国内と海外「同じサッカーでも別競技」森保監督が語る日本代表の進化と課題 海外組22人時代の自己表現能力

「日本がW杯で優勝するためにできることのすべて」をコンセプトに生まれ変わったFOOTxBRAIN+。
「W杯優勝」を公言した日本代表の森保一監督(56)が2週連続語り尽くす。
後編は「日本サッカーの深化」をキーワードに、海外で活躍する選手からJリーグの"深化"を深掘り。
日本代表のサッカーに新たな風を吹き込み続ける森保一監督。就任から7年、彼が目指す「ワールドカップ優勝」という高い目標に向けて、どのような思いを抱き、どのような課題を感じているのか。
海外組の進化、チームマネジメント、そして日本サッカーの将来像について、森保監督が語った言葉の奥にある深い思いを探る。
![]()
日本代表の顔ぶれは大きく変わった。3月に招集されたワールドカップアジア最終予選メンバー27人のうち、海外組は22人。
かつては珍しかった日本人選手の海外進出が、今や当たり前の時代になっている。
森保監督はその進化を「サッカーIQが高い、深みのあるという印象を受ける」と評価。共に番組に出演した元日本代表の戸田和幸氏(47)も「得点も。古橋君なんかセルティックで得点王なんてありえなかった」と語り、日本人選手の技術的進化に感嘆の声を上げた。
特にフランスリーグでは中村敬斗(スタッド・ランス)が2桁得点を記録するなど、かつては考えられなかった活躍を見せている。
森保監督は「フランスリーグはめちゃくちゃ難しい。個々のバトルが本当に身体能力の高い選手たちと戦って勝っていかないといけない。そこで結果を出せる日本人選手はすごい」と称賛した。
「自己表現能力」が高まった日本人選手たち
![]()
注目すべきは、技術面だけでなく、選手たちの意識の変化だ。森保監督は海外で活躍する選手たちの新たな強みとして「自己表現能力」の高まりを挙げた。
「選手たちを見ていてすごく楽しいなと思えることは、トレーニングの舞台であったり、オフザピッチの食事会場というところでも、みんなは自分の意見、思いをちゃんと相手に伝える。かつチームメイトの意見も聞いているという。そのやり取りはすごく楽しいし、頼もしい」
「代表というのは短い準備期間の中で試合に向かわないといけない。サッカーの話もみんなしていて、まさに議論しているんですよね。こうやっていこう、俺はこう思う。いや、俺はこう思う。お前はどう思う?みたいな。そういう姿を見ているとすごく頼もしさを感じる」
かつて東京オリンピック代表監督を務めた森保監督は「自己主張していなかった。自己表現してなかった選手たちが、経験を積んでいくごとに、世界との戦いを経験している中ですごく自己主張することが多くなった」と変化を感じている。
「自己主張というと、日本ではマイナスに見られるところもあると思いますが、自己表現能力がみんな上がっているように捉えています」と森保監督。選手との会話について「なんとなく私に話を合わすということにはならない。会話が面白い」と笑顔で語った。

充実する海外組の活躍は喜ばしいが、森保監督はある課題に危機感を抱いている。それが「同じサッカーでも別競技」という言葉だ。
「海外に行った選手たちがほとんど口にする言葉があって、『同じサッカーでも別競技』という。国内のサッカーと海外、Jリーグとヨーロッパのリーグということをやはりコメントするんですね」
この差を埋めることが、日本がワールドカップで優勝するための重要な課題だと森保監督は指摘。
「より本命国としてワールドカップで優勝できるようにしていくためには、この『同じサッカーでも別競技』を埋めなければいけない」
理想は「Jリーグも海外のリーグも変わらない。ただ自分の目的の中で何か得られるもの、やりがいがあるものがあって海外に行くかJリーグでプレイするかを選択する」状況だという。
それが実現すれば「日本がよりワールドカップで優勝する本命国になれる」と森保監督は展望を語った。
「選手層の厚さ」がワールドカップ優勝への鍵
![]()
ワールドカップ優勝に必要な試合数は8試合。その道のりでは、いかに選手を休ませながら戦えるかが鍵を握る。
森保監督は「世界トップ基準で戦える選手は多くなった中で、ベンチにも入らせてあげられないような選手が出てきている」と選手層の厚さを実感しつつも、「現段階でのことを考えるともっと上げていかなければいけないところはあります」と高い目標を掲げる。
「2チーム分回せるだけのことは常にイメージしながら戦っているので、できてきているところであると思います。ただ、怪我人であったり、さらにレベルを高くするには次の層の選手たちを戦力として考えられるように、もっと厚みを持たせなければいけない」
「カタールのワールドカップの時も7試合を目指してどうターンオーバーしていこうかというのは考えながらやっていた」と明かし、「次回のワールドカップにおいては心身ともにプレッシャーがかかる中でフレッシュな状態を作るためにターンオーバーしていくことを考えられるようにしたい」と語った。
番組の最後に、日本がワールドカップで優勝するために必要なことを尋ねられた森保監督は「日本一丸」と色紙に記した。
「私自身もワールドカップに出て思ったことは、イチ競技団体だけでは勝てないと思いました。世界的に勝っている国はサポーターは家を捨ててくる、生活を捨ててくる。かつ国の関心ごととしてワールドカップ期間中は応援する。一緒に戦う。ということをしている国がやはり勝てる」
森保監督は「我々日本代表チームだけではなくて、日本サッカーファミリーだけではなくて、本当に日本の関心ごととして世界に一緒に挑んでいただく。その雰囲気であったりということがあって優勝できる」と、サッカーを超えた国全体の一体感の重要性を強調した。
かつてないほど進化を遂げている日本サッカー。しかし世界一を目指すには、まだ乗り越えるべき課題があることも明らかになった。
森保監督の「同じサッカーでも別競技」という言葉には、日本サッカーの現状と理想の姿への深い思いが込められている。
【FOOT×BRAIN+|毎週木曜日 深夜2時35分】
2011年4月に始まったFOOT×BRAIN。これまで「日本サッカーが強くなるためにできることのすべて」をコンセプトに14年続いた番組は今年で節目の15周年を迎えます。
そのタイミングで日本代表・遠藤航キャプテンが公言した「ワールドカップ優勝」。この言葉を受け、番組も新たなフェーズへ、リニューアルしてスケールアップします。新たなコンセプトは「日本がW杯で優勝するためにできることのすべて」。
ジャンルを問わない斬新な切り口はそのままに、より深く、より徹底的に掘り下げ、日本サッカーとともに「W杯優勝」に近づける番組を目指していく番組。