なでしこジャパン アルゼンチン代表に8ゴールの圧勝!システム変更に手ごたえ

長谷川唯、田中美南 写真:築田純/アフロスポーツ
なでしこジャパン日本女子代表が9月23日、アルゼンチン女子代表と福岡県のミクニワールドスタジアム北九州で行われた国際親善試合でMF長谷川唯選手(マンチェスター・シティ)と後半交代出場のMF清家貴子選手(浦和レッズレディース)がそれぞれ2ゴールを決めるなどで8-0と圧勝。
オプションアップにこの試合で採用したシステムも機能して、10月下旬から始まる2024年パリ・オリンピック予選を前に弾みをつけた。
ベスト8入りした7月の女子ワールドカップ(W杯)後初の、そして、五輪アジア2次予選前では唯一の強化試合で、なでしこジャパンが戦い方のオプションを増やすことに挑戦した。
W杯を経験したメンバーで、最終ラインをW杯で採用していた3バックから4バックにして4-3-3の布陣を採用。中盤の底のポジションに、従来はセンターバックでプレーするDF熊谷紗希選手(ローマ)を置いて、長谷川選手、MF長野風花選手(リバプール)と中盤を構成した。
アルゼンチンが日本へ向かう途中にフライトのトラブルで旅程変更を強いられ、予定を大幅に超える長時間の移動を強いられての来日となり、コンディション不良という側面もあり、日本がほとんどの時間を相手陣内でプレーする展開となった。
球際で優れる日本は相手からボールを奪うと速やかにパスを展開。W杯ではサイドからの仕掛けが印象的だったが、この試合では中央から前線へのパスも有効で、ポジションチェンジで織りなす連携も滑らかで、テンポよく攻撃を組み立てた。
左サイドバックで起用されたDF遠藤純選手(エンジェル・シティ)が豊富な運動量と鋭い攻撃の嗅覚を活かして攻め上がり、何度も相手ゴールに迫るチャンスを作った。
日本主導の流れを早々に方向づけたのが開始2分での先制点。相手にプレッシャーをかけてバックパスを誘い、FW田中美南選手(INAC神戸)が相手につっかけてインターセプト。相手GKの動きを見て冷静に左足を振った。
その8分後にはFW宮澤ひなた選手(マンチェスター・ユナイテッド)のクロスにゴール前に飛び込んだ田中選手が相手DFに押されてPKを獲得。長谷川選手がゴール右隅にこれを決めて、日本が開始10分で2得点を挙げた。
W杯では1分け2敗でグループステージ敗退に終わったアルゼンチンだったが、コンディション不良のなかでもFWマリアナ・ラロケッティ選手(オーランド・プライド)がゴールを狙う動きで積極的に仕掛けを試みた。
だが、特に目立ったのはGKバニナ・コレア選手(ロサリオ・セントラル)で、前半半ばには田中選手や長谷川選手らの立て続けのシュートに鋭く反応。DF高橋はな選手(浦和レッズレディース)のヘディングで日本に3-0とされたあとにも、MF猶本光選手(浦和レッズレディース)のFKを止めた。
しかし、日本主導の流れが変わることはなく、前半39分には長谷川選手が田中選手のパスを受けて2ゴール目をマークして4-0で前半を折り返した。
後半は交代出場の選手らが躍動。後半16分に熊谷選手の縦パスを起点に、直前にゴール前でこぼれたボールに鋭く詰めた清家選手が右足を振って得点。その5分後には清家選手のロングフィードにMF杉田妃和選手(ポートランド・ソーンズ)が抜け出して相手GKの動きを見極めて、冷静に左足で流し込んで6-0とした。
日本はさらに、後半35分にはFW植木理子選手(ウェストハム・ユナイテッド)がPKを決めて7-0とし、後半アディショナルタイムには、長谷川選手がペナルティエリアで相手ボールを奪ったところから杉田選手を経由して、清家選手へ。清家選手は相手GKの頭上を抜く技ありのゴールで2本目を決めて8-0とした。
日本が主導権を握る一方的な展開になったことで、4-3-3の形での守備面での確認はできなかったが、交代で選手が入れ替わってもスムーズな連携で攻撃の流れや勢いを維持。最後までトーンダウンすることなく、相手を圧倒できたのはプラスだ。
「アジア予選へ向けて、相手が対応してきたときに持てる手を増やしたかった」とシステム変更の狙いを明かした池田監督は、「押し込んだ展開から複数の点が取れて、また、選手一人ひとりのポジショニングの間隔を確かめられたことはよかった。90分間しっかりと隙なくやれたメンタル面も評価したい」と話した。
熊谷選手は、「相手や相手の立ち位置によって、自分たちがやり方や自分たちの守備の形も変えられたらいい。フォーメーションの幅を広げられるという意味でも、この形ができてよかった」と語り、「ミスを減らしたい。パリ五輪を見据えてレベルアップを図らないといけない」と先を見据えた。
長谷川選手も、「4-3-3にしたからこその形も出たし、ゴールの多さも特徴。ポジティブではないか」と評価した。
取材・文:木ノ原句望