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バロック時代を輝かせた2人の男。
政治の実権を握り、真の権力者になろうとする若きルイ14世と、国王を生涯愛する音楽家リュリの秘められた苦悩と禁断の愛の物語。
1643年5月14日、ルイ14世(エミル・タルディング)は5歳にしてフランス国王とな
る。そして、14歳になった今も政治の実権を握っているのは、母のアンヌ・ドートリッシュ(コレット・エマニュエル)と、宰相マザラン(セルジュ・フイヤール)だっ
た。ルイに与えられた権利はたった二つ、ギターを弾き、ダンスをすることだけだった。
その頃ルイは、イタリアからやって来た音楽家で舞踏家のリュリ(ボリス・テラル)が作る楽曲に魅 せられていた。一方、リュリもひと目で、聡明で輝くばかりに美しいルイに心を奪われる。リュリはルイの舞踏の才能にも感銘を受け、ルイの存在を引き立てる音楽を作り、彼の舞踏の技巧を際だたせる振り付けを考えた。舞台に立つルイは、まさに自身が好んだ太陽のイメージと重なり、王の権威を十分に人々に知らしめた。
1661年3月9日。ルイ(ブノワ・マジメル)が22歳の時にマザランが死去、ルイは親政を敷いて自分が全権を握ることを宣言する。母はルイのいとこのコンティ公
(イドヴィグ・ステファン)と自分自身の権利を守るため激しく反対するが、ルイは聞く耳をもたず、初めに王立舞踏アカデミーの設立を命じた。スペインの王女マリ=
テレーズと政略結婚したルイは、リュリにも結婚を命じる。相手はよりによって、皇太后付きの音楽総監督で、何かと リュリと敵対しているカンベール(ヨハン・レイゼ
ン)の恋人、マドレーヌ(セシール・ボワ)だった。マドレーヌはエール・ド・クールの作曲家として有名なミシェル・ランベールの娘だ。しかし、実はリュリは男色家
で、ルイを密かに愛していたが、叶わぬ恋と知り、彼の命令に従うのだった。
ヴェルサイユの平原へ庭園を作るための視察に行ったルイは、足を取られて沼の中へ転倒、それが原因で重い病にかかってしまう。リュリは臣下たちに止められてルイの部屋に入れてもらえない。折しも妻のマドレーヌは出産直前、陣痛に苦しんでいたのだが、リュリはそんな妻を置いてルイの部屋の前で病気回復を祈る為、一晩中ヴァイオリンを弾き明かした。翌朝、まさに愛の奇跡が起こった。ルイは一命をとりとめたのだ。
回復したルイの権力は日に日に増していった。既に名を馳せていた作家モリエール(チェッキー・カリョ)と音楽総監督に就任させたリュリに、共同で音楽と芝居を合
わせた画期的な舞台を作るよう命じる。舞台は大評判、モリエールは次々と芝居を書き上げる。その頃、ルイとリュリはダンスで不思議な関係を保っていた。ある日ルイは愛人モンテスパン夫人との情事をまるで、リュリにあてつけるかのように見せつける。そして、リュリは女を愛するルイの姿に激しく嫉妬し、ルイへの想いを音楽に託
して演奏する。
1672年には王立音楽アカデミー(オペラ座)を設立し、ダンスを取り入れたリュリのとモリエールのコメディ・バレが舞台芸術として確立されていった。
そんな彼らの舞台の一つを、長老派が神を冒涜したものだと強く批判する。まだ絶対的な権力を得ていないルイは、モリエールの上演を禁じた。
ルイは自分を、音楽と 舞踏を見捨てるのか?
不安と悲しみに駆られたリュリは、男色の館に足を踏み入れ、若き日のルイの面影と似た少年と一夜をすごす。泥酔して目覚めると、リュリの上で少年はのどをかき切られて死んでいた。男色を禁じる国王の寵愛がリュリから失われるように仕組まれた策略だったのだ。事件を知ったルイは怒りを爆発させが、リュリ
の国王に対する狂おしいほどにプラトニックな愛情は変わらなかった。やがて、母が死の床につき、名実ともにルイが国を支配する時がやって来る。もはや自ら舞台に上がって、舞踏を誇示しなくとも、その権力は絶大なものとなったのだ。ルイは次第に、モリエールはもちろん、リュリへの興味も無くし、フランスの絶対君主としての
地位をヨーロッパ全土に確立していった。もはやルイが訪れる事もない音楽会で、かつての愛しいルイの面影が脳裏によぎった時、指揮するリュリは足を怪我する。それが原因で足の切断を医師に宣告される。
1687年「王と踊った脚は切れない」リュリは切断手術を拒否して、息を引き取る。彼の死に顔には微笑みが浮かんでいた。初めて 会った日のルイの笑顔を抱きしめて旅立ったのだ。その日、ルイ14世はヴェルサイユ宮殿で「リュリがいない。今夜は音楽が聞こえない……」と呟いた。
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