【サッカー W杯】ハンス・オフト元日本代表監督が語る日本 vs オランダ戦の展望

サッカー

2026.6.14

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    ハンス・オフト元日本代表監督(写真は代表監督時)(c)SANKEI

    ハンス・オフト元日本代表監督は、Jリーグ発足を控えた日本で初の外国人代表監督となり、彼が率いた日本代表は1994年ワールドカップ(W杯)アメリカ大会の最終予選で初出場にあと一歩に迫り、日本のW杯への可能性と目指す道を示した。

    それから32年、日本代表は6月11日(日本時間12日)に始まったW杯北中米大会に8大会連続8度目の出場で「優勝」を目標に掲げて初のベスト8進出以上を目指して戦いを始める。

    F組初戦は6月14日(同15日)、アメリカのダラスでオランダ代表と対戦する。最新のFIFAランキングでは日本の18位に対してオランダは8位で2010年を含めてW杯準優勝は3回を数える。通算対戦成績は日本の1分け2敗で、日本はまだ白星がない相手だ。

    両チームをよく知る、オランダ出身のオフト元監督に日本対オランダ戦の展望を訊いた。

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    日本代表 PHOTO:Getty Images

    カタールW杯後の成長

    日本とオランダの対戦は、私が今回のW杯で楽しみにしている試合のひとつだ。日本のこの数年の成長ぶりを考えると興味は尽きない。

    森保監督が日本代表を率いて2度目のW杯だが、前回大会からの4年でチームは成長を遂げ、特にメンタル面に変化を感じる。それは、選手たちが欧州トップレベルでの経験を経て身に着けてきたものにほかならない。

    成長はプレー面も然り。カタールW杯ではドイツとスペインという強豪に素晴らしいゲームプランで臨み、完璧に遂行して勝利を挙げて世界を驚かせた。

    だがプレーはリアクション主体で、第2戦のコスタリカ戦でアクションサッカーをしようと少し試みたがうまくいかなかった。それが今ではずいぶん改善されて、特に攻撃の最後のエリアで選手たちがどうすべきか、常に考えを巡らせて動こうとしている。

    それはとても重要なことだ。3月のスコットランド戦とイングランド戦で日本はいい戦いをして勝利を手にしたが、その結果も驚くものではない。

    今大会のメンバー編成もよく考えられている。個人的に残念なのは三笘薫(ブライトン)の不在だ。三笘は4年前の大会前はそこまで注目を集めていた存在ではなかったが、カタールW杯を経て飛躍した。

    ボールを持つと圧倒的な強さを示すが、その彼がいない左サイドを誰がどう埋めるのか、非常に興味深い。別の見方をすれば、前回の彼のように、今回のW杯で目覚ましい変貌を遂げる選手が出てくるのではという期待がある。

    遠藤航(リバプール)が初戦間近で足のケガの回復が間に合わず、離脱したことも残念だ。中盤と最終ラインをつなぐ要として重要な存在だったが、日本は彼が不在だった3月のスコットランド戦とイングランド戦で良い戦いをした。

    今大会も佐野海舟(マインツ)や鎌田大地(クリスタルパレス)をはじめ、今いる選手たちに期待したい。ロッカールームなどピッチ外で彼がいればと思うこともあるかもしれないが、力を合わせてほしい。

    遠藤の代わりに町野修斗(ボルシアMG)が招集されたが、森保監督には三笘不在の攻撃陣にさらに厚みを加えようという狙いがあるのではないだろうか。

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    ガクポ(左)、ダンフリース(右) PHOTO:Getty Images

    オランダ戦、ガクポとダンフリースは要警戒

    オランダはケガ人も多く、そのため対策を練り直す必要に迫られるなど、今大会へ向けて十分に準備ができているとは言いがたい状況だ。

    ウズベキスタンとの大会前最後の強化試合を見たが、時差ぼけで良い状態ではなかったとはいえ、連係連動するオートマチズムが見られなかった。大会中にどこまでチームとしてまとまることができるのか。

    ただ、優れたタレントが多いのは事実だ。中でもコーディ・ガクポ(リバプール)は左サイドで非常に危険な存在だ。左から中に切れ込んでの右足シュートは威力があり、良いパスが来れば得点を挙げる。

    彼には自由に中に入らせないこと。また、右サイドバックのデンゼル・ダンフリース(インテル)の攻め上がりも要注意だ。日本はハクポとダンフリースを抑えることポイントになる。

    中盤のタイヤニ・ラインデルス(マンチェスターC)、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)、若手のライアン・フラーフェンベルフ(リバプール)は素晴らしい選手たちだが連係はまだ不十分で、チームとしても守備は完璧とは言い難い。

    オランダはチームの現状と日本戦が大会初戦という点を考えると、負けは避けたいと考えるだろう。日本は中盤でボールを失わず、できるだけ相手ゴールに近い位置でプレーして攻撃陣の良さを活かすといい。

    中盤に少し引いてプレーする場合は、スピードのある選手がボールを運び、ファイナルサードで決定力を発揮できる上田綺世(フェイエノールト)の強みを活かしたい。伊東純也(ゲンク)も得点の鍵になりそうだ。

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    ガクポ(左)、ダンフリース(右) PHOTO:Getty Images

    「チーム主体」の考えができる森保監督

    森保監督とは、彼がまだ高校生だった時に私が監督をしていたマツダ(のちのサンフレッチェ広島)にスカウトしたが、当時はまだ体の線が細く、私が在任中の2年間で公式戦に出る機会はなかった。

    ところが数年後に代表監督として再び彼に会うと、選手として成長していた。それで代表チームに招集した。

    彼は17歳の頃から「チーム主体」の考え方ができる選手だったが、それは今も変わらないし、チームをまとめる点で役に立っていると思う。

    監督としては論理的なゲームプランを立てて、それを冷静に遂行できる。この8年でその成熟度は増していると感じるし、カタールW杯後の4年間の選手の成長もあって、以前より多くの攻撃のオプションやアイデアを駆使できるようになっている。

    今回は3か国共催で移動距離も時差も暑さもある。勝ち進むには休みの取り方とラウンドごとに頭を切り替える「リセット」が重要なポイントになるだろう。

    「優勝」と言う目標設定は良いが、まずは1つ1つ冷静に歩みを進めることだ。

    日本がF組を上位2位以内で勝ち進めばC組勝ち上がりのブラジルやモロッコと対戦する可能性があるが、あまり先を見すぎず、目の前の一戦に集中して臨むことだ。 まずは初戦。日本がオランダとどういう戦いを見せるのか。楽しみだ。

    取材・文:木ノ原句望

    <FIFAワールドカップ(W杯)2026 北中米大会>
    第23回目の今大会はアメリカ、カナダ、メキシコの3か国による史上初の共同開催となる。出場枠が従来の32カ国から48カ国に拡大され、計104試合にわたる過去最大規模のトーナメントとして実施される。

    開催期間:2026年6月11日〜7月19日 ※現地時間
    グループステージ:6月11日〜6月27日
    ラウンド32:6月28日~7月3日
    ラウンド16:7月4日~7日
    準々決勝:7月9日~11日
    準決勝:7月14日〜15日
    3位決定戦:7月18日
    決勝:7月19日

    ・全試合日程(大会スケジュール)
    ・グループリーグ(グループステージ)
    ・決勝トーナメント(ノックアウトステージ)