サッカー日本代表が約1年ぶりの試合 第1戦で得た収穫

サッカー

2020.10.12

DSC_0494.jpg
日本代表 ©︎JFA

 サッカー日本代表は10月9日、新型コロナウィルス感染症の世界的流行の影響で約1年ぶりとなった対外試合でカメルーン代表とオランダのユトレヒトで対戦し、スコアレスドローで引き分けたが、収穫の多い試合となった。13日の遠征第2戦でコートジボワール代表との対戦を控えるが、第1戦を活かした戦いが期待できそうだ。

 渡航後の自主隔離期間も考慮して、シーズン中のJリーグでプレーする選手の招集を見送ったことで、歴代初の海外組のみによるチーム編成となったが、欧州組を多く含めてのチーム編成は昨年11月のキルギス代表とのワールドカップアジア2次予選以来。しかも、アフリカ勢との対戦は珍しく、2018年ワールドカップのグループステージでのセネガル戦(△2-2-)以来だった。

今回のカメルーンも全員が欧州でプレーしていることでコンディションが良い。日ごろから競争の激しい欧州各国で揉まれている海外組の選手が、この条件下でどんなプレーを見せるのか注目を集めていた。

 カメルーンは試合前のPCR検査で選手2人が陽性判定、他選手1人が濃厚接触者に特定されたため直前に離脱者が出て、試合に臨んだのは18人。23歳以下が4人という若手の多い編成だったが、GKと最終ラインを中心に4人が2017年アフリカネーションズカップ優勝メンバー、交代出場したFWファブリス・オリンガ選手(ムスクロン)も2014年ワールドカップメンバーという経験の持ち主で、速さや強さという個人の能力にチームとしてのまとまりも備えていた。

HSB_0553.jpg
日本代表 森保一監督 ©︎JFA

 その相手に、日本は立ち上がりから1トップのFW大迫勇也選手(ブレーメン)やMF原口元気選手(ハノーファー)らが前線から積極的に相手に圧力をかけ、左サイドバックに入ったDF安西幸輝選手(ポルティモネンセ)やMF中山雄太選手(ズヴォレ)も相手と激しい競り合いを披露し、無失点で抑えた。

森保一監督も、「もっとうまく守れたとは思うが、選手が粘り強く守ってくれた」と守備には及第点を与えた。

 だが、チームとして献身的でハードな守備を見せた一方で、攻撃への変換では苦労したところも見られた。1年ぶりの試合というブランクの影響は否定できず、特に前半は相手からボールを奪って攻撃に転じた時にボールを失う場面が多く、チャンスらしいチャンスを作ることはできなかった。

 前半の得点機は、22分にMF南野拓実選手(リバプール)がDF酒井宏樹選手(マルセイユ)の右サイドからのクロスに右足を振り抜いた場面と、そのプレーで得たCKにDF吉田麻也選手(サンプドリア)がヘディングでゴールを狙った場面ぐらいで、いずれも相手にブロックされて、ゴールを割ることはできなかった。

20201009_0592.jpg
冨安健洋 ©︎JFA

 大迫選手は「前半は守備にすごくパワーを使った」と話し、ボランチの一角を務めたMF柴崎岳選手(レガネス)は「ボールを奪ったあとのプレーが淡泊すぎた」として、ハーフタイムで修正を図ろうと考えていたと試合後に振り返った。

そこで森保監督が動いた。後半開始から安西選手に代えてMF伊東純也選手(ヘンク)を投入し、4バックから3バックに変更。ウィングを置くことで、中盤に厚みと広がりを加えて攻守両面での改善を図った。

選手たちはこの変更にスムースに適応。伊東選手の右サイドでの攻め上がりを突破口に攻撃を展開し、後半開始4分に大きなゴールチャンスを迎えた。相手のバックパスに反応した伊東選手が右サイド深くに切り込んでクロスを供給。ゴール前に顔を出した大迫選手が合わせたが、シュートの軌道はわずかに右ポストの外へ流れた。

 さらに後半途中出場したMF久保建英選手(ビジャレアル)が、後半39分に左サイドの突破からゴール前の大迫選手に折り返し、触れば1点という場面を作る。終了間際には伊東選手の攻めで得たFKのチャンスを獲得。このセットプレーでキッカーを務めた久保選手が左足で直接ゴールを狙い、クロスバーぎりぎりのボールがGKにクリアされる場面を生み出した。

残念ながら最後までゴールは奪えなかったが、後半の修正は評価できるものだろう。

20201009_1510.jpg
久保建英 ©︎JFA


戦力、戦い方、新たなオプションを獲得

 今回の合宿でも練習していたという3バックだが、選手は修正に対してすんなりと適応し、後半の盛り返しにつなげた。激しく粘り強い守備とともに、この試合で得たプラス材料だ。

吉田選手も「後半良く修正して、いい形で巻き返した」と振り返り、3バックについては「まだまだ全体的に動きの質を変えていかなければいけない」としたが、「オプションを持てることは、チームとして幅が持てる。臨機応変にやっていきたい」と歓迎している。

 日本代表は、16強入りした2018年ワールドカップ・ロシア大会を経て、次の2022年カタール大会では8強入りを目指しているが、それには、強豪との厳しい対戦で勝利をつかむ必要がある。吉田選手はそのことを念頭に、こう続けた。

20201009_0707.jpg
吉田麻也 ©︎JFA

「本大会などを考えると、苦しい試合をゼロで押さえて、少ないチャンスを待つことが大事になる。今日もチャンスはあった。そこを決めれば、というところもあった」と指摘し、チャンスをものにすることを課題に挙げた。

そして、日本代表キャプテンは「こういう強い相手とできたことは、チームにとって非常に大きな強化になったと思う」と話した。

 昨年9月以来の代表戦となった大迫選手も、「1年以上空いた中での試合で最初は距離感など難しさがあったが、時間が経つにつれてよくなった。やればやるだけ良くなると思うので楽しみ」と話している。

 フル出場した中山選手、戦術変更のため45分で交代した安西選手は、中山選手が昨年6月のコパアメリカ以来、安西選手が昨年3月以来の先発出場だったが、随所で相手と激しく競り合い、迷いのない戦いぶりからは自信が感じられた。ブランクの期間中に得た成長を示して、代表チームの新たな戦力として今後へ期待を抱かせた。

 加えて、20歳のDF菅原由勢選手(AZアルクマール)が試合終盤に交代出場でピッチに立ち、初招集でフル代表デビューを遂げた。森保監督が「将来フル代表に十分絡んでくる」と見込む名古屋ユース出身の若手は、「短い時間だったが、スタートラインに立てた」と笑顔で振り返り、刺激を得た様子だ。

DSC_7574.jpg
森保一監督 柴崎岳 ©︎JFA

 日本は13日(火)に、カメルーン戦から中3日にコートジボワールと対戦するが、森保監督が「できるだけ多くの選手を起用したい」と遠征メンバー発表時に話していたことから、第1戦で交代出場したメンバーの先発、出場機会のなかったDF板倉滉選手(フローニンゲン)やMF三好康児選手(アントワープ)ら五輪代表年代の選手にも出場の可能性がありそうだ。

 特に、大迫選手が所属クラブの試合と渡航後の自粛制限の関係で第1戦後にチームを離れたため、今夏ベルギーへ活躍の場を移したFW鈴木武蔵選手(ベールスホット)の出場が見込まれている。

 どんな組みあわせになるのか。また新たな発見を得られそうだ。


取材・文:木ノ原句望

DSC_8466.jpg
日本代表合宿 ©︎JFA