【ジャパンC】誰よりも弾けた!完成の域に達したドウデュース 日本総大将としての矜持を見せつける

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第44回ジャパンカップ(GI)が24日に東京競馬場(芝2,400m)で行われ、武豊騎手騎乗の1番人気ドウデュース(牡5)が優勝。
スローの展開から最終コーナー手前で大外からまくり気味に進出。メンバー最速の上がり3F32秒7の異次元の豪脚を見せつけてG1・5勝目を飾った。勝ち時計は2分25秒5。
「スピード違反で捕まるよ」――
ドウデュースがジャパンCの1週前調教を終えた際、武豊はジョークを交えてこんなコメントを残した。栗東のCウッドコースで6ハロンを走って80秒9。
最後の1ハロンは10秒9という驚異的なキレ味を見せて、前を行く重賞勝ち馬2頭を軽々と抜き去ったというところにGⅠ4勝馬の凄みを感じさせた。
そんな相棒の溢れんばかりのスピードを感じ取ったからこそ、武豊は「スピード違反」と評したのだろう。
英ダービー馬オーギュストロダン、キングジョージ勝ち馬ゴリアットなど、近年では珍しいほど外国馬の大物が集まった今年のジャパンC。
その中で日本総大将と位置付けられたのが5歳の秋を迎えたドウデュース。
上がり3ハロン32秒5という破壊的な末脚を見せて快勝した天皇賞(秋)から中3週で迎え、6キロ増やした馬体重は510キロと、まさに筋骨隆々。
集まった大観衆を前に競走馬として完成の域に達したことを示していた。
そして迎えたレース。スタート直後、ドウデュースの鞍上・武豊はいきなり強く手綱を引いた。
まるで馬上で立ち上がっているかのような体制になってまで手綱を引いてドウデュースのポジションを下げ、1コーナーを後ろから2頭目という位置で回っていった。
凱旋門賞から帰ってきたばかりの3歳馬シンエンペラーがハナを切り、そのすぐ後ろに昨年の皐月賞馬ソールオリエンスが付いていくという形になった馬群は3ハロン目で13秒0、4ハロン目は12秒9というスローな流れに。
この流れにかかってしまったのか、ゴリアットは最内枠から前を追走し始め、オーギュストロダンもあまりのスローっぷりにしびれを切らしているようだった。
そんな流れに乗じて動いたのが昨年の菊花賞馬ドゥレッツァ。
7番人気という気楽さも手伝ったのか、シンエンペラーらからハナを奪って逃げの体勢を取るも、ここで前半の1000mを通過。62秒2というかなりのスローペースになっていた。
流れがゆっくりとしているならば前に付けた方がいいのは間違いないが...... 武豊とドウデュースは最後方に近い位置取りから動く気配がない。
否、厳密に言えば武豊が「動かさない」といった方が正しい。
レース後のインタビューで武豊は「ペースが遅すぎて、馬が全力で走りたがって抑えるのに苦労して」と振り返っていたように、前へ行きたそうにしているドウデュースの手綱をしっかりと絞り、状態をやや起こしたまま追走していく。
「仕掛けるのは、最後の直線に入ってから」――武豊はそう考えていたに違いない。振り返れば2年前のダービー、そして前走の天皇賞(秋)もドウデュースは爆発的な末脚を繰り出して突き抜けた。
ドウデュースとコンビを組んで14戦、その切れ味を誰よりも知っているからこそ、手綱を引いてドウデュースの末脚を溜めることに力を尽くした。
3コーナーを過ぎて4コーナーを迎えるころ、ようやく武豊とドウデュースはそのエンジンに火を灯した。
外から1頭、また1頭と交わして馬群の外へ。その隣には英ダービー馬オーギュストロダンがいて、直線を向いた際は日本と世界のスターホースが並び合う形になった。
迎えた最後の直線、ドウデュースは誰よりも弾けた。

直線を向いた直後にオーギュストロダンを並ぶ間もなく抜き去ったかと思うと、二冠牝馬チェルヴィニアとともに上がっていき、1頭、また1頭と交わしていくと残り400mの時点で逃げるドゥレッツァを交わして先頭に立った。
これまではゴール直線になって差すことがほとんどだったドウデュースはキャリアで初めて直線半ばで先頭に立ってみせた。その姿はまさに「日本総大将」としての矜持に溢れていた。
残り200m。先頭を行くドウデュースに向かってきたのがドゥレッツァ。
一度交わされたにもかかわらず、ウィリアム・ビュイックの鞭に応えてもうひと伸びを見せると、最内から先行していたシンエンペラーもドウデュースに迫ってくる。
これまでのレース振りとは異なるスタイルだけにドウデュースが持ちこたえられるかがカギになったが、かつてイクイノックスを破った東京芝2400mで今やこの馬の右に出る者はいない。
武豊の左鞭が一発、また一発と入るたびに加速していき、迫りくるドゥレッツァ、シンエンペラーに並ばせない。
そして迎えたゴール。
日本総大将として直線早々と先頭に立ち、後続馬の追撃を受け止めたドウデュースがライバルたちを力でねじ伏せる形で勝利。
2着同着となったドゥレッツァ、シンエンペラーに付けた着差はわずかクビ差だったが、その差は永遠に縮まることはなかっただろう。それくらい強い内容でドウデュースは5つめのGⅠタイトルをつかみ取った。
「ドウデュースにとってラストシーズンですし、この馬でタイトルを獲りたいという気持ちがものすごく強かった。この馬の走りができてうれしい」......
レース後の武豊は相棒の走りに満足しているかのようにそんなコメントを残してくれた。
5歳の秋にして有り余るほどのスピードを身に付け、競走馬として完成の域に達したドウデュース。
世界の強豪を寄せ付けず、力でねじ伏せた今年のジャパンCでの走りは世界最高峰のレースにふさわしいものと言えるだろう。
■文/福嶌弘