J1首位の鹿島、川崎戦で見せた『らしさ』の片鱗

サッカー

2025.5.17


鹿島アントラーズ PHOTO:Getty Images

しぶとく戦い、機を逃さずに攻める鹿島アントラーズの強さが戻りつつある。

片鱗を感じさせたのが東京の国立競技場をホームとして5月11日に行われたJ1リーグの川崎フローターレ戦だ。

序盤の失点と前半の劣勢を後半挽回して2-1の逆転勝利を収め、6連勝でJ1首位をキープしている。

J1リーグトップに立つ鹿島の鬼木達監督にとっては昨季まで8年間率いた古巣との顔合わせだったが、5月3日までサウジアラビアで行われたACLE(AFCチャンピオンズリーグ)を準優勝で終えた川崎に序盤から押される苦しい展開となった。

前半7分、川崎がMF山本悠樹のCKにDF佐々木旭がヘディングで合わせて先制すると、そのまま川崎が攻守に勢いのあるプレーでゲームを進め、決定機を含めて前半だけで9本のシュートで鹿島ゴールに迫る展開となった。

川崎の鋭い出足に思うように攻撃を展開できない鹿島だったが、前半アディショナルタイムのチャンスを得点に結びつけて試合を振り出しに戻した。

自陣からドリブルで運んだMF荒木遼太郎からパスを受けたDF安西幸輝が左サイドからクロス。

ファーサイドで受けたFW鈴木優磨が前に出てきた川崎GKと寄せてきたDFに囲まれながら「誰かいるだろうな」とゴール前に戻すと、前に上がってきたMF舩橋佑が受け、寄せてきた相手を冷静にかわして左足を振って同点ゴールを決めた。

舩橋は、前半は攻守にうまく行っていないと感じていたが「前進するところは自分の良さ。あのゴールで少し流れを変えられたかなと思う」と振り返った。

鹿島は後半、MF知念慶とFW松村優太を投入して中盤のバランスを修正すると、鹿島が攻めに転じる時間が増えて65分に逆転に成功する。

右サイドでボールを持った鈴木が相手DFの裏のスペースへフィード。

走り込んだFW田川亨介が受けて、前に出てきた川崎GK山口瑠伊をかわしてゴールネットを揺らした。田川は交代出場から3分後のプレーだった。

川崎も終盤、交代出場で送り込んだMF山内日向汰やMF家長昭博、FW山田新らがゴールに迫ったが、鹿島はGK早川友基の好セーブなどでゴールを割らせず、勝利を手にした。

鬼木監督は、「最後にあれだけ押された中で全員が身体を張った。それが勝利につながった」と話し、寄せが甘かった前半から修正に努めた選手たちの後半の対応を評価した。

決勝点アシストの鈴木、「狙い通り」

鹿島のゴール2本ともに絡んだ鈴木は決勝ゴールとなった田川へのアシストについて、「(前半から)裏が結構空いているなと感じていた。

ハーフタイムに(田川)亨介に、『相手の背後に走ってくれ。(パスを)出すから』と言っていた」と明かし、「狙い通り。その通りになってよかった」と話した。

鈴木はここまで16試合出場で4得点3アシスト。ゴール数では9得点でリーグトップに立つ同僚のFWレオ・セアラには及ばないが、この日もサイドから中に入るなどエリアを広くカバーしてチャンスメークに絡むプレーを披露。チームの勝利に貢献した。

鬼木監督は鈴木について、ケガ人が多いチーム状況もあって「一番いろいろなポジションでやっている」と指摘。「自分のことよりもチームが勝つことを優先する姿勢に敬意を表したい。勝利に対する執念が表れる選手が、こういうところで結果を残せると改めて感じた」と称賛を惜しまなかった。

勝利のメッセージ

鈴木は川崎戦の勝利は、今季の鹿島の強さを示す上で小さくないものがあると語る。

「フロンターレとか力のあるチームは必ず(上位に)上がってくると思っている。それを早い段階で叩くというのは、ほかのチームも見ていると思うし、『鹿島は今年強いんだ』というメッセージになる」と指摘。そして、「先制されても逆転する力を全員で見せられた。本当に強くなっていると思う」と話した。

鬼木監督は勝利を評価しながらも、目指すパフォーマンスには依然として改良が必要という認識を示した。

「(鹿島)"らしさ"というものは徐々に出せてきていると思うが、選手もこの勝利に満足はしないと思う。もっと自分たちが主導権を持って、狙いを持ってゴールへ(向かう)。ゴールを脅かす回数がまだまだ少ない。選手は本当に努力してくれている。一歩ずつ進んでいければいい」と語った。

6連勝とした鹿島は11勝1分け4敗で、勝ち点を34に伸ばした。2位には、5月14日に横浜F・マリノスに勝って4連勝10戦負けなしとした柏レイソルが勝ち点1差で追っている。

3位は京都サンガで勝ち点28、浦和レッズとサンフレッチェ広島が勝ち点26で4位、5位につけている。

鹿島は次節5月17日、ホームで現在8位の清水エスパルスと対戦する。


取材・文:木ノ原句望