【宝塚記念】グランプリに波乱はあるか!?実力伯仲のスターホースが勢ぞろい!

左からメイショウタバル、クロワデュノール、ミュージアムマイル(c)SANKEI
上半期の総決算・春のグランプリ 第67回宝塚記念<GI 3歳以上オープン(国際)(指定)定量コース:2,200メートル(芝・右)>が6月14日(日)に阪神競馬場で行われる。
久々に"ドリームレース"にふさわしいメンバーが揃った印象のある今年の宝塚記念。
GI馬出走18頭中、GI馬5頭は例年通りだが、5頭中4頭が直近1年以内にGIを制している。
唯一の例外であるダノンデサイルも昨年3月にドバイシーマクラシックを勝ったように今がまさにピークのスターホースたちが一堂に会した。
他にもこれから旬を迎える遅咲きの素質馬たちも集まり、どの馬が勝ってもおかしくないという様相を呈している。それだけに競馬ファンも例年以上に盛り上がりを見せている。
だが、戦前から豪華なメンバーが集まったと評された年の宝塚記念はなぜか、波乱の決着となることが多い気がする。
例えば、前年の有馬記念を制したシンボリクリスエスと春の牡馬クラシック2冠を達成したばかりのネオユニヴァース、そしてGI6勝を挙げたばかりのアグネスデジタルらが集まった2003年。
この年は6番人気の伏兵、ヒシミラクルがツルマルボーイとの叩き合いをクビ差制した。
レース前にヒシミラクルの単勝に大口の投票があり、配当が2億円になったというウワサが飛び出した一戦だが、振り返ってみれば馬連は万馬券の決着だった。
そして、前年の2冠馬ドゥラメンテと菊花賞、天皇賞(春)を制したキタサンブラックの一騎打ちが期待された2016年。
この年は逃げるキタサンブラックをドゥラメンテが猛然と差してきたが、その前には8番人気のマリアライトがいた。人気馬が2着3着を固めたため配当は延びなかったが、単勝25.1倍は直近10年の中で最も高配当となった。
実力伯仲の馬たちが集まるからこそ、ちょっとのことで波乱の決着となる春のグランプリ・宝塚記念だが......
今年はこのレースを制して史上初の春古馬三冠制覇を目論む馬がいる。

それこそが現役最強馬・クロワデュノールである。
好スタートからすぐに好位に付けて流れに乗り、直線では早めに抜け出して、後続馬を力で捻じ伏せるという教科書通りの先行策を武器に世代を牽引して、ホープフルSもダービーも危なげなく制覇。
秋は凱旋門賞に挑んだこともあり、なかなか体調が整わなかったが......明け4歳になると真の力を発揮した。
まずは4歳緒戦となった大阪杯。1つ上のダービー馬ダノンデサイル、グランプリホース・メイショウタバルらの強力なライバルがいたが、中団から流れに乗って行くと直線では前を行くメイショウタバルを猛追。
ゴール寸前で捕らえて勝利を飾り、危なげなくGⅠ3勝目をマークすると、続く天皇賞(春)は自身初の3000m超えのレースとなったが、スタートから楽に折り合うと、2周目の3コーナーから下り坂を利用してスパートを敢行。
4コーナーでは早くも先頭に立つという強硬策に出たが、迫りくるヴェルテンベルクをハナ差凌いで1着。大阪杯に続いて、このレースも父子制覇を成し遂げてみせた。
迎える宝塚記念。これを勝てばJRA史上初となる春古馬三冠を達成することに。
9年前、父が挑んだ際は9着に大敗しその夢ははかなく散ったが、息子であるクロワデュノールはどうか。偉大なる大記録を達成するか、注目したい。

そんな現役最強馬の1頭であるクロワデュノールを負かしたことがあるのが、ミュージアムマイルだ。
2歳夏にデビューすると、暮れの朝日杯FSではアドマイヤマーズの2着。中団からのキレのある末脚を武器にしていた馬だったが、ジョアン・モレイラと組んだ皐月賞で覚醒。
先に抜け出したクロワデュノールをただ1頭、直線で猛追して捕まえて差し切り勝ち。まさに雷のような一撃に、ファンも心底震え上がったことだろう。
その後、パートナーがなかなか定まらなかったこともあったが、秋にはセントライト記念を危なげなく制すると、その後は天皇賞(秋)、有馬記念と古馬のトップホースたちが挑む場所。
そこにクリスチャン・デムーロとともに挑んだ2戦は秋天2着、有馬記念1着。2戦とも出遅れていたが、それを問題にしない堂々たる走りを見せた。
昨年の有馬記念以来の実戦をここで迎えるミュージアムマイル。ここも制してグランプリ秋春連覇を目指す。

阪神競馬場の芝2200mというやや特殊なコースの宝塚記念。
それゆえにこの舞台と無類の相性を誇る馬もいる。昨年の勝ち馬、メイショウタバルは虎視眈々と連覇を狙う。
毛色こそ違えど、父ゴールドシップというところからも想像がつくほどの荒くれもので、キャリアを通じて連勝はわずか1度きり。勝つか負けるか――そんな丁半バクチのような走りがこの馬の人気を集めた要因だった。
勝つ時は実に鮮やか。当たり前のように涼しい顔でレコード勝ちを決めたかと思えば、馬群のどこにもいないような惨敗を喫すこともしばしば。それだけに狙いづらい馬ではあったが、鞍上に武豊を迎えたことで馬が変身。
昨年の宝塚記念はノーマークだったこともあるが、単騎で逃げてそのまま押し切り勝ち。
まさにユタカマジックとも言える好騎乗だったが、その後はGⅠに立て続けに挑み、今年の大阪杯ではクロワデュノールの2着に食い込んだ。
勝つか惨敗かのレースばかりをしてきた馬にとって、今年に繋がる大切な一戦と言えるだろう。
連覇がかかる夏のグランプリ。相手にとって不足はない。本来の力を見せて連覇を飾るのだろうか。
例年以上の盛り上がりを見せる宝塚記念。初夏のグランプリを制し、ファンに最も愛されるのはどの馬か。
■文/福嶌弘