【日本ダービー】武豊「何回勝っても嬉しいし、勝ちたい」競馬界のレジェンドが語る日本ダービーへの想い

3歳馬7708頭の頂点であり、競馬界最高の栄誉である日本ダービー。
このタイトルを手にするために今年も人馬ともに熱い戦いを繰り広げるが、その熾烈な戦いを勝ち抜いて夢の舞台へエントリーしてきた各馬に秘められたエピソードや関係者たちの知られざる想いに迫った。
その中でも今回は日本ダービー史上最多の6勝を誇る武豊の1日に完全密着。
競馬界のレジェンドが語る日本ダービーへの想いとは......。
都内のイベントへ「競馬を広めたい」という思いで参加

昨年の日本ダービーをドウデュースで制し、前人未到、史上最多となるダービー6勝目を飾った武豊。勝利数もさることながら、史上初となる50代での優勝と、まさに競馬界のレジェンドにふさわしい記録づくめの勝利となった。
そんな武豊に4月下旬、テレビ東京は1日密着取材を敢行した。
4月27日、武豊は東京へとやってきた。この日は東京ビッグサイトで開催された「Climbers2023」というイベントに出演することになっていた。競馬とはあまり関係のないイベントだが、なぜ彼は出演を決意したのか?
「一番は競馬を広めたい」
移動中の車内で武豊はこう語った。これまで数々の名馬とともにビッグタイトルを得てきた彼は同時に競馬の普及のために様々なテレビ番組やイベントに出演してきた。
今回のイベントもそのひとつなのだろう。「自分が出演することで、競馬を知らない人たちへ競馬をPRできればいい」という、レジェンドならではの理由がそこにはあった。

武豊が出演した「Climbers2023」は主にビジネスマンに向けたイベント。
会場の東京ビッグサイトには武豊以外にも各界のトップランナーが集まり、それぞれの分野について紹介するのを参加者たちが真剣な表情で聞いていたのが印象に残った。
その中で武豊は打ち合わせ中も「NG無いんで」と、進行役を務める立川周アナウンサーと談笑。迎えた本番でも立川アナとの軽快なやりとりで多くの観客の関心を集めた。
そのイベント中、武豊はこう語った。
「いろんな立場の人がいて、うまくいかない時があると思いますが、地道に少しずつ状況を変えていく。僕自身も頑張っていきたい」
数々の困難を打破して、道を切り開いてきた競馬界のレジェンドならではの言葉だが......そんな武豊に今年は異変が起こっていた。
日本ダービーで騎乗する馬が、まだ決まっていなかったのだ。
「日本ダービーは今もドキドキワクワクするレース」

皐月賞で武豊が騎乗したタッチウッドはレース後に放牧され、日本ダービーは回避することが決まった。これにより、武豊のダービーでの騎乗予定が白紙になってしまったのだ。
「乗らなあかん 日本ダービーは」
ダービー騎乗のオファーを待ちながら、次の仕事先へと向かった。今度は都内のホテルで自身が使用する鞍の改良についての打ち合わせ。
軽量化を目指して最新のカーボンを使用した新しい鞍を見て「いいアイデア」と高い期待を寄せるなど、競馬のことなら最新の技術を積極的に取り入れていく武豊。
その探究心は54歳になった今でも変わらない。そんな彼にとっての日本ダービーとはどんな存在なのだろうか。
「GIはたくさんあるけれど、日本ダービーは特別。何回勝っても嬉しいし、勝ちたい。ジョッキーなら18人に入りたいという思いが強い。デビューした頃から今に至るまで変わらずドキドキワクワクするレース。日本ダービーというだけで緊張感がある。騎手にとっては最高の時間......勝ちたい」

最後の「勝ちたい」に日本ダービーへの強い思いが込められていることがよくわかる。
取材から数日が経った5月のある日、武豊は皐月賞で3着だったファントムシーフの鞍上を務め、日本ダービーへ参戦することが決まった。世代トップクラスの実力を持つ素質馬とともに日本ダービー連覇、そして7度目の日本ダービー制覇を目指す。
■文/福嶌 弘