【桜花賞みどころ】今年の仁川の桜の色は白か赤か、それとも...

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2021.4.10

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ソダシ 写真:日刊スポーツ/アフロ

 今年の仁川の桜は果たして、何色の花を咲かせるのだろうか。

 一般的な桜色とはソメイヨシノの花の色のような淡い紅色のことを指すが、桜花賞の舞台で咲く花はその年によってさまざま。鮮やかな色に染まる年もあれば、大波乱を象徴するかのような濃い色もある。仁川のターフに咲く桜はその年によって変わる。

 そんな今年の桜花賞、主役となるのは白い馬、ソダシだろうか。

 突然変異から生まれるとされる白毛の馬体は祖母シラユキヒメ、母ブチコから受け継いだもの。生まれながらにして何色にも染まらない純白の馬はやがてサンスクリット語で「純粋、輝き」という意味を持つソダシと名付けられ、その馬体とともに大きな注目を集めてきた。

母ブチコは4勝を挙げるも重賞勝ちはなし、祖母シラユキヒメに至っては9戦未勝利、一族をさかのぼってもソダシがデビューする前の時点で重賞を勝った馬はユキチャンのみと現在の日本競馬において決して良血とは言えない一族の生まれである彼女がここまで注目されたのはその純白の馬体に他ならない。

言うなれば、ソダシは生まれながらにして好奇の目にさらされたアイドルだった。

 そんなソダシが単なるアイドルではなく、競走馬として一目を置かれるようになったのはデビュー2戦目の札幌2歳S。1000mの通過ラップが59秒2という洋芝の札幌競馬場の2歳戦としては異例のハイペースとなったが、ソダシは4角先頭に立つという強気な競馬で迫りくるバズラットレオン、ユーバーレーベンらを競り落として勝利。白毛馬初の芝重賞制覇は彼女の類まれな根性があってのものだった。

 中距離の2歳重賞で牡馬を競り負かした牝馬――ソダシはただの白い馬という扱いから、強い馬と認識された。3戦目のアルテミスSで彼女は初めて単勝1番人気に支持されたが、直線早めに抜け出すというレース運びのまま後続を突き放して楽々と3連勝。

距離短縮だけでなく、レースの上がり3ハロンのタイムが34秒0という切れ味勝負になったレースでも難なく対応できた彼女の対応力に高い評価が与えられた。

 そうして迎えた阪神JF。GI特有の淀みない流れの中でも彼女は堂々と追走し、直線では馬群を割って先頭に。

白毛馬初のGI制覇に向けてひた走る彼女のもとにサトノレイナスが迫り、並んだところがゴールだったが......彼女の類まれな勝負根性がサトノレイナスの追撃を振り切り、ハナ差で勝利。一族の悲願、そして競馬史上初となる白毛馬によるGI制覇を土つかずの4連勝で達成した。

 物珍しさから、生まれながらにして好奇の目にさらされてきた馬が、女王として迎える3歳の春。阪神JF以来となる実戦ではあるが、ここまでの調教過程は「言葉が見つからないくらいにうまくできた」管理する須貝尚介調教師も胸を張る。

世代屈指の勝負根性と、どんなペースでも対応できる柔軟性を駆使して、敗北を知らぬ女王ソダシは春の仁川に純白の桜を咲かせられるだろうか。

 ソダシの隣には真紅の馬・アカイトリノムスメがいる。

 父は不世出の三冠馬、ディープインパクト。そして母は11年前にこのレースを制し、史上3頭目となる牝馬三冠を達成したアパパネ。

両親が勝ち取ったGIタイトルは実に10冠。そんな超が付くほどの良血馬として生を受けた彼女もまた、ソダシ同様に生まれながらにして大きな注目を集めてきた。

 母と同じ、国枝栄厩舎に所属して迎えたデビュー戦は直線伸びずに7着に敗れたが、一息入れてから臨んだ2戦目以降はトントン拍子で3連勝。中でも重賞初挑戦となったクイーンCは中団早めに抜け出して、迫りくる後続を押し切るという母を彷彿とさせるレースぶりで勝利して、桜の女王へと名乗りを上げた。

白い馬・ソダシとは未対戦なだけに未知の魅力もあるアカイトリノムスメ。ハワイに生息する赤い鳥(アカハワイミツスイ)から名付けられた母の娘である彼女は燃えるような真っ赤に仁川の桜を染める。ソダシと同じ金子真人オーナーが所有する馬だけに季節外れの紅白対決が見られるかもしれない。

 アカイトリノムスメのステイブルメイトである、サトノレイナスはリベンジに燃える。

 スペイン語で「女王」という名を授けられた彼女は父ディープインパクト譲りの末脚でデビューから2連勝。ともに出遅れながらも直線一気の脚で直線の景色を一気に塗り替える破壊力はこの世代でもトップレベル。

無敗の女王を目指して迎えた阪神JFは先に抜け出したソダシを猛追し、並んだところがゴールだったが......栄冠はたった7センチ差でソダシのもとへ。勝ちに等しい負けを経験した彼女は今回、誰よりもソダシに勝ちたいと思っていることだろう。

 迎えた桜花賞、引いた馬番は大外の8枠18番。一見すると不利に見えるが、近年の桜花賞は外から差してくる馬に分がある傾向が強い。それだけにここは彼女に追い風が吹いていると言ってもいい。桜色に最も近い、桃色の帽子が外からリベンジを果たしにやってくる。

 汚れを知らぬ純白か、燃えるような真紅か、本来の桜色らしい桃色か、それとも......今年の仁川の桜は果たして、何色に咲くのだろうか。


■文/秋山玲路

2021年4月11日(日)2回阪神6日 発走時刻:15時40分
第81回桜花賞(GI)

枠-馬番 馬名(性齢 騎手)
1-1 ストライプ(牝3 田辺裕信)
1-2 ファインルージュ(牝3 福永祐一)
2-3 ブルーバード(牝3 柴田大知)
2-4 ソダシ(牝3 吉田隼人)
3-5 アカイトリノムスメ(牝3 横山武史)
3-6 ストゥーティ(牝3 岩田康誠)
4-7 ククナ(牝3 藤岡佑介)
4-8 メイケイエール(牝3 横山典弘)
5-9 エンスージアズム(牝3 岩田望来)
5-10 アールドヴィーヴル(牝3 M.デムーロ)
6-11 ジネストラ(牝3 北村宏司)
6-12 ヨカヨカ(牝3 幸英明)
7-13 エリザベスタワー(牝3 川田将雅)
7-14 ミニーアイル(牝3 藤岡康太)
7-15 シゲルピンクルビー(牝3 和田竜二)
8-16 ソングライン(牝3 池添謙一)
8-17 ホウオウイクセル(牝3 丸田恭介)
8-18 サトノレイナス(牝3 C.ルメール)

※出馬表・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。