【安田記念 見どころ】目指すは頂点。マイル界の真の王者に向けて邁進するのは

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2026.6.7


ガイアフォースが富士ステークスを優勝(c)SANKEI

激戦だった日本ダービーが終わり、6月ながら競馬界には夏の香りが漂うように。今週末からは2歳馬が早くもデビューを迎え、来年の日本ダービーへ向けての戦いが始まる。

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そんな6月最初の日曜日、春のマイル王決定戦として名高い安田記念が開催される。

オグリキャップが武豊を背にレコードで駆け抜け、タイキシャトルが雨を切り裂いて抜け出し、エアジハードが同級生の怪物・グラスワンダーを力でねじ伏せた。

最近でもグランアレグリアが驚異の脚で突き抜け、昨年もジャンタルマンタルが好位から押し切り、マイル王の座を確固たるものとした。

しかし、今年のメンバーを見ると......例年以上の混戦に映る。

昨年の覇者であるジャンタルマンタルは不在で、人気の一角と目されていたアドマイヤズームは古傷である右前脚の爪を痛めて回避。

これにより今年は5年ぶりにフルゲートを割り、17頭での争いに。GⅠ馬の出走が過去10年で最少となる3頭のみというのも、今年の安田記念がタレント不足であることを物語っている。

だが、出走メンバーにビッグネーム不在は決して悪いことではない。レース前はどこか物足りなく感じるメンバーでも、レース後にはあの大物が潜んでいたというケースは安田記念ではよくある話と言える。

例えば、2015年の安田記念を制したモーリス。この年もGⅠ馬は4頭いたが、帯に短したすきに長しというメンバー構成で混沌とした中を突き抜けた彼は当時、まだ重賞1勝馬という身分。

それも安田記念の2カ月前に行われたダービー卿CTを勝ったばかりという勢いに任せた戴冠だった。

勢いに乗ったまま春のマイル王となったモーリスだったが、その後は7戦5勝2着2回という驚異的な成績をマーク。

この年はマイルCSと香港マイルを制して世界に名を轟かすマイル王となり、翌5歳時は天皇賞(秋)と香港Cを制覇するなど、時代を築く名馬となった。

そんな未知なる可能性を秘めた馬が17頭もこの安田記念にエントリーしている。その中でも最も勝利に近いとされるのが......古豪ガイアフォースだろう。

キタサンブラック産駒には珍しい真っ白な馬体を持つ彼はデビュー当時、その血統通りに中距離路線に活路を求め、3歳秋にはセントライト記念を制覇。

菊花賞では1番人気に支持されるも距離の壁が厚く、8着に完敗した。

転機となったのは4歳春。マイラーズCへ挑んだことだった。自身初のマイル戦でやや短いのではと思われたが、直線でよく伸びてきて勝ち馬シュネルマイスターとタイム差なしの2着。

トップマイラーが揃ったこの年の安田記念でも4着に食い込み、マイル路線へと矛先を向けた。

だが、そこからがトンネルの入り口だった。勝ち星どころか掲示板を外すことも増え、一時はダート路線に向かうことも。それでも安田記念だけは毎年出走し、人気以上の着順に入っていた。

そうして迎えた昨年の安田記念。3度目の挑戦で最低となる9番人気という低評価だったが、吉村誠之助を背に2着に激走。

一息入れて迎えた富士Sは2番手から抜け出し、3歳時のセントライト記念以来となる約3年1カ月ぶりの勝利を手にした。返す刀で挑んだマイルCSは再び2着に入り、もうマイルGⅠ制覇は目の前というところまできた。

7歳になり、馬体はさらに白くなったが、闘志は未だに衰えず。4度目の挑戦となる今年こそ悲願のGⅠ制覇を飾るだろうか。

この春、最も勢いに乗った騎手と言えば松山弘平。ロブチェンによる牡馬クラシック二冠達成にスターアニスでの桜花賞制覇と誰も手が付けられないほどの活躍を収めたが、そんな彼がタッグを組むパンジャタワーもマイル王へと名乗りを上げる。

父がスプリンターのタワーオブロンドンだったせいか、マイルとなると頼りない印象があった彼。そのため京王杯2歳S勝ちの実績がありながらもNHKマイルCは9番人気の低評価。それを覆すように突き抜け、松山とともに3歳マイル王の座を掴んだ。

その後はスプリント路線へとシフト。キーンランドCでは上がり33秒9の末脚を繰り出して快勝。この時破った相手には後のスプリンターズS勝ち馬のウインカーネリアンがいたが、古馬をも相手にしない末脚が印象に残った。

これを足掛かりにオーストラリアへ遠征し、ゴールデンイーグルでは5着。4歳になるとサウジアラビアへ遠征し、1351ターフスプリントに挑むも再び5着。帰国緒戦の高松宮記念は向こう正面での不利があり、4着に敗れた・

キーンランドC以降のレース選択はまさにスプリンターそのものだが、安田記念と同じ東京芝マイルでGⅠ勝利しているという実績はやはり大きなポイント。この春、乗りに乗っている松山を背に再びマイル王の座に君臨するか。

ガイアフォース、パンジャタワーはこの路線の常連とも言うべき馬で、新鮮味という点では一歩劣る。かつてのモーリスのように勢いに任せて突き抜けるとすれば......新鋭・トロヴァトーレに期待する手もある。

デビューから堂々の2連勝。レイデオロ産駒の期待馬としてクラシックを目指すも弥生賞6着から歯車が狂い、結果的にクラシックへの出走は叶わず。

自己条件からコツコツと走り始めオープン入りを果たすと、久々の重賞挑戦となったダービー卿CTを勝利。かつてのモーリスをなぞるように昨年の安田記念に挑んだが、結果は17着惨敗。マイル王への道はまだまだ遠かった。

その後、トロヴァトーレもいろいろな可能性を模索してダート路線に活路を見出したこともあったが、5歳になると同時に芝に復帰。

京都金杯4着から挑んだ東京新聞杯は久しぶりにコンビを組んだクリストフ・ルメールのエスコートがハマり快勝。その勢いのまま挑んだエプソムCは再び後方から抜け出して勝利した。

表向きは昨年と同じ2連勝の勢いに乗ってのGⅠ参戦だが、その内容は段違い。ルメールとともに自慢の末脚を爆発させて、マイル王へと駆け上がるか。

マイル路線が混沌としているとき、中距離界から参戦するダークホースがビッグタイトルをかっさらうということがままある。今年の場合、レーベンスティールに刺客の素質が見られる。

デビュー当時は体質的な問題化なかなか使いこめず、2勝目を挙げたのは3歳5月だったが、秋にはセントライト記念を快勝。菊花賞をパスしてまで香港ヴァーズに挑んだが、結果は無念の8着。

4歳になるとエプソムC、オールカマーと連勝するが、肝心のGⅠでは力が足りず、天皇賞(秋)は8着。その後は掲示板を外すことも増えたが、5歳になった昨年は毎日王冠を勝利と着実に重賞タイトルをもぎ取っていく。

6歳になった今年は中山記念を勝利した後に大阪杯に挑み6着。1800mでの安定感を考えると距離が長いのかもしれないため、1600mへの距離短縮は却って都合がいいかもしれない。初めて挑む安田記念で戸崎圭太とともに波乱を起こせるだろうか。

悲願達成、2部門制覇、真の本格化に路線変更での一発......今年の安田記念にはどんなドラマが待っているのだろうか。


■文/福嶌弘

第76回安田記念(GI)枠順
2026年6月7日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分

枠順 馬名(性齢 騎手名)
1-1 レーベンスティール(牡6 戸崎圭太)
1-2 ロングラン(セ8 F.ゴンサルベス)
2-3 オフトレイル(牡5 菅原明良)
2-4 シックスペンス(牡5 武豊)
3-5 サクラトゥジュール(セ9 佐々木大輔)
3-6 ステレンボッシュ(牝5 D.レーン)
4-7 スズハローム(牡6 藤懸貴志)
4-8 シャンパンカラー(牡6 岩田康誠)
5-9 ウォーターリヒト(牡5 高杉吏麒)
5-10 ルクソールカフェ(牡4 岩田望来)
6-11 ワールズエンド(牡5 津村明秀)
6-12 シリウスコルト(牡5 横山和生)
7-13 セイウンハーデス(牡7 幸英明)
7-14 ガイアフォース(牡7 横山武史)
8-15 ドラゴンブースト(牡4 丹内祐次)
8-16 パンジャタワー(牡4 松山弘平)
8-17 トロヴァトーレ(牡5 C.ルメール)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。