【天皇賞・秋】帰ってきた、ベリベリホース!ダノンデサイルが圧倒的なパフォーマンスで復活V

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2026.11.2

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    「ベリベリホース!!」――昨年の春、ドバイシーマクラシックを制したダノンデサイルに騎乗した騎手の戸崎圭太は現地のインタビューで興奮気味にこう答えた。

    馬自身の圧倒的なパフォーマンス、そしてこのワードのインパクトは瞬く間に競馬ファンの心を掴み、いつしかダノンデサイルのキャッチコピーのようになっていた。

    日本ダービー、そしてドバイシーマクラシック......常に鮮やかに勝利し、大仕事を成し遂げてもまるで何事もなかったかのように帰ってくるダノンデサイル。そんな逞しい彼の走りを見たものは誰もが思ったことだろう。

    これからの競馬界は、ダノンデサイルを中心に回るだろう――と。

    だが、現実はそうはならなかった。ドバイシーマクラシック後は真夏のイギリスへ遠征し、インターナショナルSに挑んで5着。

    そして帰国するとジャパンC、有馬記念ともに3着に終わると、5歳緒戦の大阪杯は坂井瑠星と新コンビを組んだが、ここも3着。そして宝塚記念も道悪馬場の中を懸命に伸びてきたが、それでも3着だった。

    気が付けば帰国してからのGⅠ4戦すべて3着。コースも条件もすべて異なるレースで毎回上位に来ていても勝ち切れない。それがダノンデサイルの現状だった。

    実力があることは間違いない。しかし、エピファネイア産駒特有の気性の激しさが影響してかレースでは100%のパフォーマンスを発揮できない。

    そして右回りのコースになるとレースの幅が少なくなるという難点も見られるようになった。

    だからこそ、陣営もダノンデサイルの力を引き出すために苦心してきた。

    3歳時から装着していたシャドーロールに加え、チークピーシーズも着用。それもコースに合わせて片側だけに付けることで少しでも集中力を高めることを意識した。

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    あの日の走りをもう一度――そんな陣営の努力や工夫が11月1日、ついに実った。

    美しいほどの秋晴れとなったこの日の東京競馬場。天皇賞(秋)のパドックでダノンデサイルの栗毛の馬体ははち切れんばかりに輝いていた。

    その姿は1番人気に支持されたクロワデュノールの漆黒の馬体よりも美しく、連覇を狙うマスカレードボールの表情よりも生き生きしているように感じられた。

    あとはこの馬のリズムに合わせて走れるか――大外17番枠で最後にゲートに入ったダノンデサイルと戸崎圭太はスタート直後、出たなりの位置ということで中団に。

    その近くにはマスカレードボールがいたため、図らずもマークするような形でピタリと隣に付けることに。

    逃げたかった3歳馬リアライズシリウスを挺して、先頭を奪ったレディネスがペースを握る中、流れは必然的にタイトなものに。

    天皇賞春秋制覇を狙うクロワデュノールはインコースの6番手という絶好の位置に付けてレースに臨んでいたが、前半の1000mは58秒8とやや速い流れに。

    先手を取って抜け出すクロワデュノールにはやや厳しいペースにも感じられた。

    馬群はひと固まりのまま、3コーナーを過ぎ、府中名物の大ケヤキも通過。

    そのころには徐々に馬群も崩れ出し各馬がスパートを打ち始める中、クロワデュノールもマスカレードボールもまだ動かない。ともに馬群の中にこもったまま最後の直線を迎えた。

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    各馬の実力がダイレクトに表れる最後の直線。真っ先に抜け出してきたのは大外にいたダノンデサイルだった。

    逃げるレディネスを各馬が捕まえに行く中、セイウンハーデスらが並びかけたところ、大外ではダノンデサイルが並ぶ間もなく一気に先頭に。

    そのパワフルな走りはこのところ見られなかったものでまさにエンジン全開と言わんばかりのフルスロットルで突き抜けてきた。

    ゴールまで残り200m、ようやくクロワデュノールの前の進路が開き、新パートナーのC・デムーロは追い始めたが、先頭を行くダノンデサイルははるか前に。

    まるで水を得た魚のように加速し続けるダノンデサイルと戸崎圭太をもはや誰も止めることができない。

    1馬身、2馬身......ゴールまで残り100m。気が付けばダノンデサイルは2着以下に決定的な差を付けてゴールに飛び込もうとしている。

    その姿はインコースを華麗に抜けて突き離したダービー、そしてカランダガンらの世界の強豪を力で捻じ伏せたドバイシーマクラシックと全く同じ。100%の力を発揮した時のダノンデサイルの姿だった。

    こうなると、もはや勝負あり。ダノンデサイルは追いかけてきたネブラディスク、レガレイラらの追撃を全く気にしないという様子でそのままゴールへ。

    2着ネブラディスクに付けた着差は2馬身半という決定的なもので、上がり3ハロンの時計はメンバー最速の32秒9。

    こんな速い上がりを残り200mの時点で先頭に立っていた馬が叩き出すとは......ダノンデサイルがただものではないことを示している。

    惜敗続きにピリオドを打ち、圧倒的なパフォーマンスでGⅠ3勝目を飾ったダノンデサイル。

    鞍上の戸崎圭太も「この馬の強さを見せられたのが良かった」と、満足そうにインタビューに答え、最後はファンの前で決めゼリフの「ベリベリホース!!」で締めくくった。

    帰ってきたベリベリホース、ダノンデサイルがこの秋、競馬界を牽引することは間違いないだろう。

    昨年捕り逃したジャパンCに有馬記念といったビッグタイトルも、今年は手中に収めることができるだろうか。


    ■文/福嶌弘