【安田記念 みどころ】絶対女王グランアレグリアに待ったをかけるのは誰だ

グランアレグリア 写真:日刊現代/アフロ
グランアレグリアの政権は、いったいいつまで続くのだろうか――
今年の安田記念に出走する14頭を見て、ふとそんなことを考えた。
先に行われたヴィクトリアマイルを持ち出すまでもなく、現在の日本競馬の短距離戦線はグランアレグリアの独壇場。昨年のこのレースでアーモンドアイを完封して以来、彼女はただひたすらに短距離女王の座を守り抜いてきた。
安田記念以降はすべてGIレースを走って4戦3勝。唯一の敗戦は初の2000m戦となった大阪杯でのもので、マイル以下のGIでは現在4連勝を記録している。
ステッキひとつ入れずに他馬を子ども扱いしたヴィクトリアマイルを思えば、そこに牡馬が混じっても大した問題にはならず、しかもほとんどの馬とはすでに勝負付けが済んでいる状態。それを考えればグランアレグリアが安田記念を連覇する可能性は限りなく高いが、それに待ったをかけるのが安田記念の歴史だ。
今年で71回目を迎える安田記念。歴代の勝ち馬を振り返ればニホンピロウイナーにオグリキャップ、タイキシャトルやウオッカ、ロードカナロア、そしてモーリスと日本競馬史を彩ってきた名マイラーたちの宝庫。
ライバルたちが無残に散った中で1頭のスターホースだけが敢然と輝きを放つ場所でもあるだけに連覇する馬がいてもおかしくないが、実は過去70回の歴史を誇る安田記念で連覇した馬はたったの3頭だけ。
しかもヴィクトリアマイルをステップにした馬の安田記念での成績は2006年以降[2・3・1・19]で2勝はいずれもウオッカ(2008年、2009年)が記録したもの。牡馬と渡り合ってダービーやジャパンCを制してきたウオッカのような逞しさを果たしてグランアレグリアが備えているのか。
そしてグランアレグリア自身、今回は初めてとなる中2週でのローテーションでの出走となる。ゆったりと間隔を開けてレースに臨んできたことで好成績を残してきた彼女にとって、レースの間隔が詰まることは決してプラスとはならないはず。
ちなみに自身のキャリアで最も間隔が詰まっていた中3週のローテーションで臨んだNHKマイルCは得意コースでのものだったにもかかわらず、4位入線→5着降着という憂き目に遭っている。
まだまだ未熟だった3歳時と競走馬として完成した現在とでは比べようがないが、安田記念連覇へ向けての死角がないわけではないということだけ記しておきたい。
では、打倒グランアレグリアの可能性があるのは誰か――

シュネルマイスター 写真:日刊スポーツ/アフロ
その大役を担うのは、シュネルマイスターかもしれない。
2014年のミッキーアイル以来、7年ぶりとなる3歳馬による安田記念への挑戦。そもそもダービーが終わったばかりのこの時期に3歳馬が古馬のトップクラスに挑むのはかなり稀なこと。
グレード制導入後の1984年以降で安田記念に挑戦した3歳馬はわずか7頭で結果は[1・0・1・5]。ちょうど10年前の2011年に伏兵リアルインパクトが突き抜けた以外は勝ち星がない。特にリアルインパクト以降に挑んだ2頭は17着、16着と惨敗。古馬の洗礼を受ける形になっている。
だが、シュネルマイスターはこれまで挑んできた馬と一味違うように思う。マイルGI御用達種牡馬として欧州で活躍中のキングマンを父に持った外国産馬でデビュー以来、マイル以下の距離では3戦全勝。唯一の敗戦となったのはクラシックへの試金石として挑んだ皐月賞トライアルの弥生賞。明らかに距離不適な条件だったにもかかわらず、この時だって直線では猛然と伸びて2着に食い込んだ。
そしてこの馬の持ち味が最大限に生きたのが前走のNHKマイルC。4角9番手から追われると直線では真一文字に伸び、先に抜け出したソングラインを最後の最後で交わしてGI初制覇。その時の時計は1分31秒6。NHKマイルC史上2番目に速いタイムを記録した。異次元のスピードで抜け出してくるグランアレグリアとも引けを取らないだろう。
しかもシュネルマイスターはグランアレグリアとは未対戦のため、勝負付けがまだ済んでいないというのも大きな魅力。今回の安田記念で5戦目と少ないキャリアでこれだけのレースができることを考えると、グランアレグリアの王座を揺るがす存在として注目すべきだろう。
安田記念を勝つのに必要なのは若き才能ではなく、熟練の走りであることは過去の歴史が教えてくれる。その歴史を考えると、2年前の王者インディチャンプにも勝機がある。
過去、グランアレグリアとは2戦2敗。初顔合わせとなった昨年の安田記念では中団から追い込んだものの届かず3着に終わり、リベンジを期したマイルCSでは反対に先に抜け出したが、今度は外からグランアレグリアに交わされ、返り討ちに合う形に。
安田記念の敗戦のショックが大きかったのか以降は4戦して未勝利と詰めの甘さが目立つようになったが、上がり3ハロンの時計を見る限り、自慢の末脚はまだ衰えてはいない。先週のダービーをシャフリヤールで制し、騎手として円熟期に入った感のある福永祐一とともに3度目の正直を果たしたい。
絶対女王の連覇か、若き王の誕生か、旧王者の復活か、それとも―― 今年の安田記念もまた、白熱したレースが見られそうだ。
■文/福嶌弘
第71回安田記念(GI)枠順
2021年6月6日(日)3回東京2日 発走時刻:15時40分
枠順 馬名(性齢)騎手
1-1 サリオス(牡4)松山弘平
2-2 ギベオン(牡6)西村淳也
3-3 ダイワキャグニー(せん7)石橋脩
3-4 カラテ(牡5)菅原明良
4-5 グランアレグリア(牝5)C.ルメール
4-6 ダノンプレミアム(牡6)池添謙一
5-7 ラウダシオン(牡4)M.デムーロ
5-8 インディチャンプ(牡6)福永祐一
6-9 トーラスジェミニ(牡5)戸崎圭太
6-10 カデナ(牡7)武豊
7-11 ダノンキングリー(牡5)川田将雅
7-12 ケイデンスコール(牡5)岩田康誠
8-13 シュネルマイスター(牡3)横山武史
8-14 カテドラル(牡5)田辺裕信
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。