名古屋グランパスが「らしさ」発揮でルヴァンカップ初優勝

2021 Jリーグ YBCルヴァンカップ 表彰式 名古屋グランパスが優勝 写真:アフロスポーツ
名古屋グランパスが「らしさ」を出した戦いでルヴァンカップ初優勝を手にした。
10月30日に埼玉スタジアムで行われた決勝でセレッソ大阪と対戦。3日前の天皇杯準々決勝で敗れた同じ相手に、FW前田直輝選手とMF稲垣祥選手のゴールで2-0の勝利を収めて、クラブが唯一手にしていなかった国内メジャータイトルを獲得した。
勝利への大きな分岐点は2つあった。1つは3日前の天皇杯準々決勝で0-3と敗れた直後で、もう1つはこの日の決勝の後半の立ち上がりだ。どちらも、相手に行きかけた流れを引き戻す重要な瞬間だった。
特に前者は、今回の決勝と同じ相手のセレッソにホームで0-3と大敗し、10月17日のACL(AFCチャンピオンズリーグ)準々決勝に続いて2つの大会でタイトル獲得の道が絶たれる嫌な流れ。10月の公式戦では1勝1分4敗と結果が伴わず、後に引きずりかねない状況だった。
水曜日の試合後、マッシモ・フィッカデンティ監督は「こんな姿、一緒にやってきた選手だと思いたくない。おまえたちは、こんなもんじゃない!」と厳しい言葉を投げかけ、中2日で迎える決勝へ選手の奮起と切り替えを促した。
そして迎えたこの日の決勝で、名古屋は立ち上がりから攻勢に出た。右サイドからの仕掛けで得点チャンスを作り、稲垣祥選手がミドルから狙い、柿谷曜一朗選手はマテウス選手のクロスにオーバーヘッドで相手ゴールを脅かす場面を作った。
だが、ゴールを揺らせないまま、その後はセレッソがボールを保持し、名古屋陣内でパスを回してシュートチャンスを探る展開が続いた。この時間帯を名古屋は持ち前の固い守りで切り抜けて、前半を0-0で折り返すと、ハーフタイムを挟んで流れを呼び込んだ。
「コートを広く使って攻撃しよう」というフィッカデンティ指揮官の指示を念頭に、後半開始から左サイドでMF相馬勇紀選手が仕掛けてCKを獲得。
このセットプレーで相馬選手がゴール前に上げたボールにニアサイドで柿谷選手が頭でコースを変え、ファーサイドのMF前田直輝選手がヘディングで押し込んだ。後半2分で名古屋が先制に成功した。
これで流れを奪い返した名古屋は、さらにサイド攻撃を続けて相手ゴールに迫った。
セレッソが、後半開始から投入したMF清武弘嗣選手に続いて、後半10分にFW大久保嘉人選手を投入すると、名古屋は直後にMF長澤和輝選手とMF斉藤学選手を送り込み、4-3-3にシステムを変更。
状況に応じて中盤の底に構えた元セレッソのMF木本恭生選手が最終ラインに下がって5バックを構成して、セレッソの攻撃に対抗した。
後半28分にFWシュヴィルツォク選手をベンチから送り出すと、その6分後、この交代起用が追加点につながる。
左サイドでパスを受けたシュヴィルツォク選手が齋藤選手とのパス交換で左サイドを突破。ペナルティエリアまで持ち込んで右足を振ると、セレッソGKキムジンヒョン選手が足でブロック。その跳ね返りを受けた稲垣が右足で捉えてゴールに叩き込み、勝利を決定的なものにした。
「僕らのゲーム」
最後の笛が鳴ると、待ちかねたようにベンチから柿谷選手や前田選手がピッチに飛び出し、GKランゲラック選手が守り抜いたゴール前に集まる選手たちの祝福の輪に飛び込み、ベンチ前ではフィッカデンティ監督が選手やスタッフと次々と喜びのハグを繰り返した。
名古屋の攻守を支えてこの試合のMVPに輝いた稲垣選手は、遠目に指揮官の姿を見つけると、満面の笑みで駆け寄って飛びついた。
稲垣選手は、「このタイトルを獲れるかどうかで、クラブとして大きく違ってくると思って試合に入っていた。その試合を決定づけるゴールを決めることができた」と喜んだ。
柿谷選手は、「どちらに転んでもおかしくない試合だった」としながらも、「名古屋が強い時はこういうサッカー。一丸となってやれたと思う」と振り返った。
今季セレッソから加入した元日本代表FWは古巣との対戦に、「セレッソとだけはやめてくれと思っていた」と明かしたが、「やってみると楽しかった。今までやってきた選手たちの素晴らしいところも見れてよかった。すごくいい思い出になった」と静かに語った。
最終ラインでキャプテンマークを巻いて奮闘したDF中谷進之介選手は、「もう一度、自分たちらしく戦おうと。固い試合で面白味には欠けたかと思うが、それが僕らのゲーム」と話し、17,933人の観客が駆け付けた決勝の雰囲気にも後押しされたと明かした。
「この雰囲気の中でやることで、天皇杯の負けも関係ないぐらい、すごくフォーカスできた。この(勝利の)味をもう一度味わいたい。これを機に名古屋が強くなるようにしたい」と話して、次のステップへの意欲を語った。
取材・文:木ノ原句望