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真珠の耳飾りの少女


4月 シネスイッチ銀座・
シネ・リーブル池袋・関内MGA
ほか全国順次ロードショー


Introduction
寡作の天才画家フェルメールの1枚の絵に秘められた至高の愛の物語
艶やかに濡れた唇、憂いと情熱を湛えてきらめく瞳。絵画の中の少女は、いまにも何かを語りかけてきそうな表情を浮かべ、3世紀以上にわたる時を生き続けてきた。「真珠の耳飾りの少女」(通称「青いターバンの少女」)。17世紀のオランダを代表する天才画家フェルメールが描いた1枚の肖像画。少女が女へと移り変わっていく瞬間の生の輝きを、見事なまでにキャンバスに封じ込めたこの絵画には、果たしてどんなドラマが存在したのか?その謎めいた背景を解き明かす至高の愛の名作が、いまここに誕生した。
 
 舞台は、1665年、オランダのデルフト。ヒロインは、17歳のグリート。事故で失明した父に代わり家計を支えることになった彼女は、画家のヨハネス・フェルメールの家に雇われ、住み込みの使用人となった。子だくさんのフェルメール家で、朝から晩まで重労働に追われる毎日。その日々のなかで、美的感覚の鋭さをフェルメールに認められたグリートは、絵の具の調合の仕事を任されるようになる。そんなふたりの関係に嫉妬するフェルメールの妻カタリーナ。そして、狡猾な策略をめぐらせるパトロンのファン・ライフェン。彼の挑発に乗せられる形で、フェルメールは、グリートをモデルにした絵を描くことになるのだが……。
 
 絵の具をすりつぶす棒に添えられたフェルメールの手の感触に、男性を意識して身を震わせるグリート。彼女の感性に創作意欲をかきたてられ、次第に同志愛のような感情を持ち始めるフェルメール。主人と使用人の距離を保ちつつも、お互いが本能で理解しあえる運命の相手だと気づくふたり。思いを寄せる画家の視線にさらされ、心を裸にされていくグリート。モデルになることを承諾し、真珠の耳飾りをつけることに同意した彼女は、画家の持つ針で耳たぶを貫かれたとき、少女から女に生まれ変わる。頬を伝う一筋の涙と共に、ほとばしる情感。どれほどエロティックな性描写を尽くしても描ききれない官能の刹那を、格調高く描きあげたこの場面は、映画史上、最も純粋なラブ・シーンと言っても過言ではない。ここをクライマックスに、劇的な展開を見せる物語は、芸術に身を捧げたことによって思わぬ試練にさらされる少女の運命を、切なくも崇高なタッチで語りあげていく。
 
 そんなグリートの心の軌跡を繊細に演じるのは、『ゴーストワールド』『バーバー』で高い評価を得て、本作と、ソフィア・コッポラ監督の『ロスト・イン・トランスレーション』の主演で、ハリウッドの熱い注目を集めるスカーレット・ヨハンソン。グリートの内面に渦巻く秘められた感情を、無表情な物腰に滲ませた彼女の演技は、クラシカルなたたずまいを持つ作品の世界観に完璧にマッチ。そのグリートが想いを寄せるフェルメールには、『ブリジット・ジョーンズの日記』『ラブ・アクチュアリー』のコリン・ファースが扮し、いまだ多くの謎を残す寡黙な天才画家の魅力を伝える卓越した演技を披露する。
 
 原作は、1999年に出版され、全世界で200万部の売り上げを記録したトレイシー・シュヴァリエのベストセラー。彼女の小説の魂をスクリーンに移し替える脚本に、素晴らしい手腕を発揮したのは、BBCのドラマ・シリーズなどで活躍するオリビア・ヘトリード。製作には、『ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ』でもチームを組んだアンディ・パターソンとアナンド・タッカーがあたり、本作が長編デビューとなるピーター・ウェーバー監督を強力にサポートした。
 そのウェーバーが、人物造形と並んで力を入れた映像の美しさも、本作の大きな魅力のひとつだ。今回、『鳩の翼』『髪結いの亭主』のエドゥアルド・セラを撮影監督に、『コックと泥棒、その妻と愛人』などピーター・グリーナウェイ監督とのコラボレーションで知られるベン・ヴァン・オズをプロダクション・デザイナーに迎えたウェーバーは、シーンごとにフィルムを使い分ける手法を駆使して、17世紀の絵画的なトーンの構築を実現。特に、聖域の趣が漂うフェルメールのアトリエの場面では、フェルメールの絵そのもののマジカルな光と影をパーフェクトに再現し、見る者に深い感慨を与えずにはおかない静謐な映像美を作り上げている。
 

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