5月8日放送の「卓球ジャパン!」は、2週連続「伊藤美誠スペシャル」の後編。テレビ東京が彼女を見つめてきた3000日、約10年間の軌跡を振り返った。
「鳥肌が立つくらいスゴい」伊藤美誠のプレーを玄人目線でDEEP解説【卓球ジャパン!】
取材班が彼女と出会ったのは今から9年前の2012年夏・ロンドン五輪。11歳の伊藤美誠は日本女子が悲願のメダルを獲得する様子を観客席から見つめていた。その夜、ホテルの部屋で伊藤は「夢日記」ノートにこう書き、カメラの前で読んでみせた。
「4年後にはこの大きな舞台に立ちたいです」
「それで8年後にはオリンピックで優勝したいです」
そのあどけない可愛らしさにMCの武井壮と平野早矢香が思わず声を上げた。
脚光を浴びたのは13歳のとき。2014年ドイツオープンで、平野美宇と組んだ女子ダブルスで史上最年少のワールドツアー優勝を果たした。賞金額が50万円と聞いて目を丸くして驚く2人の動画が世界中に配信された。"みうみま"ペアが卓球界を越えて人々に知れ渡った瞬間だった。
2015年には、初めての世界卓球で女子シングルスベスト8に入り、準々決勝でロンドン五輪金メダリストの李暁霞(中国)と堂々と渡り合った。
こうした活躍により、翌年のリオ五輪代表に内定。そのアジア大陸予選で伊藤はまたもや世界を驚かせた。前年の世界女王の丁寧から大金星を挙げたのだ。まさに破竹の勢いだった。
その伊藤を支えてきたのが専属コーチの松﨑太佑だった。常にビデオカメラを持ち歩き、相手選手の弱点や攻略方法を研究していた。メモしたノートは63冊目になっていた。
「自分は上に行った選手ではないので、経験からアドバイスするのは他のコーチより難しい」
そう語る松﨑ならではの徹底したデータによるコーチングだった。
しかし順風満帆の時ばかりではない。リオ五輪を2ヶ月後に控えたスロベニアオープンで、伊藤は思うように勝てなくなっていた。3回戦で格下の選手に良いところなく負け、松﨑と言い争う場面をカメラが捉えていた。背を向けてタオルで顔を覆ったままの伊藤に代わり、インタビューに答えた松﨑も、堪えきれずに涙した。
こうした苦難の時期を越えて迎えた2016年リオ五輪。銅メダルのかかったシンガポール戦で、伊藤は4番でエースのフォン・ティエンウェイを倒し、日本女子の銅メダルを決めた。夢のひとつが実現した瞬間だった。今度は松﨑とともに嬉し涙を流した。
「決して一人で強くなってるんじゃないということを感じますね」(武井)
「松﨑コーチだからこそ伊藤選手の今までにないスタイルを許して育てられたと思う」(平野)
2018年には全日本選手権女子シングルス初優勝。女子ダブルス、混合ダブルスも制して3冠を達成し、17歳で日本のエースとなった。
11月のスウェーデンオープンでは神がかったプレーで劉詩ブン、丁寧、朱雨玲という中国のトップ3を立て続けに破って優勝。中国メディアはこの日本の強敵を"大魔王"と書いた。
「卓球王国の中国から大魔王って言われてすごく嬉しかったし、もっと大魔王になってやろうって思いました」(伊藤)
2019年には日本女子史上初の世界ランク2位となり、いち早く東京五輪代表に内定したが、そこに襲ったのが新型コロナだった。五輪の延期が決定し、試合の場もなくなった。
しかし伊藤は黙々と練習を続けていた。約半年ぶりの取材となった昨年9月、取材陣は伊藤の変化に驚く。明らかに身体に筋肉がつき、大きくなっていた。特に右腕が太くなって以前のユニフォームが着られなくなり、右肩だけサイズを大きくした特注品を着ているという。凄まじい練習を物語っていた。
「こういう環境でやり続けられるっていうのが凄い」(平野)
「自分の中にあるんだね。これが足りないとかこれを身につけたいとか。俺も同じタイプだからすごくわかる」(武井)
11月、待ちわびた国際大会が中国で再開した。女子ワールドカップ(山東省威海市)とITTFファイナルズ(河南省鄭州市)だ。ホテルで4日間隔離され、1000キロの道のりを12時間かけてバス移動し、さらに3日間の隔離生活。練習を再開できたのは中国に入って9日目のことだった。
「今回は命がけで来た。久々に人と打ち合えるって楽しい。この思いを試合にぶつけていい試合をしたいなって思ってます」(伊藤)
待ちに待った試合で伊藤は伸び伸びとプレーし、女子ワールドカップで初の銅メダルに輝き、ITTFファイナルズの準々決勝では、これまで負け越している天敵・王芸廸を倒して日本勢最高位のベスト4に入賞した。
そして今年3月のWTTドーハ大会。中国不在の中、格下選手に苦しみながらも見事、2大会に優勝し、調子が悪くても勝ち切る新たな勝負強さを見せつけた。
予定されていた国際大会が中止となり、ぶっつけ本番で迎える東京五輪まで100日を切った。伊藤は中国に対してどんなプレーを見せるのか、そして中国がどんな対策をしてくるのか。テレビ東京はこの夏も伊藤を見続ける。
次回は東京五輪団体戦のカギ、ダブルス「"かすみう"ペア徹底分析!」をお送りする予定。お楽しみに!
「卓球ジャパン!」 BSテレ東で毎週土曜夜10時放送