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シスコアンバサダー石川佳純、張本智和が東京五輪秘話を披露

2021.10.21
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2021.10.21

『東京2020大会におけるシスコの取り組み』に関する記者説明会にゲスト出演した石川佳純と張本智和

 東京オリンピックの卓球競技で女子団体銀メダルの石川佳純(全農)と男子団体銅メダルの張本智和(木下グループ)が10月21日、オンラインで開かれた「東京2020大会におけるシスコの取り組み」に関する記者説明会にゲスト出演した。

 ITソリューション企業・シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)のアスリートアンバサダーを務める2人は、日頃から同社のテクノロジーを駆使した試合映像やデータ分析アプリを活用しており、東京オリンピック期間中もWebex BOT(ウェベックス・ボット)と呼ばれる機能を使って、対戦相手のプレーや見たい試合の場面を再生し戦術に生かしていた。

 シスコは2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロでもオリンピック・パラリンピックのオフィシャルスポンサーを務めたが、コロナ禍の開催となった東京大会での役割は過去2大会以上に大きく、3大会最多の大規模ネットワークの構築やIoT技術を提供。加えてデータを活用したアスリート支援やダイバーシティ/サイバーセキュリティ人材育成の支援にも取り組んだ。

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石川佳純『東京2020大会におけるシスコの取り組み』に関する記者説明会にゲスト出演


石川と張本のアスリートアンバサダー契約が発表されたのは2017年12月のこと。以来、2人は卓球選手としての視点や自分たちの要望を定期的に伝えることでシスコの技術開発に協力してきた。その結果、データ分析の精度がブラッシュアップされ、東京オリンピックまでにユーザビリティが向上。

従来のタブレットに加えスマートフォンでも利用できるようなったり、サーブやレシーブなど項目ごとの映像やデータが連続で見られる機能が充実するなどし、張本は「満足している。このままで十分過ぎるくらい」、石川も「見やすいし使いやすい。今は要望はない」と太鼓判を押す。

オリンピックなど国際大会の多くはトーナメント方式で行われるため、試合の合間という限られた時間に次の対戦相手の最新の試合を分析し、その結果を選手に提供しなくてはならない。

以前はデータ入力だけで3~4時間かかっていたというが、選手やコーチの意見を聞き分析項目を絞り込むなどの軌道修正を図った結果、現在は試合後30分程度でデータが使えるようになった。

特に石川が利用しているのは対戦相手のサーブや3球目攻撃のコースに関するデータだ。

何度も対戦している選手の場合、プレーの傾向は覚えてくるが、自分のイメージと異なることも少なくないそうで、東京オリンピック前も「このコースは得意だと思っていたけど意外とミスが多いんだなとか、ここは苦手だと思っていたけど結構得点しているなっていうのをデータで見てハッとさせられることが多かった」と石川。

データのおかげで客観的に戦術を立てられたという。


張本 男子団体オフチャロフ戦の逆転勝利にデータ活用

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張本智和『東京2020大会におけるシスコの取り組み』に関する記者説明会にゲスト出演

張本も同意見で、「バックハンドが得意だと思っていた相手が意外とフォアハンドの得点が多かったりというのもある。データを見て再認識させられた」と語った。

また張本は、サーブの分析は最も重要な分析対象になるといい、東京オリンピックでいうと男子団体準決勝で対戦したドイツのエース、オフチャロフとの一戦で事前のデータ分析が役立ったと明かしている。

「毎年試合をしていて傾向もわかっていたんですけど、サーブが独特な選手なので、改めてもう一回、試合前に分析しました。出だしでちょっとリードされてしまったんですけど、しっかりデータを見ていたぶん、2ゲーム目から冷静に立て直して逆転できたので、その試合は印象深かったです」

ちなみに石川がデータ活用の重要性を感じたのは女子シングルス初戦で対戦したタイのパナランとの一戦だ。

「対戦したことがなかった選手で相手のプレーの癖だったりがちょっとわからなかったので、映像をたくさんいただいて見ました。サーブ・レシーブのコース取りをしっかり見ることができたので、初戦の試合にすごく生かせました」と話した。

 卓球競技はラリースピードが速くラケットの動きも複雑で、ボールの回転も肉眼で捉えにくいため画像のデータ分析も容易ではない。

その点について同社代表執行役員会長の鈴木和洋氏は、「難しいのは画像データの取得。ネットワーク経由で画像データを取得して分析するわけだが、画像データの取り方によって、おそらく分析結果も少し変わってきたりする部分もあると思う。いかにクリーンなデータを画像データから抽出できるかというあたりが一番難しい」と語った。

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今やスポーツにおけるデータ活用の重要性は言うまでもない。とりわけコロナ禍で国際大会が減っている昨今、ライバルとなる海外選手の情報は貴重で、手元のデータは日頃の強化やいざ試合となったときのパフォーマンスを左右すると言えるだろう。そのことは張本のこの言葉が裏づけている。

「去年はコロナ禍で、ほぼ半年間はずっと自宅で練習だったんですけど、何のために練習しているのか、誰と対戦するために練習しているのか少しわからない時期があった。そのときに(海外の選手の)動画を見て、この選手に合わせた練習をしようだったり、次は他の選手に合わせた練習をしようだったりと変更できました。モチベーションが下がりそうなところを、相手の弱点を見つけて練習することでまたモチベーションを上げることができたので助かりました」

 東京オリンピックが終わって2カ月以上が経過。

「2カ月前とは思えないくらい昔に感じるんですけど、東京オリンピックという特別な舞台でプレーできたことはすごく嬉しかった」(石川)、「小学生の頃から夢にしていた舞台。あっという間にオリンピックが終わってしまった。またあの舞台に戻りたい」(張本)と語った2人は11月23日に開幕する「世界卓球2021ヒューストン(個人戦)」に向け再びギアを上げている。


(文=高樹ミナ)


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シスコシステムズ合同会社 代表執行役員会長の鈴木和洋氏

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「東京2020大会におけるシスコの取り組み」に関する記者説明会


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