【サッカー】EAST首位浮上の鹿島アントラーズ 光った冷静な試合運び 〜J1百年構想リーグ〜

鹿島アントラーズ PHOTO:Getty Images
鹿島アントラーズが明治安田J1百年構想リーグ第4節を終えて地域リーグEASTの首位に立った。
2月28日に行われた浦和レッズとのアウェイ戦で試合巧者ぶりを発揮して、前半0-2ビハインドから後半3得点を奪って3-2の逆転勝ちを収め、勝ち点を10に伸ばした。
目を引いたのが、鹿島が披露した冷静な試合運びだった。
強風が吹き荒れる難しいコンディションの中、前半20分までに浦和に2得点を許す苦しい展開だったが、鹿島の選手たちに動じる様子はなかった。
「焦る必要はなかった」とMF樋口雄太が言えば、「逆転はできるだろうなと思っていた」と、樋口の左CKから同点ゴールを決めたFW鈴木優磨も試合後に振り返って言った。二人に限らず、鹿島の選手たちは異口同音に相手の守備の隙を感じていたと話した。
前半14分に浦和のFW肥田野蓮治がMF金子拓郎の右クロスを捉えて先制し、その5分後には左CKをDF根本健太が頭で流して、走り込んだMF渡邊凌磨が押し込み、浦和が2-0とした。
しかし、立ち上がりから速いペースで攻守に精力的に動いていた浦和はその後動きが落ちた。
樋口は「0-2になってからビッグチャンスもあったので、『行けるな』と思った」と明かし、後半早々、相手が「大人しくなった」と感じたという。
鹿島は40分、CKの流れからMF三竿健斗のヘディングがペナルティエリアで守備に入った浦和のDF関根貴大選手の手に当たり、VARチェックで鹿島がPKを獲得。これをFWレオ・セアラが決めて、前半終了直前に鹿島が1点を返した。
後半は、動きの落ちた浦和に対して鹿島が攻勢に出て得点機を作り、55分に樋口の右CKに後ろから走り込んだ鈴木が頭で合わせて、今季初ゴールで同点とした。
「前半からフリーだったので狙っていた。いいボールが来たので自分は当てるだけだった」と鈴木。
そして90分。鹿島は左CKのチャンスに、「ボールを出せる選手が必要」(鬼木監督)と送り込んだMF柴崎岳がキッカーを務め、ピンポイントでFWチャヴリッチへボールを出すと、セルビア出身FWがヘディングで合わせて鹿島が逆転に成功した。

鹿島、「必ずひっくり返せる」力
少ない出場時間で勝利につながる結果を残した柴崎は、「1本蹴る機会があったら、それを仕留めようと思っていた。
みんなが本当に良く走っていたので、努力が報われるような形にしたいと思っていた」と振り返り、「0-0を1-0にしたり、2-2を3-2にするのが自分の仕事。今後も続けていきたい」と言った。
チームの成長を感じている柴崎は、「攻撃的なチームの形を考えれば、2点とらえても十分反撃は可能だというチームの共通認識はある」と言う。
鈴木も、「最近のチームは全然慌てない。失点してもみんなでやり続ける。やることが明確なので、いちいち動揺する必要もない。自分たちが崩れなければ相手が崩れると思っていた。3点目を取りに行ってしっかり勝ち切ったことが大きい」と語った。
鹿島の鬼木達監督は、「2点先制されて展開として難しくなったが、選手が慌てることなく、相手を見ながら何が有効か、しっかりと見極めながら戦った前半だった」と選手の冷静な対応を評価した。
鹿島指揮官は、「(前半も)そんなに無理せずに前進できるシーンもあった。3点目さえ食らわなければ、今の彼らの力なら必ずひっくり返せると思っていた」と語り、「非常に良い戦いをしてくれた」と話した。
昨季のJ1制覇を基盤に、チームの積み上げを感じさせる試合に、指揮官も手ごたえを感じているように見えた。
鹿島はFC東京との今季開幕戦を1-1からPK戦で落としたものの、その後はホームに戻って横浜F・マリノスと、昨シーズン最後まで優勝争いで競り合った柏レイソルに勝利。この日の浦和戦の白星で3連勝とした。3位から首位へ浮上した。
3月7日の次節はホームに戻って東京ヴェルディと対戦する。ヴェルディはマリノスに敗れて今季初黒星で、鹿島と入れ替わりに首位から3位に後退した。

浦和、スタイル構築に負けから学ぶ
浦和は前線からプレッシャーをかけてボールを奪い、縦に速いサッカーで鹿島から2点のリードを奪った。
そのスタイルで前節は横浜F・マリノスに2-0で勝利していたが、今回は前半終盤から失速。2-2と追い付かれたのちの60分過ぎにFWイサーク・キーセテリン、FW二田理央、70分過ぎには移籍加入直後のFWオナイウ阿道を起用した。
だが流れを変えることはできず、シュート数も鹿島の前後半6本ずつに対して、浦和は前半5本だったものの後半は2本止まりだった。
浦和のマチェイ・スコルジャ監督は、「鹿島の非常に質の高いビルドアップに、徐々に我々をかわしてチャンスを作られた。終了間際に相手の得意なセットプレーで失点した。非常に痛い敗戦だが、この試合から学ばなくてはならない」と言った。
「今季、我々は昨年よりもオープンな展開を求めている。そのプロセスの中でミスや負けはある」として、この敗戦をチームのスタイル構築に活かす意向を示した。
浦和はこれが今季初の90分での黒星で、2勝1PK負けと合わせて勝ち点は7。2位から4位に後退した。次節は3月7日にホームで水戸ホーリーホックと対戦する。
取材・文:木ノ原句望