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伝説のフラメンコ・ダンサー、アイーダ・ゴメスが、新作バレエのリハーサルを始めている。そのバレエを演出し、さらに映画に撮るため、「監督」(ペレ・アリキリュエ)が「音楽監督」や「衣装担当」達と話し合っている。ひとつづつ、ひとつづつ、生まれ、育っていく“イメージ”…。
アイーダが、自身のことを語り出す。「現実が好きじゃない。ダンスへの情熱が私の支えなの」。そして「二度と踊れない」と医者から宣告された過去…。
しかし、いつしか音楽が流れ、照明が当てられ、衣装を身にまとったダンサー達が舞台に登場すると、もう、こは、古代ローマ時代の月光の宴…。
ガリラヤの領主である義父ヘロデ王(パコ・モラ)の心を、その妖しい美しさで奪ってはなさない王女サロメ(アイーダ・ゴメス)。ヘロデは、自身の誕生祝の宴で、サロメの踊りを所望する。しかし、サロメはいかなる褒美を与えると言われても、首を縦に振ろうとしない。彼女の心は、預言者ヨハネ(ハーヴェイ・トカ)ただひとりに向けられていたのだ。この聖者の思いを勝ち取ろうと、サロメはあらゆる手で彼を誘惑する。しかし、神のもとで生きるヨハネにはその試みは空しく届かず、サロメは苛立ちと怒りとで身悶えする。
ヘロデの願いを叶える決心をしたサロメは、七重の薄衣をまとってその前に立つ。官能と刺激に満ちた妖艶な七つのベールの踊り。苦悶に身をそらせ、歓喜に酔いしれ、怒りに床を打ち鳴らす。欲望がほとばしり、リズムが高まり、衣が捨て去られて行く。最後の一枚まで脱いだサロメの裸身が月光につつまれた。あまりの美しさと激情の表現に一瞬動きを止めるヘロデだが、満場の喝采に我に返ると、望みのものを問いかける。
サロメは、ヘロデを見据え、要求した。「預言者ヨハネの首を!」
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