テレビ東京アニメ公式サイト:あにてれ

残業で帰りが遅くなったあるサラリーマン。
「一秒でも早く家に帰って休みたい」
会社を出た時にはすでに終電間際だったため、疲れた体に鞭を打ちながら必死で駅まで走るが、結局ホームから走り去る終電を見送る羽目になってしまった。
仕方なくタクシーで帰宅することにするが、駅前のタクシー乗り場は大混雑。
少し歩きながら、通りかかったタクシーを停めることに。
しかしなかなかタクシーは通らず、すでに結構な距離を歩いてきてしまった。
「このまま歩いて帰ることになるんじゃないか…」
半ば自棄になりながらそんなことを考えていると、やっと背後から一台のタクシーがやけに飛ばしながら近づいてくる。
絶対に逃すまいと必死で両手を振ると、タクシーは飛ばしていたせいか一旦彼の横を通り過ぎたあと、10メートルほど先でブレーキを軋ませながら停車した。
「これでやっと帰れるんだ」という嬉しさで小走りに車へと向かう。
タクシーに乗り込み座席に沈み込むと、すぐに意識が遠のきそうになり改めて自分の疲れを思い知らされた。
そんな中、彼は足元に何かが当たったような感触を覚える。
重い体を起こしながら足元にある何かを拾い上げるとそれは一足の赤いハイヒールだった。酔っ払いの忘れ物だろうか?
正直、面倒臭かったが彼は運転手に伝える。
「あのハイヒールが片方だけ落ちてたんですけど…」
すると運転手はこちらに振り向きもせず早口で言った。
「捨ててもらえますか」
その途端、眠気は吹き飛び、なぜ客である自分がわざわざタクシーの忘れ物を捨てなければならないのかと怒りがふつふつと込み上げてきた。
文句を言ってやろうと背もたれから体を起こしたその時…
「早く窓から捨てろって言ってんだろっっ!!!」
突然運転手から怒鳴りつけられ、彼はあまりに理解不能なできごとにその場で固まってしまった。
「俺はマズイ奴の車に乗ってしまったのか…」
彼の気持ちを知ってか知らずか、運転手は何故かアクセルを強く踏み込み、彼の恐怖心と比例するかのように車を加速させる。
やがて硬直した彼はさっきからずっと聞こえている奇妙な音を認識する。
「…カッ…ペタッ…カッ…ペタッ…カッ…ペタッ」
単調だが高速で繰り返される不思議なリズム。
思考が停止したまま、ふと窓の外を見た彼は車と並走する何かの影を見た。
それはまるで激しく引きずられたかのようにズタズタの服を身に纏った女だった。
足元には片足にだけ白いハイヒールが。
運転手を見るとまるで冷水でも被ったかのように激しく震えている。
女は車内で血まみれの白いハイヒールを手にしている彼に向かってわずかに口を動かす。
「…か…えせ」
深夜に試験勉強をしていたある男子高校生。
家族は寝静まり、家の中から聞こえる音は掛け時計の秒針の音ぐらい。
静かすぎる環境は何故か逆に彼の集中力を削いだ。
「音楽でも聞くか」
スマホに手を伸ばそうとした時、家の外から金属が軋むような音が聞こえた気がした。
彼の家の前には、子供が減ったことですでに誰も遊ぶことのなくなった小さな児童公園があった。
音はそこかららしい。
「キィー…キィー」という音は依然続いている。
窓から公園を見るとブランコに乗った人影が見えた。
見たところ小学生ぐらいの女の子が一人でいるようだ。
気味が悪いので関わり合いにならないようにと音楽を聞き勉強を続けた。
翌朝、学校へと家を出た彼は昨夜のことを思いだしブランコを見ると、そこにはブランコを吊り下げる金属の骨組みしかなく、肝心のブランコの部分が取り外されていた。
「昨夜まではあったのに…」
気になりながらも学校へ向かう。
慣れない深夜の勉強のせいで、昼過ぎにはすでに眠気に襲われていた彼は帰宅してすぐに昼寝をしておき、今夜も勉強に取り掛かっていた。
ところがしばらくすると彼の耳にまたもや「キィー…キィー」というあの金属音が。
カーテンを開け目の前の公園を見ると、朝には無かったはずのブランコが直っていて、昨夜と同じ女の子の姿が見える。
不思議に思いながらも再び勉強を再開する彼だったがある異変に気付く。
ブランコの金属音が徐々に大きくなってきているのだった。
気が散って勉強が手に付かない彼は「親に苦情でも言ってやろう」と家を出て公園に向かう。
早足で歩み寄る彼に気づかないまま、ブランコを漕ぎ続ける女の子。
相変わらず「キィー…キィー」という大きな金属音は辺りに響き渡っている。
「こんな時間に…」そう話しかけようとした時、明らかな違和感を感じる。
よく見ると女の子はブランコになど乗ってはいなかった。
ありえないほど異様に細く長い腕で金属の骨組みにぶら下がり、まるでブランコに乗るように揺れていたのだ。
気づかれる前に彼は息を殺し後ずさる。
しかし震える足で公園の砂利を踏む音がその耳に届いたのか、女の子はゆっくりと彼の方へと振り返る。
「キィー…キィー」という耳をつんざくばかりの金属音を口元から発しながら…。
有給休暇を使って一人旅にやってきたOL。
目的地も決めずに気の向くまま、訪れたことのない土地に行くのが彼女の趣味だった。
そんな彼女が訪れたある田舎町。
交通手段も無くなってしまい、このあたりで宿を探すことになった彼女だが、周囲にはホテルや旅館どころか、民家すらポツリポツリとしか見当たらない。
さらに宿を探し回るうちにすっかり日も暮れ、辺りが真っ暗闇になった頃、何とか古ぼけた一軒の旅館を見つける。
薄暗い旅館に足を踏み入れると入口には女将がいた。
「一人旅でここまで来たんですが、一晩だけ泊めていただけませんか」
空き部屋はないが物置になっている部屋なら泊まらせてくれるという女将。
案内された部屋は埃っぽく電気もつかないような状態だったが、物置と呼ぶには広く、どうやら昔は客室だったような雰囲気。畳には布団が敷きっぱなしになっていた。
「もしかしたら今は従業員が寝泊まりするのに使われているのかもしれない。
少し気持ち悪かったが敷きっぱなしの布団に入り、眠りにつく彼女。
しかし、夜中に息苦しくなりふと目を覚ます。
真っ暗な部屋の中、布団がやけに重い。
まるで上に誰か人が乗っているかのように。
彼女は必死で布団を足元に跳ね除けると慌てて起き上がった。
跳ね除けられた掛布団は暗い室内でモゾモゾと動いているように見える。まるで生き物のように。
やがて恐怖のあまり動けなくなった彼女の目の前で、掛布団がゆっくりと起き上がる。
月明かりに照らされたその掛布団を見て彼女はやっと気づく、シーツの中に髪の長い女のシルエットが透けていることに。
布団の上に人が乗っていたのではなくシーツの中に人が入っていたのだ。
布団は彼女に近づき覆いかぶさってくる。
死に物狂いでもがき抵抗する彼女だったが、やがて気を失ってしまう。
目が覚めると室内には朝日が差し込んでいる。
昨夜は真っ暗で何があるのかすらわからなかった室内には、小さな仏壇があった。
そこには写真が飾られている。
昨夜、入口で自分を迎えてくれた女将の写真が…
バスケ部に所属するある女子高生。
隣で練習している男子バスケ部には女子部員たちから人気の先輩がいて、彼女も同じように思いを寄せていた。
いつか自分が先輩と付き合えたらなぁ…そんな儚い思いを抱き続けていた彼女だったが、友人から先輩が幼馴染の同級生と交際中であることを聞かされる。
落ち込みながら帰る彼女は、いつも通っているはずの通学路で見慣れない地蔵が立っているのに気づく。
「こんなところにお地蔵さんなんかあったっけ?」
近づいてみると、年季が感じられ、新しく建てられた物とは思えない。
その顔は地蔵にしては珍しく、苦悶の表情を浮かべているように見える。
次の瞬間、彼女は無意識に願い事をしていた。
「…先輩が…彼女と…別れますように」
お願い事をした後、罪悪感に襲われ、逃げるように家へと急ぐ彼女。去り際、もう一度、地蔵の顔を見ると何故かさっきよりも安らかな顔に見えた。
すると次の日、学校で友達からある話を聞かされる。
「ねぇ聞いた?先輩、彼女と別れたらしいよ」
もしかして自分のお願い事が通じてしまったのかもしれないと責任を感じながらも、微妙に喜んでしまう彼女。
学校帰り、再び地蔵の前を通った彼女は手を合わせ目をつむる。
「ありがとうございます」
するとその時、どこからか「…エル…ンダ」という声が聞こえた気がして、思わず目を開く。すると、目の前にはニタニタと笑みを浮かべる地蔵の顔があった。
地蔵は彼女の顔に息がかかるほどの距離で言った。
「今度はお前が叶える番だ」
その日以来、彼女はどこかに立ち続け、自分に願い事をする人物が現れるのを待っている。
願い事を叶えてやる代わりに自分の身代わりになる者を…
幼稚園に通う息子と二人で公園に遊びに来ている父親。
いつもは妻に任せっきりだが今日は数年ぶりに高校時代の同窓会があるということで、珍しく自分が子供の世話を引き受けたのだ。
公園には同じ年ぐらいの子供たちが親に連れられ遊んでいたが、自分はあまり付き合いがないため、誰が息子と同じ幼稚園なのかすらもわからない。
しばらく滑り台で遊んでいた息子は続いて砂場へ向かった。
少しは一緒に遊んでやろうと「トンネル作るか?」と誘ってみると息子は嬉しそうに頷いた。
息子が一人では作れないほどの大きな砂山を作ってやると、反対側から同時に手を突っ込み穴を掘っていく。
モゾモゾと砂の中に手を入れていくが、山が大き過ぎたのか、なかなか息子の手と触れ合うことができない。
「そっちもちゃんと掘ってるか?」
「うん!」
さらに掘り進むとやっと息子の小さな手の感触を感じることができた。
「トンネルが繋がったぞ」
と、次の瞬間、息子は同じ幼稚園に通う友達が公園にやってきたのを見つけたようで、その子のもとへ駆け寄っていく。
「!?」
自分の体から血の気が引いていくのを感じる。
彼は誰もいないはずの砂山の中で、子供らしき手をまだ掴んでいたのだ。
慌てて手を引きぬいた彼は、砂山のトンネルの中からこちらを覗く子供と目が合ってしまう。
そして引き抜いた自分の手を見ると、そこにはひしゃげたミニカーが握らされていた。
