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世界卓球初代表の芝田沙季 ミックスダブルスで「樊振東選手のボールを受けてみたい」

2021.10.13
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2021.10.13

芝田沙季 Photo:Itaru Chiba

年齢差が必ずしも勝敗に直結しない卓球競技において、年の数は実力を測る物差しにならないかもしれない。

しかし、若い才能が次々に芽を出す中で、長年こつこつと実績を積み上げ24歳で「世界卓球2021ヒューストン」<11月23〜29日>で初めて世界卓球代表入りを果たした芝田沙季(ミキハウス)は賞賛すべき選手である。

10月5日に閉幕したアジア選手権ドーハ大会にも日本代表として出場。日本勢47年ぶりの女子団体金メダル獲得に貢献するとともに、女子シングルスでも銅メダルを持ち帰った。

持ち前の根気強さで世界のトップクラスへ

卓球選手には2歳や3歳でラケットを握ったというケースが少なくないが、芝田が卓球を始めたのは6歳のときだった。両親は卓球に縁がなく、従兄姉が卓球クラブに通っていた影響だった。

つまり芝田の卓球歴は18年。24歳は卓球の世界で中堅になりつつあるが、今でも進化を続けている理由には彼女が選んだ練習環境と持ち前の根気強さがある。

身長154cmと小柄ながら、威力のあるフォアハンドドライブを武器に頭角を現した芝田は小学6年生で親元を離れ、千葉県の強豪・千城クラブに入り下宿生活を送った。

千城台南中学校から大阪の名門である四天王寺高校へ進み、卒業後はミキハウスに入社。2014年からワールドツアーを転戦するようになった。

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芝田沙季 Photo:Itaru Chiba

2017年頃からはバックハンドの強化に力を入れ戦力アップ。バックハンドのコースの打ち分けやバック対バックが安定したことで、フォアハンドの攻撃力がより生かされ、同年のITTFチャレンジ・ベルギーオープン女子シングルスでシニア初優勝。

翌2018年にも同シリーズのベルギーオープンとベラルーシオープンの女子シングルスおよびダブルスで優勝を果たし、ワールドランキングを上げていった。

さらに2019年は格上カテゴリーのワールドツアー・ブルガリアオープンとチェコオープンで平野美宇(日本生命)とダブルスを組みいずれも準優勝するなど、世界のトップクラスに駆け上がった。

年齢とともに増すチームへの感謝と誇り

飛躍の背景にはミキハウスで同期の佐藤瞳や1歳下の橋本帆乃香、ダブルスでペアを組む17歳の大藤沙月(四天王寺高校)ら仲間たちの存在がある。

「佐藤選手と橋本選手はどんどん先を行って、いつも目標を作ってくれるライバルです。世界卓球に出たのも先で、2人が2019年ブダペスト大会の女子ダブルスで銅メダルを取ったときは現地で見ていました。自分は練習パートナーとして大藤選手と一緒に同行していて、いつか必ず自分たちも世界卓球でメダルを取ろうと話していました」

世界屈指のカットマンと称賛される佐藤、橋本の活躍の陰で、芝田が悔しい思いをしてきたことは想像に難くない。それでも腐らず、諦めず競技と向き合うひたむきな彼女をミキハウスの大嶋監督も「我慢強い選手」と認め温かく、そして厳しく指導してきた。

またミキハウスのOBで、ことあるごとに芝田にアドバイスを送る平野早矢香さんも彼女を「練習の虫」と言い不断の努力に太鼓判を押す。

こうした恵まれた環境に芝田は感謝するとともに、「友達の出産祝いにミキハウスの製品を贈ると、みんな喜んでくれます。人に喜ばれ愛される会社で卓球ができて嬉しいし、頑張らなあかんなっていうモチベーションになっています」とチームへの愛着と誇りを口にする。

アジア選手権で金銅2つのメダルを獲得

女子団体で金メダル、女子シングルスでは安藤みなみ(トップおとめピンポンズ名古屋)とともに銅メダルを獲得した芝田は、早田と対戦した準決勝で第1ゲームを先制された。

そこから追いかける展開でゲームカウント2-2。最終の第5ゲームは芝田が先にマッチポイントを握ったが、10-9から3連続得点を許して逆転負けを喫した。

マッチポイントまでは持ち前の粘り強さと攻撃的なプレーが随所に光り、得意のパワードライブや思い切ってコースを突くレシーブ、ロングサーブを駆使したサーブや相手のタイミングを外すループドライブなどで徐々に早田を追い詰めていった。

あと一歩勝ちきれなかったところは世界卓球への改善点ということになるだろう。

「自分にはここぞというときに得点できる決め球だったり、試合の流れを変えるボールが足りないので、今の自分を超えるには決定打が必要。サーブも種類を増やしたり質を上げたりしているところですし、今あるサーブも組み立てが良ければ効かせられるのでサーブの組み立てをしっかりしたいです。バックハンドもボールの質を上げて攻撃できるようにしたいし、高さも自在に操れないとダメです」

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アジア選手権 金メダルを獲得した女子団体 写真:新華社/アフロ

ミックスダブルスで宇田幸矢と初ペア。樊振東との対戦を楽しみに

自身への要求がどうしても多くなる芝田だが、選手なら誰もが憧れる世界卓球初出場ともなれば力が入るのも当然だろう。

大会本番では宇田幸矢(明治大学)とペアを組むミックスダブルスで楽しみにしていることがあるという。

「最初にペアリングを聞いたときはびっくりしました。宇田選手とは歳は4つ離れていますけど小さい頃から知っていて、ラリーでも台上でも威力があって動ける選手なので心強いです。試合では中国の男子選手のボールを受けるのがすごく楽しみです。特に樊振東選手の卓球が好きなので(もし樊選手がミックスダブルスに出場したら彼の打つボールを)受けてみたいです」

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芝田沙季 Photo:Itaru Chiba

遅咲きと言えばそうかもしれない。けれども試行錯誤しながら粘り強くここまでやって来た芝田にとって、24歳でチャンスが巡って来たのは然るべきタイミングだったのではないか。

「メダル獲得を目標に1戦1戦プラスになる試合をしたい」という彼女の世界卓球2021ヒューストンは、その先も続く卓球人生の大きな節目になるはずだ。


(文=高樹ミナ)

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