
戸上隼輔 PHOTO:Itaru Chiba
どんなにか無念だろう。
「世界卓球2024団体戦」<2月16~25日>出場のため釜山入りした後、発熱で療養中の戸上隼輔(明治大学)。現地の病院で16日に受けた検査の結果、インフルエンザ陽性であることが判明した。
男子日本代表チームを率いる田㔟邦史監督から大会2日目の17日に説明があった。
予選グループリーグ第2戦のチェコをエースの張本智和(智和企画)、世界卓球初出場の篠塚大登(愛知工業大学)、松島輝空(木下グループ)がストレートで下した試合直後のことだ。
「戸上についてはインフルエンザです。昨晩検査をして正式に結果が出たので、それを選手たちにも今日説明して。一番残念がっているのは戸上自身だと思う。パリオリンピック代表にも決まった中で、この世界卓球にすごい気合を入れてきたのに体調を崩してしまった」
戸上が体の不調を訴えたのは日付が変わった15日の深夜。田㔟監督に連絡をした時の戸上の気持ちを思うとやるせない。
その時点では原因が分からず、初戦が翌16日に迫っている状況でどれほど不安だったことだろう。
現在はドクターと栄養士が付いて療養しているというが、一人きりの部屋で辛い症状と闘いながら、悔しい思いや情けない気持ち、早く良くならなければという焦りでいっぱいのはずだ。
それでもチェコ戦の前夜には田㔟監督のもとに本人から「熱い応援を送ります」とのメッセージが届いたという。
「その気持ちを汲んで選手たちは試合に臨んでくれたのではないか」と田㔟監督。
実際、大会初日のナイジェリア戦が不戦勝だったため、第2戦が実質の初戦となった日本は1番・張本、2番・篠塚、3番・松島のリレーでストレート勝ち。危なげない戦いぶりで2勝目を挙げている。
戸上が大会期間中に戦線復帰できるかどうかについては、「熱が下がるかどうかも含めて(療養は)最低でも5日間必要。あとはドクターと話をしながら、いつ戻ってくるかは最後に僕が決めようと思います」と田㔟監督。復帰目処は最短で21日になる見込みだ。
世界卓球での病欠は前回の団体戦、世界卓球2022成都で代表メンバーだった丹羽孝希がやはりインフルエンザに感染し、大会8日前に棄権を発表。
本番は張本智和、戸上隼輔、及川瑞基(木下グループ)、横谷晟(愛知工業大学)の4人で戦い銅メダルを持ち帰った。
この時、奮起したのが戸上。最終マッチにもつれ込んだ予選グループリーグ2試合目のルーマニア戦で2点を挙げ、決勝トーナメント1回戦のブラジル戦ではエースのカルデラノを撃破。
続く準々決勝でも1番でポルトガルのエース、フレイタスに勝って良い流れを作るなどの活躍でメダル獲得に大きく貢献した。
気持ちが真っ直ぐな戸上のことだ。責任を感じ過ぎるなと言っても無理かもしれない。
だが、下を向く必要はない。田㔟監督が「戸上のベンチは空けておきたい。彼を待っていたいと思います」と言うように、今はしっかり休んで体調を戻し、胸を張ってコートに戻ってきてほしい。
(文=高樹ミナ)

