Story
 

 画面いっぱいに映る白い月を、小さな飛行機が横切っていく。これにかぶさるナレーション――“恋とはいつも危険なもの。思いがけず、夜空にぽっかり月が浮かんで、月明かりの中に歌が聞こえてきたら、男は用心した方がいい。女が近づいている”――。

 リオの一角にあるカリオカの丘。斜面にへばりつくように建つ小さな家に貧しい者たちが住むこのスラム街は、麻薬の売人ルシーニョ(ムリロ・ベニーシオ)が牛耳っている危険な場所だ。

 オルフェ(トニ・ガヒード)は詩人にしてミュージシャン。彼がギターをつま弾き、歌を歌うと人も動物も耳を傾け、太陽も昇ってくる。カーニバルのパレードで2年連続優勝を続けているカリオカ・チームのリーダーである彼は、丘の女たちの憧れの的。今はプレイボーイ誌の表紙を飾るミラ(イザベウ・フィラルディス)とつき合っているが、何か満たされないものを感じている。

 オルフェのギターの音とともに夜が明け、飛行機から一人の少女が降り立った。彼女ユリディス(パトリシア・フランサ)は、奥地のアグレ村から叔母のカルメン(マリア・セイサ)を頼ってカーニバルの準備で活気に満ちたカリオカの丘にやって来た。オルフェはたちまち彼女の虜になった。ユリディスもまたオルフェに強く惹かれたものの、ミラの存在を知って彼の気持ちを素直に受け取れない。

〈カーニバルの日曜〉

 崖の上で、少女をレイプしたという中年男がルシーニョらのリンチにあって殺された。これを見たユリディスはその残酷さにショックを受ける。彼女から事件のことを聞いたオルフェはルシーニョのもとを訪れ、丘を出て行くよう言い渡す。部下はオルフェを殺すように進言するが、彼と幼なじみのルシーニョの気持ちは複雑だった。

 オルフェの勇敢な態度にユリディスの恋心は一気に高まる。二人はカルメンの家で結ばれた。めくるめく愛の交歓が終わったとき、ユリディスは一緒に丘を出ることを提案する。

カーニバルの月曜〉

 やがてカーニバルのパレードが始まった。ビルの屋上では、ルシーニョの部下がチームの先頭に立って歌い踊るオルフェにライフルの照準を合わせていた。しかし、テレビで彼の姿を見たルシーニョは、間一髪、部下に狙撃の中止を指令する。

 そのころ、ユリディスは崖の上にいた。ちょうどそこへ現れたルシーニョは、彼女への気持ちを抑えきれずにキスをしようとし、逃げ出した彼女を威嚇する。そして、撃った弾が岩に跳ね返って彼女に命中してしまう。
 

 

カーニバルの火曜〉

 パレードが終わったとき、オルフェユリディスのためにすべてを捨てて丘を出ることを決意していた。しかし、夜が明けても彼女は家に戻らない。オルフェは方々探し回った挙げ句、ルシーニョの隠れ家にやって来た。ルシーニョユリディスが死んだこと、それが事故だったことを告白する。ルシーニョに案内された崖の上で、オルフェは憐憫と許しの意を込めて彼を抱きしめながら、銃を放った。そして、ユリディスに会うべく、険しい崖を降り始める。土砂降りの雨の中、オルフェは愛する人の亡骸を抱きながら挽歌を歌うのだった。

カーニバルの水曜〉

 オルフェは亡骸をかかえ、まるで魂の抜け殻のように詩を口ずさみながら丘に帰ってきた。悲しみのあまり、狂ったかのようにユリディスの名を叫び続けた。それを見たミラは、嫉妬に耐えきれずにカーニバルの槍で彼の身体を刺し貫く。広場に横たわる二つの死体。そのとき、テレビの声がカリオカ・チームの優勝を伝える。やがて、そこにいる人々はみなサンバのリズムをとり始め、これにテレビ画面 に写ったオルフェの姿が重なる。彼の横にはユリディスの姿があった。二人の顔は幸せそうな笑顔で輝いていた。

       
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