【菊花賞】コントレイル無敗三冠制覇!デアリングタクトと同一年牡馬牝馬 無敗三冠馬誕生の奇跡

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2020.10.25

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牡馬牝馬無敗の三冠 コントレイル・デアリングタクト 写真:日刊スポーツ/アフロ

「ここで負けるわけにはいかないんだ」ーー
菊花賞の向こう正面過ぎ、馬群の中でコントレイルがこう叫んでいるように感じた。

 史上8頭目となる三冠制覇に挑戦したコントレイルだが、そのプレッシャーは歴代の三冠馬たち以上のものがあったはずだ。何せコントレイルの三冠制覇は父ディープインパクトとの親子2代での達成、それも無敗での達成となれば日本どころか世界にも例を見ない大記録になる。

さらに言えば、先週の秋華賞はコントレイルと同じように無敗で春の二冠を制した牝馬、デアリングタクトが危なげなく勝利し、史上初となる無敗での牝馬三冠を達成したばかり。それだけに競馬ファンの間では「さあ、コントレイルも続け!」というムードになっていた。

偉大なる父、そして三冠を達成した同期の牝馬の存在......そうしたプレッシャーがコントレイル、鞍上の福永祐一の双肩に重くのしかかっていたことだろう。

迎えた菊花賞のパドック、コントレイルは外目こそ周回していたが、皐月賞やダービーのパドックと比べると少々おとなしすぎる印象を受けた。もともと460キロ台の馬体重で華奢な馬だが、今回はさらに減って458キロだったこともあり、いつもよりも頼りなげに周回しているように見えた。

返し馬を終えて、いよいよレースへ。意外にもコントレイルは今までにないほどの好スタートを切った。その姿はまるで、早くレースを終えてこのプレッシャーから解放されたいと言わんばかりに。かつて父が最後の直線と勘違いして引っかかってしまった1周目のホームストレッチは一見落ち着いて走っているように見えた。

だが、福永祐一がレース後に「最後までうまくリラックスさせることはできなかった」と振り返ったように、見えないプレッシャーが終始、コントレイルを覆っていたことだろう。

向こう正面に入ると、見えないプレッシャーだけではなくなった。アリストテレスの鞍上、クリストフ・ルメールが打倒コントレイルを目指し、徹底マークを敢行。外から離れずにマークして圧をかけてきた。それまで落ち着いて走っているように見せていたコントレイルもこれにはたまらず掛かるしぐさを見せた。

 そして最後の直線へ。5番手まで上がっていったコントレイルは普段よりも少し早めに仕掛けていった。ゴールまで残り400mを過ぎるあたりで前を行くバビットらを捕まえて先頭に立ち、いよいよ三冠達成、大団円のゴールまでまであとわずかというところまでやって来た。

 だが、これを待っていたかのようにスパートを掛け、コントレイルに並びかけてきたのがアリストテレス。ルメールの鞭に応えるように外からグングンと加速。脚色は明らかにアリストテレスの方が優勢で、いつ差してもおかしくない。あと少しでゴールというところでコントレイルは絶体絶命となった。

 しかし、ここでコントレイルが踏ん張る。その姿は今までのレースよりも泥臭く、ましてや涼しい顔をしてアドマイヤジャパンを交わし、三冠を達成した15年前の父の姿とは似ても似つかない。最後の数十メートル、コントレイルは「勝たなきゃいけないんだ!」という二冠馬の意地と誇りだけで走っていたようにも見えた。

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無敗で三冠を制したコントレイルと福永祐一騎手 写真:日刊スポーツ/アフロ


 その結果、コントレイルは迫りくるアリストテレスをクビ差凌いで勝利。史上8頭目の三冠達成を果たした。

苦しみぬいた末に勝利を収めたことで、レース前から人馬を覆っていた重苦しいプレッシャーから解き放たれた。その時、鞍上の福永祐一からはようやく笑顔がこぼれた。こころなしか、コントレイルもどこかホッとしているような表情を浮かべたように映った。

 レース後のインタビュー、福永は「決してベストパフォーマンスを発揮できたわけではない」と語ったように、今回の菊花賞はコントレイルの本来の走りではなかったのは間違いない。

――だからこそ、その先へと夢が広がっていく。三冠馬となったコントレイルの物語はこれがクライマックスではなく、もしかするとまだまだ序章に過ぎないのかもしれない。

■文/福嶌 弘(フリート)


■菊花賞 全着順

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第81回 菊花賞(GI)
2020年10月25日(日)4回京都6日

着順 馬名(性齢 騎手)人気
1着 コントレイル(牡3 福永祐一)1
2着 アリストテレス(牡3 C.ルメール)4
3着 サトノフラッグ(牡3 戸崎圭太)5
4着 ディープボンド(牡3 和田竜二)7
5着 ブラックホール(牡3 藤岡佑介)14
6着 ロバートソンキー(牡3 伊藤工真)9
7着 ヴェルトライゼンデ(牡3 池添謙一)2
8着 ヴァルコス(牡3 岩田康誠)6
9着 ガロアクリーク(牡3 川田将雅)10
10着 バビット(牡3 内田博幸)3
11着 マンオブスピリット(牡3 M.デムーロ)13
12着 サトノインプレッサ(牡3 坂井瑠星)11
13着 ディアマンミノル(牡3 幸英明)12
14着 ターキッシュパレス(牡3 富田暁)16
15着 ダノングロワール(牡3 北村友一)8
16着 レクセランス(牡3 松山弘平)15
17着 ビターエンダー(牡3 津村明秀)17
18着 キメラヴェリテ(牡3 松若風馬)18

※出馬表・結果・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。


■コントレイル 競走成績
年 レース名 着順 騎手(2着馬)単勝オッズ
2020 菊花賞(GI) 1着 福永祐一(アリストテレス)1.1
2020 神戸新聞杯(GII) 1着 福永祐一(ヴェルトライゼンデ)1.1
2020 日本ダービー(GI) 1着 福永祐一(サリオス)1.4
2020 皐月賞(GI) 1着 福永祐一(サリオス)2.7
2019 ホープフルS(GI) 1着 福永祐一(ヴェルトライゼンデ)2.0
2019 東スポ2歳S(GIII) 1着 R.ムーア(アルジャン)2.5
2019 2歳新馬 1着 福永祐一(フレーヴォ)1.7