴールに迫る決定機を作った。
だがこの得点機を逃すと、流れはアルアハリに。元ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノを中心に攻撃を展開するアルアハリに、押されながらも相手の攻撃をしのいでいた川崎だったが、相手を抑えられずに少しずつ守備の対応にずれが出た。
失点は前半35分。川崎の最終ライン右でのバックパスを相手に取られたところから、フィルミーノとのワン・ツーで左から中へ入ったMFガレーノに狙いすましたシュートをゴール右隅に決められた。
川崎にとって残念だったのは、負傷者が出て一時的に数的不利になった時間帯のマネジメントだ。39分、ゴール前でフィルミーノのシュートブロックに入ったDF三浦颯太が右足を痛め、ピッチの外に出ている間にゲームが再開。
アルアハリは川崎の左サイドバック不在の手薄なエリアを突いて攻め込み、フィルミーノがペナルティエリアに侵入。ゴール前に上げたクロスに、中盤から顔を出したMFフランク・ケシエが頭で合わせた。
後半川崎は選手交代を活かして巻き返しを図り、2点のリードで守りを固めてカウンター狙いに転じた相手に、ボールを保持する時間も増えた。
60分過ぎにMF大関友翔、FW伊藤達哉を投入すると、伊藤が75分過ぎに立て続けのシュートで相手ゴールに迫った。
後半終盤には大関のパスに後半交代出場のFW山田新がゴール前に走り込んでシュートを狙う場面も作ったが、飛び込んできたDFロジェール・イバニェスに阻止された。
アルサッド(カタール)との準々決勝とアルナスル(サウジアラビア)との準決勝では、ここぞというところで得点を挙げてきた川崎だったが、決勝ではゴールが遠かった。
三浦は、「チャンスを作って得点を獲れなかったのが試合展開に響いた」と振り返り、チームの2失点目に「責任を感じる。時間の使い方を含めてもっと何かできたかと思う」と肩を落とした。
キャプテンの脇坂は、「前半で2失点して苦しくしてしまった」と述べて、「チームとしては戦えていたと思うが、個人のところで力の差があった。個人をもっと伸ばさなければ」と課題に言及。「チーム全員でもう一度国内タイトルを勝ち取って、絶対にこの舞台に帰ってきたい」と語った。
川崎の長谷部茂利監督は、「相手のプレーに翻弄された。相手に良いところを出させてしまい、特に前半は自分たちの長所を出すことができなかった」と振り返った。
失点についても「自分たちのミス。私の決断も選手たちの対応も少しずつ遅れたりずれたりした」と指摘。追加点を許した場面については「違う選手の配置をした方がよかった」と、空いたポジションへの自身の対応の遅れを反省する言葉が続いた。
一方、アルアハリを初優勝に導いたドイツ出身のマテウス・ヤイスレ監督は。「相手は良く組織されていて、苦労させられたが、全体では我々は勝利に値する戦いをした」と語り、「こういう試合では多くのプレッシャーがあり、対応しなければならない。簡単ではないが、それをこなした選手たちを誇りに思う。素晴らしい個性を発揮してくれた」と選手の対応力を称賛した。
次の成長へつなげる
結果は準優勝でアジアタイトルには届かなかったが、これまで越えられなかったベスト8を勝ち抜いて決勝まで進出。今大会で川崎が示したものは小さくない。
4強の顔ぶれは3チームが豊富な資金力を背景にビッグネームを多く抱えるサウジアラビア勢。東地区から唯一勝ち上がったのが川崎だった。
クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネら多くのタレントを揃えたアルナスルとの準決勝では勝利でインパクトを残した。
慣れない暑さの中、中2日での連戦で対戦相手よりも常に1日準備期間が少ないというハードかつ不公平な日程。
川崎は選手のコンディションを見ながら準決勝と決勝は前の試合から先発5人を入れ替えて臨み、ゲームプランを遂行するチーム力を示し、守備から攻撃へ素早い切り替えで得点に結びつけた。
チームとしての一体感や遂行力の高さをはじめ、アルナスル戦で相手のキーマンを封じる活躍を見せたMF大関友翔、FW神田奏真、DF高井幸大ら若手の躍動感あるプレーや、FW伊藤達哉やMF山本悠樹らのクオリティを感じさせるパフォーマンスは可能性を感じさせ、今後へ期待を抱かせる。
準決勝ではゴールも決めた大関は、「クラブとして一つ上の段階に来ることができた。個人としては一つ成長できた大会だった。3試合に出てゴールを決めることができて、通用する部分も多かったし、自信もついた」と語った。
一方で、毎試合で2失点を繰り返した点は改善ポイントの一つだろう。
「いろいろな国の選手と対戦できて楽しかった」という高井は、失点の多さに触れて「個人として対人をもっと伸ばさなければならない。3試合とも2失点だったのは、圧倒的に個が足りていなかったから」と話した。
長谷部監督は、「Jリーグに所属しているチームはやれるという、いい戦いをこの大会で見せられたのではないか」と手ごたえを口にした。その一方で、「私は私を反省する」とコメント。自分になにができたかをチームの各自が振り返ることが「次の成長につながるし、つなげなくてはならない」と話した。
改善ポイントはチームや個人だけではない。大会方式の面で、チームによって試合の準備期間が偏る日程に見直しが求められるのは言うまでもない。
来季の出場チーム確定
大会MVPはアルアハリのフィルミーノ、ベストGKにはアルアハリのエドゥアール・メンディが選ばれ、川崎は大会フェアプレー賞を受賞した。
また、大会得点王は10得点を挙げた、アルヒラル(サウジアラビア)のFWサレム・アルドゥサリが獲得。横浜F・マリノスFWアンデルソン・ロペスは1ゴール及ばなかった。
今季から新たな大会方式を導入したACLEでは賞金総額も大幅にアップ。
優勝賞金としてアルアハリは1000万USドル(約14億5千万円)、2位に終わった川崎も準優勝賞金として400万USドル(約5億8千万円)を獲得。
さらに各ラウンドの出場給も含み総額約660万ドル(約9億5千万円)を得た。
なお、川崎が準優勝に終わった今回の結果を受けて、来季2025-26のACLEと一つ下のカテゴリーのACL2への出場チームが決定。
ACLEにはJ1リーグ優勝の神戸、2位の広島、3位の町田が出場し、神戸が昨季天皇杯にも優勝していることからJ1リーグ4位のガンバ大阪が繰り上げでACL2に出場する。
神戸は16強に終わった今季に続いて2シーズン連続4度目で、広島は旧体制のACLで戦った 2019年大会以来で通算6度目。
町田は初出場だ。また、ガンバ大阪はACL2には初参戦だが、旧ACLでは10大会に出場して2008年大会では優勝している。来季は2021年大会以来のアジアの舞台となる。
文:木ノ原句望