陸上・山縣亮太 100メートルに広がる無限の世界、オリンピックファイナリストを目指して

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2021.9.17

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そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

日本人が世界と戦うことの尊さを教えてくれる選手たち。

その中心に山縣亮太はいる。

陸上短距離で日本人がどこまでやれるのか。4年前、素朴な興味から取材は始まった。

まず驚いたのが食い入るようにスマホを見つめる姿。山縣にはコーチがいなかった。だから撮影した走りを自分で確認する。人に備わる無限の力を探る日々。

ライバル・桐生祥秀

息抜きは釣り。人間は理性と本能の狭間に揺れる存在。釣り糸は無心にしてくれる。

釣った魚は自分でさばき、食卓へ。何事にも突き詰める性分なのが見て取れる。

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「自分に足りない物は?」

その答えを競い合うライバルに探すこともある。

たとえば桐生祥秀。4年前、日本人がことごとく跳ね返されてきた10秒の壁を越えたのが3学年下の桐生だった。

他に例のない桐生独自のフォームを山縣は真似をし答えを探した。

日本新記録

あれから4年。今年6月にその日は来た。9秒95。

この2年、病気や怪我に苦しみ不調にあえいだ男が復活。日本記録を塗り替えたのだ。

この4日後、誕生日を迎えた山縣は29歳になる。もう若いとは言えない体。それでもできると、証明した。

山縣は今年ある決断をした。競技人生で初めてプロのコーチを雇ったのだ。

2月のことだった。山縣は高野コーチに見方によっては失礼な依頼をしたという。

自分のやり方は変えたくない。でも意見が欲しい。

それでも高野コーチは受け入れてくれた。教えるでも導くでもなく明るく寄り添っている。

結果、日本新記録は生まれた。

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オリンピックファイナリストという高い壁

そしてその二十日後、東京オリンピック代表選考レースはやって来た。

やり直しはない。一発勝負で運命は決まる。3年ぶりの、勝負の100メートル。

結果3位。代表を勝ち取った。

迎えた東京オリンピック、予選で10秒15で3組4着となり、残念ながら準決勝に進めなかった。

次に越えるべきはオリンピックファイナリストという高い壁。

100メートルに広がる無限の世界に、必ず突破口を見つけてみせる。