【川崎】天皇杯初V王手!中村憲剛の本拠地ラストゲームを白星で飾る

サッカー

2020.12.28

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第100回 天皇杯 準決勝 川崎フロンターレが勝利 写真:JFA/アフロ

 川崎フロンターレが等々力競技場で行われた12月27日の天皇杯準決勝で、J3優勝のブラウブリッツ秋田にMF三笘薫選手とMF田中碧選手のゴールで2-0の勝利を収めて、決勝進出を決め、今季限りで引退するMF中村憲剛選手の本拠地ラストゲームを白星で飾った。決勝は1月1日、国立競技場でガンバ大阪と対戦。初優勝へ、あと1勝に迫った。

遠藤保仁と中村憲剛「移籍」と「引退」信念を貫いた二人の決断

 後半41分、川崎フロンターレの背番号14がタッチラインに立つと、等々力競技場はスタンドからひときわ大きな拍手に包まれた。

天皇杯準決勝の秋田戦。決勝は国立競技場での開催のため、今季限りでの引退が決まっている中村憲剛選手にとってはホームの等々力での試合はこれが最後。その登場を心待ちにしていたファンの思いが拍手となって鳴り響く。

「選手としてここに来ることはもうない。全部自分の目に焼き付けておこう」

そんな思いを抱いていたが、J1リーグ3度優勝の川崎が唯一手にしていない天皇杯獲得へ向けて、中村選手は個人的な思いは封印した。

「みんなで気持ちを合わせていた。まず勝ち進むことが大事。自分の個人的な感情は入れてはいけないゲームだと思っていた」という。

試合後、場内インタビューで「個人的なことを言えば、もっと早く出たかった」と本音を明かして、スタジアムの雰囲気を和ませた。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で今大会も大会方式の変更を余儀なくされ、J1リーグはリーグ戦上位2チームのみが準決勝から出場。J2、J3からは優勝チームのみが準々決勝から出場する方式に変更された。

 秋田は、今季J3リーグを制して来季のJ2昇格とともに今大会の出場権を獲得。12月23日に準々決勝で福山シティFC(広島)に勝利して初の準決勝進出を決めた。

一方、今季のJ1リーグを制してこのラウンドから登場の川崎は、12月19日のJ1リーグ最終戦から8日ぶりの試合で、守備に体を張り、ロングボールでカウンター攻撃を試みる秋田に、ゴールを割るまでに時間がかかった。

 前半39分、左サイドでの流れるようなパスワークから、MF大島僚太選手のパスを受けたMF
三笘薫選手がペナルティエリア左から切り込み、右足で冷静に流し込んだ。

 その後も川崎は圧倒的なボール保持で試合を進め、MF田中碧選手がクロスバーを直撃するシュートを放つなどチャンスを作った。だが、最後のプレーの精度を欠いてゴールには至らず、追加点が生まれたのは後半38分。大島選手へのファウルで獲得したFKを田中選手が直接決めて2-0とした。

 中村選手は、「秋田の頑張りがあって、チームがなかなか得点を獲れなかった。ベンチから見ていても素晴らしいファイトだった」と相手を称えた。

 川崎の鬼木達監督も、「カテゴリーの違う相手で難しかったと思うが、選手は焦れずに自分たちのサッカーをやり続けてくれた。今季複数タイトルを獲ろうと進めてきて、決勝に進めたことをうれしく思う」と話した。

 今季J1で新人最多タイ記録の13得点をマークし、リーグのベストイレブンにも選出された三笘選手は、「先制が大事だと思っていたので、決められてよかった」と話し、本拠地ラストゲームだった中村選手について「もう少し長くプレーしてほしかったが、最後いい形で終われたと思う」とコメントした。

 中村選手は、最後の笛が鳴ると一瞬空を見上げて、18年間プレーを続けてきた等々力での勝利を喜ぶように軽く手を叩いた。そしてスタンドのファンへ、頭を下げた。

40歳のMFは、これが最後という実感は「未だに湧かない」と戸惑いの表情も見せながらも、試合後の「いつもの、僕の大好きな、勝った時の等々力の空気」に包まれて、笑顔で本拠地での試合を終えた。


G大阪との決勝、「勝って完結させたい」

 中村選手には、第100回を数える節目の大会の決勝が、選手キャリア最後の試合という「出来すぎ」(中村選手)の舞台となる。18年間ともにプレーしてきたチームに、唯一手にしていなかった天皇杯優勝を置き土産にするつもりだ。

 決勝の相手は今季J1リーグで2位に入ったガンバ大阪。J2優勝で来季J1昇格が決まっている徳島に、FWパトリック選手と終盤出場したMF福田湧矢選手の得点で2-0の勝利を収めて、優勝した2015年大会以来5年ぶりの決勝進出を決めた。

 今季のリーグ戦ではガンバはホーム0-1、アウェイ0-5の2連敗。11月25日の後者での対戦ではMF家長昭博選手にハットトリックを決められるなど、いいところなく圧倒された上にリーグ史上最速J1優勝を決められた。今回のリベンジで、通算6度目の大会優勝を狙っている。

 川崎にとっては2016年大会以来の決勝の舞台だが、当時、中村選手がキャプテンとして臨みながら、延長戦で鹿島アントラーズに1-2で敗れた苦い思い出がある。

 中村選手は、「サポーターにとっても悲願。でも考えすぎず、自分たちらしいプレーをすれば、勝ちが転がってくると思う」と話し、今季のリーグ戦で数々の記録を生み出したチームのプレーに自信を示した。

そして、力強く、こう続けた。「勝って完結させたい。」


取材・文:木ノ原句望