【Jリーグ】川崎フロンターレ 我慢強さを加えて勝ち獲った2度目のリーグ連覇

サッカー

2021.11.4

Photo by Hiroki Watanabe_Getty Images.jpg
2年連続通算4度目の優勝を決めた川崎フロンターレ Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

川崎フロンターレがJリーグ連覇を決めた。

11月3日、ホームで浦和レッズに1-1で引き分け、2位の横浜F・マリノスがガンバ大阪に0-1で敗れて残り4試合で勝点差が13に開いたため、川崎の2年連続通算4度目の優勝が決まった。

チームを率いる47歳の鬼木達監督は就任一年目の2017年、2018年、2020年に続く4度目のリーグ制覇で、日本代表の森保一監督が広島で、オズワルド・オリベイラ監督が鹿島で達成した3度の制覇を抜いて歴代最多となる。

鬼木監督は、「今季は難しい試合が多かったが、我慢強さが選手に備わった。今日もそういう戦う姿勢を見せてくれた」とタフに戦い続けた選手たちを労い、笑顔を見せた。

この試合までにマリノスに勝点12差のリードを奪い、浦和戦に勝つか引き分けてマリノスよりも勝点1でも多く加えることができれば優勝が決まる川崎は、前半33分、右CKの流れから相手のクリアボールを得てゴール前に山根視来選手がクロスを入れると、FWレアンドロ・ダミアン選手が浦和FW江坂任選手と左ポスト前で競り合い、こぼれたボールにDFジェジエウ選手が右足で捉えて押し込んだ。

その後も浦和の攻撃をうまく抑えていた川崎だったが、後半半ばになると、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を手にできる3位入りへ勝点を積み上げたい浦和が、選手交代を活かして徐々に川崎ゴールに迫る場面を作るようになる。

そして、後半89分に途中出場のMF伊藤敦樹選手がシュート。川崎GKチョン・ソンリョン選手が弾いたが、跳ね返りをDF酒井宏樹選手が受けて右足で決めて同点に持ち込んだ。

鬼木監督は、「本当は勝って終わりたかったが、でも一年間の積み重ねの結果なので、選手を誇らしく思う」と喜んだ。

崩れない強さと若手の台頭

昨季は「1試合3得点」を目標に掲げて爆発的な攻撃力が際立った制覇だったが、今季は苦しい状況でも大きく崩れない、しぶとさが光った。 それが特に表れたのが今シーズンの中盤戦だ。

昨季限りでMF中村憲剛選手が引退し、さらにMF田中碧選手とMF三笘薫選手の主力二人が夏に海外へ移籍して、チーム構成が大きく変化した。加えて8月半ばにはDF谷口彰悟選手が負傷。長期離脱中だったMF大島僚太選手とともに故障者リスト入りとなった。

チームは9月のルヴァンカップ準々決勝とACL決勝トーナメント1回戦で躓き、前者は浦和にアウェイゴール差で、後者は前回優勝の蔚山現代にアウェイでスコアレス延長の末にPKで敗れて、立て続けに2つの大会での敗退が決まった。特にACLでは大きな目標としていたアジアタイトル獲得への道が絶たれた。

ACL敗退直後にはリーグ戦5連戦が待っていた。疲労や帰国後の隔離生活もあり、失速してもおかしくない状況だったが、チームが崩れることはなかった。

鬼木監督が「優勝を決める大事な5連戦」と位置付けて、全勝で乗り切るという新たな目標を設定して選手を鼓舞。チームは底力を発揮して5連勝で切り抜けた。

若手や出場機会が少なかった選手らが活躍したことも大きかった。

6月下旬からウズベキスタンで集中開催されたACLグループステージで出場チャンスを得ていたMF橘田健人選手、MF遠野大弥選手、FW宮城天選手らが台頭。

さらにFW知念慶選手も先発した湘南戦などでゴールを決めてチームの勝利に貢献した。また、8月に加入したブラジル人MFマウシーニョ選手が徐々にチームにフィットして、スピードを活かしたプレーで力を発揮するようになった。

この日、先発した橘田選手は、優勝が決まった試合に「まさか自分がスタメンでその試合に出ているとは思わなかった」と振り返り、「こういうチームでサッカーができていることを嬉しく思う。一戦一戦自分がやれることをしっかりやってきた結果、成長につながっていると思う。これからもがんばっていきたい」と話した。

DF登里享平選手は、苦しい時期に崩れなかった要因を訊かれて、「自分たちにベクトルを向けて、一人ひとりが向き合ってこれた。一人ひとりの野心や芯の強さがあったので、崩れないだろうという確信はあった」と語り、「選手が抜けたりしたが、自分たちにできることを一人ひとりが整理しながら割り切ったサッカーができていたというのもあったと思う」と振り返った。

総力戦の勝利

谷口選手は、「選手たちは一戦一戦必死で、ぎりぎりのところで勝ちに持って行った。そういうことをやってきた結果の優勝で、昨シーズンとは一味違う」と話し、総力戦で勝ち獲った」と指摘する。

田中選手と三笘選手が抜けた後に若手が台頭したことに触れて、「新しくチャンスをもらった選手がどんどん成長して、チームを勝たせる存在になっていったのは頼もしかった。これを続けていかないとならないし、まだまだ競争のレベルを上げていける。そこはこだわりながら、もっともっと強いチームになっていきたい」と語った。

Photo by Koji Watanabe_Getty Images.jpg
川崎フロンターレ Photo by Koji Watanabe/Getty Images

川崎の今季ここまでの成績は26勝7分1敗で、勝点を85に伸ばした。

黒星は8月25日のアウェイでの福岡戦のみ。リーグ戦では開幕から2度の5連勝を含む25戦負けなしで勝点を積み上げ、福岡戦後の連勝は7をマークした。

昨季ほどの爆発力は感じられなかったものの、33戦で77得点22失点は現時点でリーグ最多と最小だ。得点ではダミアン選手がチームトップの17得点で、リーグの得点ランキングでは首位に1ゴール差で2位に付けている。

守備でも前線でハードワークを欠かさないダミアン選手は、「チームの一員として優勝することが自分の最大の目標だったので、タイトルをとれたことは嬉しい」と話し、得点王争いについては「残りの4試合の中で自分が得点を重ねられればうれしいし、それでチームの力になれれば、よりうれしい」と話している。

チームは天皇杯も準決勝進出を決めていて、2年連続での2冠達成への期待がかかる。

鬼木監督は「(リーグ優勝は)今日決まったが、先を見据えてもう1つタイトルを獲りたい」と言った。

優勝で来季のACL出場権を獲得し、2度目の3連覇への挑戦も再び来季の目標に加わる。

谷口選手は、「間違いなく3連覇を目指してやっていくつもり。そこへ向けても残りの試合が大事になる」と話した。

チームはすでに次の目標を見据えていた。


取材・文:木ノ原句望