【日本ダービー】松山弘平騎手騎乗のロブチェンが二冠達成 想いよ届け!最高の相棒とともに見る最高の景色

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2026.6.1

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    松山弘平とロブチェン(c)SANKEI

    「乗ります」......ダービー当日の午前9時、津村明秀はそう答えた。

    前日に落馬して左足を負傷したが、それでも日本ダービーへの騎乗を選んだ。相棒・リアライズシリウスとともにダービーを勝つために。

    津村とリアライズシリウスだけでなく、今年は例年以上に「勝ちたい」という気持ちを前面に押し出した人馬が多かったように思う。

    混戦模様でどの馬にもチャンスがあるからこそ、誰もが憧れのダービー制覇を夢見たのだろう。

    そんな中、ロブチェンに騎乗する松山弘平はレース前、ダービーについてこう語った。

    「ダービーを勝利した人にしか見えない景色があると思うので、そこに自分もたどり着きたい」

    13年前に初めて騎乗して以来、過去10度挑んで勝てなかったダービーの舞台。

    追いかけても追いかけても掴めなかったダービージョッキーの称号に今年は皐月賞をレコードタイムで制したロブチェンとともに挑むが... そのロブチェンとて、ダービーの舞台では絶対的存在にはならなかった。

    皐月賞と同じように青空で、真夏のように暑かったダービー当日の東京競馬場のパドック。

    その中でロブチェンはというと堂々たる2人引きで周回。

    黒光りする馬体は筋肉のメリハリが美しくまるで彫刻のよう。「怖がりだった」という幼少期の姿とは似ても似つかぬほどに成長を遂げていた。

    「逃げるのか、逃げないのか」――ゲートが開く前、誰もがロブチェンに注目していたことだろう。

    ホープフルSでは中団から一気の末脚で突き抜けたが、皐月賞は意表を突く逃げを見せ、スローペースに持ち込んでの逃げ切り勝ち。

    ダービーの舞台では果たしてどんなレースをするか、予想をする記者もファンも、そしてレースに挑む騎手たちもロブチェンと松山弘平の動きに注目していたことだろう。

    そうして、今年の日本ダービーのゲートが開いた。

    大歓声とともにゲートを出た18頭。メイショウハチコウとリアライズシリウスが先頭を争う様子を見せる中、ロブチェンは前にはいかなかった。

    古くから伝わるダービーポジションの格言を守るかのようにギリギリの10番手前後の位置で1コーナーを通過し、周りを見ることにした。

    メイショウハチコウが逃げ、そのすぐ後ろに津村とともにリアライズシリウス。

    3番手には皐月賞3着、若武者・佐々木大輔とともにライヒスアドラーが付け、こちらも骨折を押してダービーに挑んだ岩田康誠とエジンバラらが先団を形成。

    勝ちたいという思いに溢れた騎手たちによる駆け引きは2コーナーに入る辺りからペースが落ち、前半の3ハロンは35秒6というゆったりした流れになった。

    馬群がひと固まりになる中、ペースが遅いと判断したのか、最後方にいた川田将雅とバステールが動いた。

    それと同時に逃げていたメイショウハチコウを交わして、リアライズシリウスが前に出た。

    先頭が入れ替わり、そして最後方にいた馬が一気に2番手まで押し上げていくなど位置取りが目まぐるしく変わっていく中で、ロブチェンと松山弘平は一切動じない。

    デビューからのコンビだからこその信頼関係がその手綱さばきからも伝わってくる。

    そうして迎えた最後の直線。先頭にいたのはリアライズシリウスと津村明秀だった。

    40歳を迎え、今年はキャリアハイとも言うべき成績を残している津村にとって初めてダービーで勝ち負けを意識できる存在となったリアライズシリウスとともに懸命に粘ったが、間もなくバステールに交わされてしまう。

    前日の落馬で負傷した左足はきっと痛んだはずだが、それでも津村は懸命にリアライズシリウスを追った。

    ゴールまで残り200m。バステールが先頭に立ったところに襲い掛かってきたのが、クリストフ・ルメールとパントルナイーフだった。

    木村哲也期待のホープとしてデビューし、2歳時には東京スポーツ杯2歳Sを制覇。

    厩舎の偉大なる先輩、イクイノックスの蹄跡をなぞるかのように皐月賞にぶっつけで挑んだが、結果はまさかの14着。スローペースの中で何もできずに終わった。

    こんなはずじゃない。直線の長い東京でなら巻き返してみせる――ルメールの想いは強かった。渾身の左鞭に応えるように一歩ずつバステールに迫っていく。

    そしてその外にやってきたのが、松山弘平とロブチェンだった。

    スローペースの流れの中でもじっくりと脚を溜め、直線で猛追。

    末脚のキレという点では不安視されたところもあったが、松山の右鞭が入るたびにアタマをグッと下げ、あの独特の低いフォームで前を追いかけはじめた。

    ゴールまで残り10m。ロブチェンとパントルナイーフは前で踏ん張っていたバステールを交わし、馬体を併せて先頭に躍り出た。

    そして始まる2頭の叩き合い。

    厩舎の先輩、イクイノックスでさえ届かなかったダービー馬の称号を掴みにきたパントルナイーフとルメール、そして二冠制覇を目指して伸びてきたロブチェンと松山弘平。

    ......2頭と2人の意地とプライド、そして想いがぶつかり合った叩き合いはわずかに外、ロブチェンと松山に軍配が上がった。

    変幻自在の王が見事に二冠を達成し、松山弘平はデビュー18年目、11度目の挑戦で念願のダービージョッキーの称号を手にして見せた。

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    ゴールからウイニングラン、そして勝利騎手インタビューまで、鳴りやまない"マツヤマコール"の中、第93代ダービージョッキーはインタビューでこう答えた。

    「本当にまさか、松山弘平がダービージョッキーになるなんて」

    11度目の挑戦でようやくたどり着いたダービージョッキーの景色について聞かれると「帰って来る時、自然と涙がこみあげてきて。

    僕は嬉しい時になかなか涙が出ないタイプですが、自然と溢れてしまうところがきょうはありました」

    最高の相棒、ロブチェンの馬上から最高の景色を見た松山弘平。

    秋に控えている菊花賞、そしてこれからのレース後、彼とロブチェンの前にはいったいどんな景色が広がっているのだろうか。


    ■文/福嶌弘

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    第93回日本ダービー(東京優駿)(GI)着順
    2026年5月31日(日)2回東京12日 発走時刻:15時40分

    着順 枠順 馬名(性齢 騎手名)人気
    1着 8-17 ロブチェン(牡3 松山弘平)1
    2着 7-13 パントルナイーフ(牡3 C.ルメール)4
    3着 3-5 バステール(牡3 川田将雅)11
    4着 7-14 ゴーイントゥスカイ(牡3 武豊)3
    5着 1-2 マテンロウゲイル(牡3 横山和生)12
    6着 2-4 アルトラムス(牡3 横山武史)16
    7着 6-11 リアライズシリウス(牡3 津村明秀)2
    8着 1-1 ライヒスアドラー(牡3 佐々木大輔)5
    9着 3-6 コンジェスタス(牡3 西村淳也)6
    10着 6-12 アスクエジンバラ(牡3 岩田康誠)9
    11着 5-9 アウダーシア(牡3 D.レーン)7
    12着 7-15 フォルテアンジェロ(牡3 荻野極)8
    13着 4-7 メイショウハチコウ(牡3 M.ディー)13
    14着 8-18 エムズビギン(牡3 F.ゴンサルベス)15
    15着 2-3 ケントン(牡3 丹内祐次)18
    16着 8-16 グリーンエナジー(牡3 戸崎圭太)10
    17着 4-8 ショウナンガルフ(牡3 浜中俊)17
    18着 5-10 ジャスティンビスタ(牡3 坂井瑠星)14
    ※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。