巨人軍 第19代目キャプテン・坂本勇人 一流であり続ける男の凄み

そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない
一流になるのは難しいが、一流であり続けるのはもっと難しい。
伝統の巨人軍、第19代目のキャプテン坂本勇人はなぜできるのか。
いやおうなく背負う伝統の重み。その中で積み重ねてきたヒットには本数以上の価値がある。
そしてそれを支えるのが緻密かつ確かな打撃技術だ。たとえばタイミングの取り方。
坂本は基本の形の他に、足を上げるパターン、すり足、二段モーションと大きく言って4つの打ち方を状況に応じて使い分けている。
こともなげに言うが変化はリスクも伴う。それでもあえて変化を求めるのが坂本のやり方だ。
きっかけがあった。二十代半ば、坂本は苦しんでいた。3シーズンに渡って不本意な成績が続いた。
自分は一体どうすればいい?
出した答えが人の意見を自分から請うことだった。不安に変化で向き合う。2016年、臨時コーチとなった松井秀喜の言葉が転機となった。
広く遠くを見渡せる坂本の凄み
意識を変えて臨んだ27歳のシーズン。坂本はショートしてはセリーグ初となる首位打者を獲得。
一時の低迷を脱し、おととしには30歳にして自己最多となる40本塁打を放った。
そして記憶に新しい去年11月、史上2番目の速さで2千本安打達成した。
今シーズンに話を戻そう。5月のことだった。ベースに戻った際、右手親指を骨折。全治1ヶ月と診断された。
戦線離脱した坂本だったが、淡々と反復練習を繰り返した。努めて平静に過ごそうとする坂本がそこにいた。
5月10日に骨折し6月11日に復帰。計画通りに事は運んだ。悪化させないこと。それが最優先で、それが物差し。チームにとってのマイナスがいちばん小さく済む道を坂本は選んでいた。
そして7月、巨人を離れ侍ジャパンへ。東京オリンピックの金メダルを目指す日々が始まる。
ここで坂本は稲葉監督から事実上のキャプテンの役割を求められた。だから積極的な声掛けを行い、投手野手関係なく気持ちを通じさせて一体感を作っていった。そして、決勝で見事アメリカを下し、5戦全勝で悲願の金メダルを獲得した。
再びチームに戻った坂本。巨人はここに来て激しい優勝争いを繰り広げている。
そんな中、シーズン終盤というこの時期に、坂本はまた新たな挑戦を始めていた。取り組んでいるのは打撃フォームの大改造。もっと打率を上げたいと考え、ここに至った。
結論を言えばそれがうまくいった。打率はもう3割目前。フォーム改造以降に限れば、打率は4割を超えている。
坂本の凄みは広く遠くを見渡せること。
その視線はペナントレースの先もとらえている。