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プロダクション・ノート
■今回は、より“笑える”ものにしたかった
若者に圧倒的な支持を受け、日本で大ヒットした前作『鮫肌男と桃尻女』は、日本国内だけでなく海外でも高い評価を受けた。トロント、ハワイなど海外の映画祭での上映を間近で体験し、観客の生のリアクションを感じた石井は、日本・海外とも共通
して反応が良かったのは“笑い”の部分であったと確信する。「映画を作る以上、やっぱりたくさんの人に観てもらいたいし、楽しんでもらいたい。映画を終わった後、単純に“面
白かった”という風に思ってもらいたい。そういう意味で、今回はより“笑える”ものにしたかった。ただ、“笑い”には個人差があることもわかっています。僕のテイストを受け入れてくれるかどうかは、お客さん次第ですし…。それでも、『鮫肌』でその部分に関しては少しだけ自信がついていました。それに、観客が同じシーンで爆笑するのは、やっぱり作り手としては気持ちいいんですよ。」映画のシナリオのトップページ(*プレスP1参照)を観れば、本作での石井ならでは笑いに対するこだわりが見受けられる。
■三木が、カナが、トドヒラが既にそこに存在していた
前作『鮫肌男と桃尻女』では、望月峯太郎氏の原作を基に、石井ならではのアイデアを取り入れて脚を書き上げた。完成稿が上がるまでかなり難航したシナリオ作りだったが、本作のシナリオはわずか2ヶ月で書き上げている。というのも、もともと『8月の約束』完成後にアメリカのニューメキシコで撮影した『メキシコ』というタイトルの自主映画が、この脚本のベースとなっているから。その内容は、様々な人物がとあるホテルの一室を次々と訪れるというもの。本作に登場する永瀬正敏演じる三木、小林明美演じるカナ、堀部圭亮演じるソノダ、岡田義徳演じるトドヒラは既にそこに登場していたのであった。「基本的に、脚本は起承転結があれば良いと思っていました。映画というよりはむしろ長いCMを作る想定で書いたという方が適切かもしれません。そして、なによりも観客を飽きさせないことを考えました。これは『鮫肌』の時にも重視していたことなのですが、原作があったのでシナリオ作りの点では前回の方が楽でしたね。今回は予算的にも限られているし、前回はロケでの撮影が多かったので、セットを中心とした撮影を行ってみたい。ワン・シチュエーションに色んなキャラクターが登場し、複数の話が同時に進んで行く……そう考えた時、『メキシコ』がぴったりだと思ったんです。」
■キャスティングのポイントは、“いい人”
キャスティングに関しては、基本的に石井の考えた各登場人物のキャラクターにあった役者を選んでいる。「キャスティングは比較的スムーズに決まりました。最初に永瀬さんが決まって、後は僕の考えていた各登場人物にあった人がイメージ通
り決まっていきました。ただ、浅野君と我修院さんは、ある程度あてこみでキャラクターを考えていました。とはいえ、僕の選ぶ最大のポイントは、会って、話してみて“いい人”だなぁって感じた人なんですけど(笑)。」
■錚々たるキャストを新境地!?へと導く緻密な演出
演出に関して、『鮫肌』では比較的役者に任せていたが、本作では入念な本読みも数回重ねている。「今回は登場人物が多い上、それぞれのキャラクターを明確に見せたかったので、キャラクターの設定、セリフの言い回し、その辺については細かく説明しました。撮影前にはニュアンスを掴んでもらいたかったので、僕の書いたセリフ入りの絵コンテをつないだビデオを殆どの役者さんに渡して観てもらいました。」
■ オタク的なこだわりも、広くアピールするエンタテイメントへ
前作以上に細かいディテールにこだわった石井は、もともと漫画家志望だったこともあってか、タイトル・バックをアニメーションにしている。「タイトル・バックにこだわるのは、映画って最初の10分間が勝負だと思うからです。そこで観客をひきつけられるかどうかで結構決まっちゃうんじゃないかって…。といっても、本音のところはただやってみたかっただけなんですけど(笑)。」タイトルバックだけにしておくのはもったいないほどクオリティの高いアニメーションは、『MEMORIES』などのマッドハウスが手掛けている。
こうして、企画から4年で完成された『鮫肌』とは比較にならないほどの猛スピードで製作された『PARTY7』。オタク的なこだわりをより広くエンタテイメントへと昇華させた石井克人のバランス感覚が、既成概念に縛られがちな日本映画界に新風を送り込むのは間違いない。
ちなみに、タイトルの“PARTY7”とは、石井の好きな漫画『ワイルド7』をもじってつけられたものである。
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